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移動平均線だけで最小分散ポートフォリオに勝ちたい(portfoliovisualizerのリンク付き)

割引あり

はじめに

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で私は最小分散ポートフォリオの改善を試みました。このモデルの弱点は毎月のリバランスが発生するところです。リバランスを行うという事は余計な手修了が発生するという事、また複数アセットクラスのリバランスを行うことによりスリップが発生しやすく、想定通りのパフォーマンスが出ないこともあるでしょう。

また、私は「株式市場が下落した際の資金の退避先は債券であるのか?」「金利に左右される債券は退避アセットとして相応しいのか?」と疑問を投げかけました。

今回はこれについて考察と解決策を見出していきたいと思います。

基本となる戦略を考える

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を見てもらえれば分かりますが、 S&P500が調子のいい時だけ株式に投資する戦略を考えた場合、絶対モメンタム戦略よりも移動平均線戦略を基準にした方が、”少なくとも今は” よさそうです。また、(これは絶対モメンタム、移動平均線共にですが)、株式のホールド期間はリバランスが発生しない為、(最小分散ポートフォリオよりも)手数料も節約できるでしょう。

そこで、移動平均線を下回った場合の退避先を適切に選択することでパフォーマンスが改善しないかを検討します。

債券は必要な時に負の相関であり続けるのか?

分散投資の原則は相関が低い資産クラスでポートフォリオを組むことです。元祖 $SPXL $TMF の最小分散ポートフォリオもその思想を受け継いで居るはずです。もちろん、長期に渡って相関係数はやや負の相関を示しています。

$SPY $TLT の相関係数

しかし、本当に必要なのは「相関が低い資産クラス」ではなく、「株式が下落局面において少なくとも正の相関を取らない資産クラス」ではないでしょうか?
2021年は株式が上昇局面でしたがそこで負の相関を、2022年のように株式の下落局面において正の相関を、示す資産クラスが欲しい訳ではないはずです。(都合、相関は0に近づく)

$SPY $TLT のRolling Correlation

Rolling Correlationを確認すると2022年の下落局面において正の相関を示してしました。また、2014年から2019年までを見ると全体的に無相関を示しています。この時は株式が好調な時代です。この期間にあえて債券を採用する必要があるのかと言うと疑問です。むしろ株式に全ツッパして稼げるだけ稼いでしまうのがよいのでは?となります。

必要な時だけ債券を保有するのはどうか

株式の下落局面だけ伝統的に安定的であると考えられている資産クラスである債券を保有すれば良いのでは?と考えます。つまり株式の上昇局面においては債券が正の相関を示していようが、負の相関を示していようが、構わないのです。下落局面だけにおいて負の相関を示していればよいのです。

さっそくバックテストをします。
https://www.portfoliovisualizer.com/tactical-asset-allocation-model?s=y&sl=4WXmoxplKFfdGg4cS2545g

$SPY $TLT 移動平均線
$SPY $TLT 移動平均線 Annual Returns

既にご存知だとは思いますが、2008年は上手くいきましたが、2022年において上手くいきませんでした。これは、株価が下落したことにより金利を引き下げた2008年、金利が上昇することによる株価が下落した2022年、両方のパターンがあるからです。因果関係は逆でも株価が下落した事実は変わりません。株価と金利は密接な関係があるからです。(ここでは理由についての詳細は割愛します)

それでも、少なくとも
「株価が下落した際に金利が上がっている場合もあれば、下がっている場合もあるので、無条件に退避アセットとして債券を選択するのはよくない」
という事だけは分かりました。

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