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志存高遠                目標は高く持て その3

無謀なくらい高い目標を立てた僕。
だけど、いばらの道だったなあ。

入社以来同行訪問しながら、仕事を教えてくれた上司が、突然退職するというんだ。

えっ・・・・・。

本当に絶句した。

その上、その、部門トップだった上司の顧客を新卒の僕に引き継げと。
大学の卒業証書をもらって1か月経つか経たないかという頃の話。

大手ばかりだよ。

売り上げが上がっていいじゃん?

そんな悠長な場合じゃあない。僕がいた会社は光半導体の専門商社で、当時は今と同じで、半導体不足。納期遅延の嵐だったんだよ。

朝出社すると、もう電話が鳴っている。

僕は誰よりも早く出社していたので、電話に出るよね。
そうすると、僕が引き継いだ上場企業の担当者からなんだ。
「いつ?いつ入るの?正確な納期を教えてよ?これから会議なんでさ」
こんな電話が、10分おきに入るんだ。担当がだんだん、偉い人になっていく。

最後は、工場長から電話。
「君は、上場企業のラインを止める気か!」朝の9時前に電話の前で直立不動で固まっている僕。胃がせりあがるなんてものじゃあないよ。胃が蒸発しちゃう感じ。

すぐにメーカーに電話して、工場に掛け合って、数量を確保して、新幹線に飛び乗って、工場まで取りに行く。その頃は国内で作っていたから良かったけどね。

そして、出来上がるまで、意地でも動かない。出来立ての製品を持って、新幹線でUターン。渋谷の本社に戻って、顕微鏡覗いて、夜中まで製品のチェックを自分でやって、合格したモノを持ってこんふぉは車に飛び乗って、徹夜で顧客の地方の工場へ持って行く。工場の門の前で車を停めて、開くのを待っているんだ。

7時半くらいに開くんだけど、開いたらダッシュで資材課へ持ち込んで納品を済ませて、その足で、工場長のところへ報告に行く。

そんなことを何度やっただろうか。

22歳だったからね。できたけど。
当時は新幹線の中でパソコンなんか使えないし、携帯電話もない時代。形見と3時間の乗車時間だけが憩いの時間だったな。

そういう修羅場もあって、それを乗り越えて、目標を達成しなければならなかったということを前提にお読みいただければ幸いです。
<続く>

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