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アメリカ英語の発音を身に付けるためのたった一つの『コツ』

この記事を読み、舌をⅤ字形にすれば アメリカ英語の洗練された発音を簡単に身に付けることができます。


私は 12年以上アメリカ英語の発音を研究しています。そのほかに、高校で英語の発音講師をしています。

発音を研究するようになったのは、2008年に神戸で行われた「子ども環境サミット」という 出席者の殆どが中高生だった国際会議がきっかけでした。 

その会議の席では、諸外国の中高生は次々と積極的に英語で発言するのに対し、すべての日本の中高生は日本語で話し、それを通訳が英語にしていたのです。

日本の中高生は、まったく英語を話せなかったのです。一方、会議の進行役の女性は、日本人でありながら アメリカ英語の響きのある洗練された発音でアナウンスされていたのがすごく印象的でした。

私は、なぜ日本の中高生は英語を話せないのかと 一か月くらい考えました。そして、英語を話せない最大の原因は「発音」だという結論に至りました。

その後、アメリカ英語の発音を徹底的に調べ、研究し、実践してきました。3年前には、日本の英語学習者の誰もが アメリカ英語の発音を容易に身に付けることができる ‟舌の形状” を探り当てました。

ここから日本人が英語の発音ができない根本的な問題点や これまでの発音指導の方法、そして 研究の成果を述べていきます。


日本人が英語の発音ができない根本的な原因として、          ❶ 日本語と英語では、発声の仕方が根本的に違っているにもかかわらず、日本語の発声のままで英語を話している。            

❷ 日本語には、「ン」以外 子音を単独で表記したり発音したりすることがない。                             そのため、学習者は 一つの文字が子音と母音が組み合わさってできているカタカナの「ウ列」を英語の子音と捉え、k も kuも同じように「ク」と表記し 発音している。s も su も同じように「ス」と表記し 発音している。                

❸ 日本語は、母音が「アイウエオ」の5音しかないのに対し、英語の母音は16~25くらいあると言われている。そのため、hat の a も hot の o も hut の u も区別できず 同じ「ア」で発音している。                      

❹ 英語の子音の発音には、日本語に無い発音が幾つもある。その代表的なものにLとRがあります。                        さらに、Lには「明るいL」と「暗いL」 がある。しかしながら、私たち日本人の多くは、発音の仕方が異なるこれらを区別せず、 すべて「ラ行」で発音している。                    

❺ 発声時には舌を盛り上げ、舌と口蓋(上あご)の間を狭くしておいて力強く 発声している英語と、舌を盛り上げることなく 舌と口蓋の間が広い状態のまま発声している日本語とでは、発声時の息の勢いが大きく違っている。

❻ 日本語と英語では、音声の共鳴の度合いがかなり違っている。ほぼ すべての日本人は、簡単に音声を英語ネイティブのように共鳴させることができる方法があることを知らない。

❼ 平坦な発音の日本語に馴染んでしまっている私たちは、強弱のリズムに沿って発音しなければならない英語も、平坦に発音することが多い。  

❽ 英語は個々の単語を連結して発音する言語。私たち日本人は、単語ごとに区切って発音しようとする習性がある。
               以上記のようになります。

上記の事柄に対処するために、これまで下記の 1⃣ 2⃣ 3⃣ のようなことが学習者に向けて叫ばれてきました。

1⃣ 腹式呼吸をしなさい...  2⃣ 発声器官や口の周りの筋力を強化しなさい... 3⃣ 喉を開いて発音しなさい...

しかしながら、1⃣ 2⃣ 3⃣ の効果は限定的でした。            それは、腹式呼吸をしても ❺だけにしか対処できないし、筋力を強化しても、学習者には何の効果があるのか分からなかったのです。

喉を開くということについても、喉を開いて発音すれば音声の響きが英語らしくなるため ❻には対処できるが、学習者は どのようにして喉を開けばいいのか分からない、 といった問題点がありました。


ところが、呼吸の仕方や口周りの筋肉、それに喉を開くというようなことではなく、舌に力を込めておいて発声することで、英語の発音が容易に身に付くことが明らかになったのです。


イギリス英語の発音を身に付ける場合、単に舌に力を込めるだけでいいのですが、アメリカ英語の発音を身に付けたい場合は、舌を喉の奥に強く引き込むような感じにする、あるいは 舌根を下げるようにする必要があるのです。

