ボンデージプレイ
Nと何度目かのプレイ。
いつも通りホテルの半地下になっている停車位置に車を停めて係員にキーを渡す。
ホテルを出て坂の上で川を眺めながらNを待つ。
時間がある時はホテルの周辺を散策した。
コンビニの場所など把握しながらドリンクを用意しておく。
いつものように長い髪をなびかせながらNが来る。
含み笑いをしている。
「どうしたの?
何か良い事あった?」
部屋へ着くとバッグからハイヒールと光沢のある黒いものを取り出す。
「買っちゃった」
ラバー製のキャットスーツだった。
早速着替える。
赤いフロントジッパーが目立っている。
オーダーしたものだったので痩身のNにピッタリしている。
動くとゴム特有のギチギチ、ギュムギュムと音がする。
本物のラバーキャットスーツ。
「好きでしょ?」
「もちろん好きだよ。
ありがとう。
やっぱり買ったんだ」
チャットでキャットスーツの話をした事があった。
色々なサイトを見ながら「これがいい」とか「こっちのほうが良さそう」と2人で話していた。
また別の日には
「今日は順番を変えるよ」
まだ着替える前のNにボールギャグを噛ませる。
「それを嵌めたまま着替えて」
Nがどういう反応をするのか見たかった。
まだ部屋は明るい。
「早く着替えないと涎で服が濡れちゃうよ」
恥ずかしそうに着替え始めるN。
順番を変えるだけで立派な羞恥プレイになる。
私の見ている前で着替えるのも初めて。
Nは単純に拘束されたいだけでマゾではないのか、マゾとして拘束される事を望んでいるのか。
それが知りたかった。
拒否しなかったので拘束だけされたいというわけではなさそうだった。
さらに別の日。
部屋に入って直ぐにNは言った。
「今日、ずっと友達だった人と絶縁しちゃった」
状況や理由を話していたが、私の頭の中では
(そうだった、彼女は何か気に入らない事があると簡単に関係を終わらせる人だった)
最初のメールのやり取りが終った時の事を思い出していた。
そんなNとの関係もあっけなく終わってしまう。
いつものようにチャットで会話していて私の一言に気を悪くしたN。
言葉責めをしているつもりは全くなかったが、そう受け取ったんだろう。
その後はずっと私を非難する言葉が続く。
もう明け方も近かった私は会話を早く終わらせたかった。
謝罪の言葉を並べても受け入れようとしない。
終わってもいい。
そう思ってパソコンの電源を切った。
初めてのパートナーとのボンデージプレイはこうして終わった。
Nとのチャットでは知らなかった海外のボンデージサイトをたくさん紹介してもらった。
これ凄いでしょ?
こういう拘束具があるよ。
こういうの使われてみたい。
こういう拘束されたいの。
ほぼ毎晩メールやチャットで会話していた。
パートナーとして会わずにチャットで会話するだけの関係だったら、もっと続いていたのかもしれない。
それとも実際に会ってプレイしたからここまで続いたのか。
今となっては分からない。