学生から学んだ3日間:Startup Weekend Fukuoka開催録
この週末はStartup Weekend Fukuokaでした。1年ぶりの開催。
今回は7/6(土)が金曜日の振替講義日であり,3-4時限目の3-4年ゼミをこれへの参加に振り替えて3年生の大半が参加しました。加えて2年生と4年生も参加してくれましたし,基礎ゼミの1年生も参加してくれました。参加者のほとんどが関係者という…。でも,社会人チームもあったし,他大学からの参加者もあり,合計で参加者は30名に。結果的には良いイベントになったのではないかと感じています。
本当は他のゼミとか,他の大学からももっと参加できるように導かんといかんなと思いつつも,ここは私の力量不足,信用度の低さだと認識しています。みんな,すまん。
イベントの様子はこちらに画像がたくさん上がっているので,ぜひご覧ください。
また,ゼミ4年生とOGがこんな記事を書いてくれました。イベントの雰囲気も伝わるのではないでしょうか?ぜひご一読ください。
オーガナイザー視点で見るStartupWeekendの面白さ
Startup Weekend Fukuokaに参加してきた
課題の深掘りとイメージを伝えきれたことが勝因
結果的には,西南学院大学の女子学生1名と私の3年ゼミの2名が中心となったチームが優勝しました。プレゼンテーションの動画とスライドは下記のとおりです。
こちらが動画。Q&Aが聞きづらいのが残念ですが,素晴らしいコメントを頂いておりました。
こちらがスライド
実は,このチームが今回参加した6チームの中で最も作業スピードが遅く心配していました。と言うのも,いくつかのアイデアをどう合体させるかに腐心しているように見えて,本当に解決したい課題は何かを妥協的に決めることになりそうだったからです。
加えて,人数も3人と少数だったため,オーガナイザーであり,ゼミ4年生であり,UX/UIデザインを学んでいた2人にこのグループに参加してもらうことにしました。彼らは自主的に参加しているわけではないので,この3日間3人のサポートに徹してくれたようです。本当に解決したい課題は何かを問い続けるというサポートを。
そして,2日目の夜(Startup Weekendでは最もしんどい夜)には,私が見ていられなかったこともあり(すまぬ。まだ子どもだ),「ここからの時間,あれもこれも機能として足すことはできない。大事なことは動くものを作ること。必要最小限の機能は何かに絞って議論しなさい」と余計な一言を言ってしまいました。
が,1日経ってみると,プロトタイプができあがっているではありませんか。サポートの4年生がプロトタイプ(未完だけど基本的な機能は説明できるMVP:必要最小限の機能を持った製品)を作ったことで,プレゼンテーションの質がグッと高まった印象を受けました。
表彰式前に審査員で記念写真左からminne創造主の阿部さん,ZOZOテクノロジーズの進さん,kids cord clubの石川さん,QBキャピタルの川太さん
その中身については動画とスライドを観て頂くこととして,審査員の皆さんや鉄道事業を経験している今回の見学者からは「これチャンスあるね」「このアプリ欲しい」という声が聞こえたことは彼らにとって大きな自信になったのではないでしょうか。これはあくまでもスタートですが,これを起点にぜひいいアイデアにブラッシュアップしてください。期待してます。
他のアイデアも目の付けどころは悪くない
ここでも何回か書いているように,3年ゼミは「社会課題をビジネスで解決する」ことがテーマになっています。7期生は3年生になってからの3ヶ月,いくつかのチームに分かれ,自分たちが考える社会課題の深掘りを求められてきました。が,いくつかのアイデアは悪くない。いや,実際にさまざまな人がトライしているものに近いものだったりしました。
いくつか挙げてみるとこんなアイデアが提案されています。
洋服をリコメンドしてくれるサービス
朝起きた時に洋服をリコメンドしてくれるサービス。起きて洋服を決めるのが面倒だという女子学生。それを簡単にアプリを見たら決めてくれるサービスを作りたいと。洋服選びに自信がない,パッと決まらないという個人的な悩みを解決するためにプロジェクトを立ち上げたということ。
類似したサービスはすでに出ていて,下記のような記事が出ています。
が,これらのアプリ,それぞれには問題があって,アイテムの登録が面倒,自分の服ではなくて似たような服でしかコーディネートできないなど。それをクリアすることが当座の課題になっていたわけですが,Startup Weekendに参加することで糸口を見つけようと参加していました。
結果的には,パーソナルカラー診断を活用したワンピースの販売サービスのようなものがプレゼン発表に。審査員にZOZOから来られた進浩人さんがおられたので(とてもありがたい)コメントを頂いていましたが,本当に自分が考える課題解決だったのかは評価が難しいところ。この経験を次に生かしてもらいたいですね。
バイトを長く続けたいのに続けられない悩み
個人的には重要な課題だと思っているのですが,今回のイベントでは前に進まず。
