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財務分析~営業運転資本回転期間~
最近、経済産業省のローカルベンチマークを使って企業分析を行いました。その中に、営業運転資本回転期間という効率性の指標があったので、それについて解説したいと思います。
営業運転資本回転期間とは
ローカルベンチマークツールでは次のように定義されます。
営業運転資本回転期間=(売掛金+受取手形+棚卸資産ー買掛金ー支払手形)÷(売上高÷12)
効率性という指標に分類されているので、ちょっと違和感がありました。効率性であるなら、上記の計算式の分母と分子を逆にして、回転率という指標の方が合っていると思うからです。ただ、指標の分類については別に拘る部分ではないのであまり気にしないことにします。
今回、この指標の解説を取り上げたのは、なかなか面白い指標だなと思ったからです。以下では、この指標の私なりの説明と使い方についてお伝えします。
運転資金の必要額
この指標の分子ですが、よく見慣れたものですよね?そう、運転資金の計算式です。また、分母は月商を表しています。ということは、営業運転資本回転期間とは、運転資金が月商の何倍であるか、すなわち月商と比べてどれだけの運転資金を用意しておけば良いのかを表しています。
ローカルベンチマークツールによると、営業運転資本回転期間の中央値はおよそ-0.1~2.5ヶ月です。製造業のように棚卸資産が多くなる業種だと回転期間が長くなる傾向があります。反対に、飲食業のように現金商売だと運転資金は不要になるので、営業運転資本回転期間がマイナスになります。この指標がマイナスというのは、掛での売上がなく、棚卸資産もほとんどなく、仕入代金は月末締め翌月払いのような状況です。資金繰りの観点から言えば、とても理想的な形です。
運転資金がどれだけ必要かという観点では、同業他社の数値と比較してみるのが良いです。同業他社より短ければ、資金繰りは楽な方なのでそれほど気にする必要はありません。一方、同業他社より長ければ、資金繰りが厳しいのはもちろんのこと、業界慣行よりも不利な条件で取引を行っている可能性があるので、条件を変更してもらう機会があると捉えることができます。
投下資本が回収されるまでの時間
営業運転資本回転期間は別の見方をすると、投下資本が回収されるまでの時間を表しています。資本を投下するタイミングというのは、製造のために原材料を購入した時点や販売のための商品を仕入れた時点です。その時点から起算して、どれくらいの時間でそのお金が手元に戻ってくるかを意味しています。
投下資本が戻ってくるまでの間は、手元に現金がない状態です。つまり、その分余計に現金を保有しているか、融資を受けるかしないと、何も営業活動ができなくなってしまいます。
投下資本が回収されるまでの時間は短いに越したことはありません。営業運転資本回転期間の分子の各要素を見ていけば、現金化にどこで時間がかかっているのかがわかります。資金繰りを楽にしたければ、その部分を重点的に改善していけば良いわけです。
まとめ
以上、ローカルベンチマークツールの指標の一つである営業運転資本回転期間について解説しました。簡単に計算できるわりには奥の深い指標です。月次決算等の機会に、自社の数値を計算してみてはいかがでしょうか?
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