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財務の視点から考える新型コロナ対策②

緊急事態宣言が行われて2日が経ちました。徐々に休業する業種も広がってきているようです。しかし、休業すると困るのが従業員の給与です。休んでいるのだから収入はないものの、給与の支払を止めるわけにもいかない…

解雇という手段は本当にギリギリまでは用いたくないと思います。では、雇用を継続しつつ人件費負担を下げるにはどうすれば良いでしょうか?

なお、今回の記事は労務に関することが中心になります。ここでは、制度の概略を簡単に理解することを目的としていますので、実際の適用については社会保険労務士等の専門家や制度の問い合わせ窓口にご確認ください。

休業手当を支給することで人件費を削減する

労使で相談のうえですが、従業員を休ませることによって、支給する給与を減らすことができます。ただし、最低でも平均賃金の60%の休業手当を支払わなければならないことが、労働基準法第26条で定められています。

法的には給与を60%の水準まで削減できるわけですが、この比率は高い方が望ましいことはもちろんです。従業員ときちんと相談したうえで、休業とするかどうかを決定するようにしましょう。

雇用調整助成金を活用する

経済上の理由で事業活動の縮小を余儀なくされ、一時的な雇用調整(休業、教育訓練、出向)を行った場合には、雇用調整助成金を受給することができます。中小企業の場合の助成率は2/3で、1人1日当たり8,330円まで受給できます(教育訓練の場合にはさらに1,200円が加算されます)。この助成率ですが、4月1日以後は4/5(解雇を行わない場合は9/10)まで引き上げられるようです。

また、通常であれば雇用調整は事前に計画を作成して実施しなければならないのですが、現在は先に休業を開始し、事後の届出でも良いことになっているので、素早い実施が可能となっています。

要件を満たせば雇用調整助成金は受給できるのでぜひ活用したい制度です。ただし、注意点もあります。それは、助成金の入金まで時間がかかるということです。計画休業が終わった後に支給申請を行い、それから概ね2ヶ月程度で入金となるため、その間の資金手当てをしておく必要があります。

融資の支援についても、多くの特例制度が使えますので、合わせて活用していきましょう。

終わりに

雇用調整助成金は従業員の雇用を守りたい、従業員を大切にしたい会社にとっては大変ありがたい制度です。適用要件は問い合わせ窓口はこちらに記載がありますので、ぜひ詳細を確認してみてください。

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