これまで3回のプレゼンで得られている気付きは,バイトを探す時には労働条件(時給や場所,職種)で見ているのに,辞める時には人間関係が原因であることが多いとの指摘。働く側と雇う側のマッチングをうまくできるサービスを作れないかというのが現状の提案になっている。これに類するものはいくつか実際にあるのだが,少し視点をズラすことで爆速で成長しそうなスタートアップがこちら。
給与の即日払いサービスのPaymeである。このサイトを見ると,彼女が解決したいと思っている課題がそっくりそのまま解決している。働く側はお金が欲しい時にお金を得たい,雇う側はいい人材を雇用するためにも多くのエントリーが必要だという互いのニーズを満たすものに。
こういうのを見せてしまうとしょげてしまいそうだが,今年の3年生はそんなことがない。目のつけどころは良いのだから,こういうサービスを良く研究することの大切さを知ってくれればOK。自分が課題だと思っていることを深掘りして知る(学ぶ)ことがいい仕事をしていく基礎的条件の1つのはずだから,こういう取り組みをしてくれている。研究することと働くこととは非常に近い。
優勝したDriving Share
アイデアの名前はもう少し考えた方がいい(笑)が,優勝したアイデアもMaaS(Mobility as a Service)の流れに乗っかれそうなもの。本人たちが自覚していないとしても,ニーズはありそう。
すでに福岡でも実証実験が行われている。西鉄とトヨタ自動車が中心になって進めているMy Routeというサービスだ。
これに今回彼らが提案したサービスを乗せることが可能なようにも感じた。MaaS関連で言えば,徳島のスタートアップであり,ゼミOGが就職した電脳交通さんも身近にある。今後,交通ビジネスには人口減少という課題のある一方で,技術革新の大きなチャンスがあるの今回の優勝を契機により調査して,より面白いサービスができあがることを期待している。ここから先は技術的な問題も,実際に起きている問題についても学ぶことが必要なので,ぜひ視野を広げて頑張って欲しいところ。
きっとしんどくて辛かったに違いない:ストレッチした先に見えたもの
と終わりよければすべてよし的な感じなんだけれども,始まる前はこちらも不安で仕方なかった。こういうイベントに参加することの効用ってのは,プラスもあればマイナスもあるからだ。
ここまでの3ヶ月間でも彼らは紆余曲折だった。
4月はアイデア出しをしても「課題がよくわからん」と叩かれ,5月は深掘りをしてきたら「それは深掘りって言えるの?誰が欲しいの?」と言われて迷いに迷い,6月になって「もうよくわからないので元に戻りました!」と。その頭がグチャグチャになっているところでこのStartup Weekendに参加することは必ずしも気が進まなかったでしょう。誰もが行きたくないという顔をしていたから。
実際に参加してみたら,(次回のゼミでふりかえりますが)学生たちは「参加してよかった。他の人の意見が聞けたし,自分たちだけでは頭が凝り固まってしまう」ってことだったり,恐らくはチームマネジメントや他人と自分のアイデアのすり合わせの難しさ,課題の深掘りの重要性を改めて感じることができたでしょう。
確かに新学期始めてからこのタイミングでStartup Weekendを設定し,スケジュールを組んでいました。私自身もなかなか進まない課題の深掘りに苛立ちを覚えたりもしましたが,結果振り返ってみると,それぞれのアイデアの目の付けどころはいいんだなということに改めて感じ入りました。ただ,そのアイデアを形にするための思考展開能力や技術が足りない。加えて,課題を深掘りするための調査能力も足りない。
管理会計のゼミとしてはマネタイズするって発想が乏しいということも声を大にして言いたい!ボランティアでやってるんじゃないから!
ただ,Startup Weekendに参加することを通じて,学生自身は何をどのように調査するのか,どのように形にしていくのか(プロトタイピングの重要性),ただ形にすればよいのではなく,形にするまでのプロセスが極めて重要だということを学んだのではないでしょうか。これを今回だけで終わらせるのではなく,今後の学びにつなげていって欲しい。と同時に,優勝という結果云々ではなく,自分たちにもできるんだという自信を持って欲しい。
もちろん,私自身も改めて課題が明確になった3日間でした。夏休みと合宿における日南学園中学・高校や宮崎大学の皆さんとの出会いまでにブラッシュアップできるようにどう課題を設定するかを考えてみます。
今週末のゼミは,1コマ目に3年生が今回のふりかえりと創業体験プログラムの話し合い,4年生は卒業論文の表題発表に。2コマ目は合同でグループワークを何かやってみようかと。
最後に。このイベントが良いなと思うのは起業することをゴールとしないことです。どんな人でもアントレプレナーシップマインドがあることに気づけることが素晴らしい。実際にこれまで参加してくれたゼミ生がそれを示してくれてる。
こんな効果があるStartup Weekendに次回はぜひ皆さんもご参加ください。福岡はイベントが乱立しすぎている感がありますが,0→1を体感するには素晴らしい機会だと思います。お待ちしております。彼とか,彼女とか。
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