答え

とある学校の先生の話。

学校の先生という職業はなかなかにつらい。
毎日なにかしら生徒が問題は起こすし、授業中も生徒はうわの空。

世の中的にも先生批判や学校批判が多い。
なぜ先生をやっているんだろう、、そう思うこともある。

それでも毎日毎日、わかりやすい授業のための準備、生徒指導、部活の指導、と繰り返している。

そんな頑張りとは裏腹に、生徒は言うことを聞かないし、反発ばかりする。

「つらいなぁ」「今日は何事も起きませんように」

そんな後ろ向きな気持ちでいっぱいになることもしばしば。

「卒業式に報われるよ」

先輩の先生からそんなことも言われながら、とにかく頑張る毎日。

そんな日々を過ごしながら、卒業式を迎える。
最後のホームルーム。一人ひとり卒業証書を手渡ししようと、出席番号順に名前を呼ぶ。

3人ほど卒業証書を手渡した時、生徒が言う。

「電車の時間だから早く!」

正直あっけにとられる。
卒業証書の入った箱を教室の出口の前に置き、

「ほら、自分の持ってけ!」


これが卒業式なのか、何も報われやしない。

そんな卒業式から数年が過ぎたある日、旅行していた時にばったり卒業生に出会った。

「何やってんだよ、こんなとこで?」
「先生こそ!」

数年も過ぎていたのに、教室で話していた時と何も変わらない卒業生との会話。

「おまえら、ふざけてたよなー」

そんなことを卒業生に話す。

卒業生は笑いながら答える。

「はは。でも最高に楽しかったよ」


目の前がにじむ。

これが、僕が先生をやっている答えなんだ。

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