アメリカ英語の発音を苦手にしている私たち日本人でも、舌を上図のようにしておいて発声することで、以下の ⑴~⑽ のような身体的・音声的特徴が自然に現れてきます。(それぞれの特徴は、手指で触るなり発声するなりして確認することができます)

まず身体的特徴として、                       ⑴ 自動的に腹筋に力が加わります。

⑵ 喉仏が少し上部に移動します。喉仏が見えない人は、喉仏がありそうな部分に指を当てておいて、舌を上記のようにして下さい。すると喉仏の移動が確認できます。

⑶ 耳の前にある あごの関節が膨らみます。

⑷ 発声時、口蓋垂(いわゆる ノドチンコ)が、常に下がった状態になります。従って、音声は鼻音化します。 

続いて音声的な特徴として、                     ⑸ 舌に力を込めることなく発声していた私たち日本人の日本語の個々の発音の調音位置が、自動的にアメリカ英語の各音の調音位置に移動します。(fや th 等 日本語に無い発音は別途)

⑹ 舌に力を込めない日本式の発声をしているときに比べ、息の勢いが強くなります。従って 音声周波数が高くなります。

⑺ 口腔の奥部で自然に空間ができ、そこを通過する音声が共鳴します。そのため、音声の響きがよくなります。

⑻ 口の開け方や音声に強弱を付けることによって、日本語の「アイウエオ」で アメリカ英語のすべての母音の発音ができるようになります。     
例えば、口をわずかに開け、弱く軽く「ァ」と言えば曖昧母音になり、口を大きく開けて 強く「ア」といえば hot や stop の「ア」になります。

また、bat ヤ cat の a の発音は口を大きく開けておいて強く「エ」と発音すればいいのです。

⑼ 日本人にとって難しいと言われているrの発音が、即 できるようになります。                               舌を喉の奥に強く引き込むような感じにしておいて「ル」と発音すれば、舌先はどこにも触れることができないために、自然に口腔の後部に調音位置があるアメリカ英語のrの発音になります。

⑽ アメリカ英語の音声変化を自分で体感できるため、音声変化の理解が深まります。そのため、スピーキング力やリスニング力が大幅に向上します。

なお、舌を喉の奥に上手く引き込むことができない人は、下の前歯を上の前歯より前に出すようにして下さい。そうすることで、舌を喉の奥に引き込んだときと同じ状態になります。


ここで、英語学習者のこれまでのアメリカ英語の発音習得の仕方を、たとえ話にしてみましたので ご一読ください。

ある人がJRを利用して、大阪から東京へ行こうとしています。東京に行くことがこの人の目的です。

この人は、どうやって東京に行けばいいでしょう?  
誰もが新幹線だと思うでしょう。新幹線だと 新大阪から東京まで3時間弱です。

ところが、この人は在来線の各駅停車の列車に乗り、しかも各駅で降り改札を出てホテルで一泊し、翌日 改めて別の列車に乗り、次の駅に向かうということを繰り返しながら、東京を目指しているのです。

多くの日数と多額のお金を使っているこの人の行動を、皆さんはどう思いますか?

大坂からJRを使って東京へ行くのなら、誰が考えても在来線ではなく新幹線でしょう。

このたとえ話は、英語の発音ができない人が、英語の発音を身に付けようとしている過程を端的に表したものですが、英語学習者が発音を身に付けるためにやっていることは、このたとえ話と同じことではないでしょうか。

つまり、学習者は 多くの日数と多額の費用をかけて、個々の発音を日本式の舌の状態のままで、一つひとつ コツコツと身に付けているということです。

なぜなら、これまでの発音指導・発音矯正等では、まだ‟新幹線”方式 が周知されておらず、‟在来線” 方式での学習を余儀なくされていたからです。


まとめ

アメリカ英語の発音を容易に身に付けるには、舌をアメリカ英語を話している人たちと同じ形状にしなければならない。

舌を同じ形状にするには、舌を喉の奥に強く引き込むような感じにする。

舌を同じ形状にすることで、日本語の個々の発音の調音位置が、自動的にアメリカ英語のそれぞれの調音位置に移動する。

舌を同じ形状にすることで、日本語の母音(アイウエオ)の発音が アメリカ英語のすべての母音の発音になる。

舌を同じ形状にしておいて発声することで、音声周波数が高くなり、音声の響きがアメリカ英語のようになる。

舌を同じ形状にすることで、rの発音が簡単にできるようになる。

以上です。

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