見出し画像

【#008】一斉休校に伴う保育園登園自粛要請について思うこと

 こんにちは、としです。先日、Yahoo!ニュースで以下の記事が目に飛び込んできました。

 政府が全国一斉休校を要請したとき、私は真っ先に「病院現場が回らなくなるのでは」と思いましたが、当然、保育の現場にも影響が出ています。

 全国一斉休校が発表されたとき、厚生労働省は「保育園は引き続き開園する」と方針を出しました。しかし、保育士の中には、一斉休校の対象になる子供を抱えている家庭が多く、保育士確保することが困難になったので、自治体がやむなく登園自粛を要請している格好です。

 この件については、全国的な困難が出ているのは国の責任であり、自治体も保育施設も被害者であると思います。ただ、ニュースの記事を読んで気になったことは、登園自粛を行う対象を限定して、自治体が要請を行っている点です。

 ニュース記事によれば、ある自治体では、
  ①育児休業中
  ②仕事を休んでいる
  ③就労以外の認定理由で保育施設を利用

 の利用者に対して登園自粛を要請したそうです。

 また、自治体から一斉に文書が出ていない状況でも、保育施設によっては、産休・育休中の家庭に、個別に登園自粛を行うなど、様々な動きがあるようです。

 保育園に子供を預けている家庭は、理由は違えど、自治体から「保育の必要性がある」と判断された家庭です。その上で、一部の利用者に対して登園自粛を自治体が要請するということは、「登園自粛を要請した利用者は、他の利用者に比べて保育の必要性が低い」という自治体の姿勢の現れだと思います。

 どのような理由が「保育が必要な事由」であるかは、内閣府が子供・子育て支援新制度のwebサイトで解説しています。内閣府によると、以下の事由が保育を必要とする事由です。

・就労(フルタイムのほか、【パートタイム、夜間、居宅内の労働など】)
・妊娠、出産
・保護者の疾病、障害
・同居又は長期入院等している親族の介護・看護
・災害復旧
・求職活動(起業準備を含む)
・就学(職業訓練校等における職業訓練を含む)
・虐待やDVのおそれがあること
・育児休業取得中に、既に保育を利用している子どもがいて継続利用が必要
・その他、上記に類する状態として市町村が認める場合

 しかし、実際は、保育施設には限りがあるため、市町村が児童福祉の観点から保育の必要性について認定を行う仕組みになっています。

 今回、ニュースになった自治体のケースでは、就労以外の認定理由で保育園に子供を預けている家庭に登園自粛の要請を行ったとされています。そのことは、「保育の必要性として、就労の事由が一番であり、それ以外は就労に比べて必要度が低い」というメッセージになると思います。

 この点については、大きな疑問を感じました。

「仕事を休んで子供を家で面倒見ることに比べて、産休中の女性が母体に配慮しながら家庭で子供の面倒を見ることは簡単なことでしょうか?」

「就職している人が休む1日に比べて、子育てしながら求職活動している人の1日は軽視しても良いのか?」

 また、この件については、ネット上でも様々な意見が飛び交っています。ネットの意見が全てではないということは重々承知していますが、「産休・育休で休んでるのだから、家で子供の面倒を見るのが当然だ!」などの意見がマジョリティであるように感じました。

 児童福祉法は平成28年に改正され、第1条に以下のような素敵な理念が記載されました。

全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのつとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。(児童福祉法第1条)

 今回の登園自粛要請については、コロナウイルスによる非常事態の一部です。だからこそ、自治体や保育施設の考えが現れるのだと思います。法律の趣旨を考えれば、「保育」という制度は、子供の生活を保障し、愛され、保護され、心身の健やかな成長および発達、自立が図られるための制度です。決して、親が働くための制度ではないはずです。それを、親の状況によって、一律に区別することは適切と言えるでしょうか?

 最後まで読んでくださり、ありがとうございました。ニュース記事を見て感じた違和感を書いて見ましたが、これは2人の子供をもつ親としての考えであり、他にも様々な考えがあって良いと思います。

 ただし、社会の歯車がうまく回っている時には見えない課題も、ひとたび緊急事態になってしまえば、真っ先にその影響を受けるのは子供です。日本の社会が、そのことを軽んじる社会であるならば、いつまで経っても、一億総活躍社会なんて出来っこないと、私は思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?