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政治と知性 4           そしてメディアの質

2004年に厚労省労働局から入手した資料

さて、政府はさんざん、介護士不足のために予算を割いて尽力した振りをした。

しかし、僕から言わせれば、猿芝居を見せられているようなものだ。

記憶が正しければ、国は1988年に厳しい高齢化に対応すべく「高齢者保健福祉施策10か年戦略」通称「ゴールドプラン」を策定したが、想定が甘く、1994年に「高齢者保健福祉5か年計画(通称=新ゴールドプラン)」を策定しなおした。

それでもまだ、甘すぎて、継続してさらに5年間分の「ゴールドプラン21」を発表したのである。
それに注目したのは、数値目標が細かく設定されていたこと。

だから、新聞社によっては、途中までは経過を紙面で公表していたんだ。

例えば、ホームヘルパー35万人確保とかね。
これがまた「提供見込み量」と絶妙な逃げ道を作ってある。いかにも狡賢い官僚が作った目標設定という感じがした。

でも、どこの新聞かは忘れたが、途中経過で「あと1年で9万人は無理だろうと思った記憶があるから、24万人くらいが記者クラブに厚労省が流した最後の数字なんだろうな。

その後音沙汰なし。

いいかな?

民間企業が多額の予算を使って、10か年計画だとか、5か年計画を策定して、いろいろな策を講じて、報告書をまとめないなんてことが許されると思うかな?

ありえない。

でしょ?

だから、何度も厚労省へ電話をしたんだ。

しかし、何回かけても、わかる者がいないとか、該当する文書はないばかり。

行くしかないでしょ?

で、元新聞記者だった僕は、厚労省へ突撃したんだ。

当時は、今みたいに「アポがなければ入れません」なんてことはなくて、身分証明書さえ見せれば、自由に省内を回ることができた。

だけど、電話と同じでたらいまわし。

だったら大臣を出せよ!って話。
いや、当時「老健局の天皇と言われた局長さんがいて、「老健局長を出せ!」って言ったんだっけ?

そうしたらとうとう、降参して、出してきたのがこれ1枚。

たったこれ1枚だよ。

今でもネットで、「ゴールドプラン」、「新ゴールドプラン」「ゴールドプラン21」と検索すれば見られるから、興味がある人は見てみたら、こんなに壮大なプランを実施しておきながら、これ1枚かよ!

って、当日の僕の怒りが想像できると思うよ。

それ僕はすでに、都内や都内近郊の介護士bぬ測の状況を調査済みだった。

だから、担当者に「何これ?実際不足してるよね?あなた自身はどう思うの?」って聞いたんだ。

そうしたら「あくまでも・・・個人的な見解ってことでよろしいでしょうかあ・・・?」って聞くから、いいよって僕。

「個人的には、不足していると承知しております」だって。

本省の人間は、介護士不足を承知していながら、国民にはそのことを2004年の時点では秘密にしたんだよ。

それが、介護士不足に対する政策立案の遅れにつながり、今に至っているわけだよ。

僕はこの資料を知り合いの現役貴社の何人かにも進呈したけど、なぜか誰も追わなかった。

既に官邸に抱き込まれていたのか、「介護」という業界に興味がなかったのか?

記者魂がないから日本は駄目になっていくんだなあと思ったね。

確かに、厚労省の記者クラブに座ったままの記者はいるだろうけど、省内をうろついている記者らしき人間はいなかったもの。

花形記者は厚労省担当にはならなかったしね。

まあ、今更だけど。

でもなぜ日本の高齢化が急伸長したのか事情が分かる人いるかな?

自然に伸びたわけじゃあない。

それはまた次回。
<続く>

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