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01神木町【プロローグ】

神木町・あらすじ


はじめは六人の若者の話。
小学生のタツは母親の汚名をカナコと晴らそうとする。
中学を卒業して働く健ちゃんとさえ子は、経済的な自立を模索する。
中学生の研ちゃんは漫画家に憧れ、同級生の幸子は失踪した母と残された父を思う。
6人は、精一杯生き成長してゆく。

それから、三人の物語。
OLの町田さんはヨッちゃんに危ないところを救われる。
高校生の相良は、近所のお婆さん達と交流する中で人の優しさに気づく。
10年後、手術を控えた町田さんは、ヨッちゃんとの再会を強く望む。執刀医は医者となった相良だった。
死と直面する三人は、それぞれ生きる証を見つけようとする。
物語を通して、神楽を舞う翔子の姿が点描される。


プロローグ

 神木町の西を流れる山田川は、昔から暴れ川だった。昭和37年に二度の台風が到来し、川の東側が大きくえぐられ町は浸水した。その被害の大きさに県もようやく重い腰を上げ、山田川の護岸工事を行うこととなった。途中、数度の集中豪雨に見舞われるなどして、度々工事の中断を余儀なくされたが、昭和45年の秋、ようやく工事は完了した。物語は、その年を遡ること3年、昭和42年の春に始まる。

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