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源泉所得税は還付されない?

会社は従業員に給与を払う際に、年間の所得税額を見積り、予め給与から天引きします。これが源泉所得税です。しかし、この源泉所得税は少し高めになるように設定されています。そうすると、年末には源泉所得税を会社から従業員に還付する年末調整という手続きがあります。では、この還付するための源泉所得税はどこから支払われるのでしょうか?

源泉所得税の仕組み

まずは、源泉所得税の仕組みを簡単に説明します。例えば、月給30万円の従業員(扶養者なし)の場合、月に8,420円の源泉所得税を徴収し、翌月10日までに納付します。ちなみに、従業員が10人未満である場合には届出を行うことにより、源泉所得税をまとめて7月と1月に納付することもできます(納期の特例)。

さて、上記の従業員ですが、年収は360万円です。源泉所得税は8,420円×12ヶ月で101,040円が徴収された状態です。他に収入や控除がないとすると、所得税額は100,569円なので、471円が過大徴収となり、会社から従業員に年末調整で還付されます。

年末調整の還付原資

では、この471円ですが、会社はそのお金をどこからもらうのでしょうか?ここは勘違いが多いポイントなのですが、税務署から471円を返してもらう(還付してもらう)わけではありません。しかし、もちろん会社が負担するわけでもありません。

どこから471円を得ているかというと、年末調整後の源泉所得税の納付の際に、この金額分だけ納付額が少なくなるのです。結果的に、税務署から還付を受けているのと同じ状態にはなるのですが、還付として明確に入金されるわけではないのでわかりにくいのだと思います。

なお、年末調整後の源泉所得税額が少額で、年末調整の還付額を差し引くとマイナスとなってしまう場合には、税務署から還付してもらう手続きをすることができますのでご安心ください。

いずれにしても、源泉所得税は従業員の税金に関することであるので、会社は納税義務はあるものの税額を負担する義務はないのです。

源泉所得税の納付漏れには要注意

さて、源泉所得税は会社が負担することはないのですが、唯一負担が生じることがあるとしたら、納付漏れによる延滞税です。源泉所得税の納税義務者は会社ですので、期限までに納税することができないと、そのペナルティは会社にきます。これを従業員に請求することはできません。従業員の人数が多いと納付すべき税額も増えますので、納付漏れによる延滞税も大きくなりがちです。この点にだけは注意するようにしましょう。

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