見出し画像

君はマリグナントを知っているか

「マリグナント」と言う映画を知っているだろうか。

僕は観た後に興奮が収まらず勢いでこの文を書いてしまっている。観てない人は是非映画館で観てほしい。

この広い、インターネットという大海からこの記事見つけて読んでいるあなたみたいな変な人はこの映画の事が大好きになるに違いない。それくらい凄いホラー映画だった。ホラー映画が苦手な人は勇気を出して観てほしい。
ほんとに。

まず「マリグナント」とはどのような映画か説明しよう。
「マリグナント」とは「死霊館」や「SAW」といった本格的なホラー映画の監督であるジェームズ・ワンが作ったホラー映画だ。
参考程度ではあるが、フィルマークスの平均点は5点満点中4点を叩き出しており、映画好きからは概ね好評を博している。

僕は映画評論サイトの点数が高いから背伸びして褒めているわけではないし、ホラー映画が好きだからとかでもない。むしろホラー映画は怖いからずっと観ないようにしていたし、今でもお化け屋敷は苦手だ。何ならホラー映画を観たのはこの作品が初めてかもしれない。
僕は純粋にこの作品を観て最高の映画体験ができた事に感謝の気持ちを表したいから絶賛しているだけだ。

観てないよという人には予告やレビューなどの情報を一切観ずに、レビュー点が高いと言う事と、この作品は本格的なホラー映画の監督が作ったホラー映画という情報のみを抑えてさっさと映画館へ飛び込むのをオススメする。

さらに楽しむには、この映画を友人や恋人と観に行くことだ。鑑賞後、映画談義に花を咲かせ、答え合わせのようにジェームズワン監督のインタビュー動画を観て、パンフレットを読むと気付いたらこの映画の虜になっているに違いない。
https://youtu.be/rDJtqj8zC8U

詳しく紹介するとネタバレになってしまうため、紹介は以上にする。
以下感想なので、最高の映画体験をしたいと思っている未鑑賞の人はまだ読まないで欲しい。観た後に、この映画に対する熱や感覚を共有する事もこの映画の一部であるからだ。


〜未鑑賞の人は本当に映画館で観ることをオススメする〜



本当に監督のやりたい事だけを詰め込んでいる作品だった。
この先、ネタの方向性や進路に悩んでいる時に観るべき映画なのかもしれないと思うほど心に残る作品だった。

サイゼリアでみんなでゲラゲラ笑いながらユニットコントを作っている時は本当に楽しい。おそらく「マリグナント」はそんな感じで作っている作品だと思う。

制作会議中にホワイトボードの前で
「ここで殺さないで、スカして、シーン変えます!」

みたいな事をジェームズワンか誰かが言って参加者全員が大爆笑し

腹を抱えながら
「じゃあ、これでいってみるか!」

と、トントン拍子で展開が決まっていった様子が容易に想像できる。


この映画のジャンルはジャッロ映画やホラー映画とされているが、僕はこの映画を「打ち上げ楽しい系映画」と分類した。「打ち上げ楽しい系映画」とはさっき僕が作った言葉だ。鑑賞中や鑑賞後に「この映画の制作チームの打ち上げ絶対楽しいだろうな」と想像できる映画だ。

「打ち上げ楽しい系映画」は観てて楽しいし、何も考えずに楽しめるから大好きだ。

あなたは「打ち上げ楽しい系映画って、他にどんな作品があるんだよ」と思っているだろうが、僕が今まで出会った「打ち上げ楽しい系映画」なんて作品は「少林サッカー」だけだ。

打ち上げ楽しい系映画の詳しい説明は丁寧に行う。

まず、どんな打ち上げが楽しいかを説明していく。

文化祭や体育祭などの打ち上げが「去年のクラスより楽しい」と思った事や「去年のクラスの方が楽しかった」と思った事がある人は多いのではないか。
そんな事を思った事が無い人でも「前回より今回やった事の方が面白かったorつまんなかった」と思った事は一度はあるだろう。

なぜ同じような環境で行った打ち上げでも楽しさに差がつくのか。それは優勝といったような良い結果が出たからでは無く、本番までの準備が楽しかったかどうかで決まるからだ。
もちろん結果を残した後の打ち上げは楽しいが、それは結果を残すような事をしたチームは準備が楽しいことが多い。例え苦しくても、思い出が美化されるから楽しいと錯覚してしまうので、打ち上げは絶対に楽しくなる。

つまり、打ち上げの楽しさは結果どうこうではなく準備段階の楽しさで決まるものなのだ。

そう言う意味で「打ち上げ楽しい系映画」は制作チームが楽しんで作ったんだなとわかる映画なのである。

文化祭も前のめりな奴ほど楽しそうにしているだろう。あれだよ。まあこの記事を読んでいるような君たちはどうせ楽しそうにしてるやつを小馬鹿にして優秀な夏休みの自由研究の展示の荷物番でもやらされる退屈な文化祭生活を送っていただろうからわからないと思うが。

文化祭も映画作りも客観視をするとクオリティは担保されるものの面白くない。だが主観で行動するとクオリティは保障できないものの信じられないくらい楽しい。だから後者の打ち上げは絶対にめちゃくちゃ楽しくなる。

文化祭と映画は似ている。動いているお金が違うだけだ。

そう言った点から

「制作のやりたい事が詰め込まれている事」
「作品における矛盾や変な点を勢いで何とかしようとする姿勢が見えている事」
「客観視をせず主観のみで作ろうとする覚悟がわかる事」

の3つの条件が
僕が考えた「打ち上げ楽しい系映画」の特徴である。

この3つの条件は準備が楽しくないと絶対に揃わない。

こう言った3つの条件に重なる僕が今まで観てきた映画は「少林サッカー」と「マリグナント」のみである。

僕はこの2つの映画を「打ち上げ楽しい系映画」と分類する。2つしか出会っていないだけなので、もし「これも打ち上げ楽しい系映画だよ」という作品を知っている方がいらっしゃれば教えていただきたい。

余談だが
「マリグナント」は日本では評価されているものの、アメリカでは全くヒットしていないらしい。
が、制作チームの打ち上げではアメリカでヒットしてない話がめちゃくちゃ盛り上がっているに違いない。
アメリカの鳥貴族でジェームズワン率いるマリグナントチームがニヤニヤしながら毎回お決まりのくだりをしてクダを巻いているのが容易に想像つく。

「好きな事しいや〜」
この映画を観た後、僕は普段本多講師から聞いているこの言葉が不意に脳裏に思い浮かんだ。一瞬で僕はピンときた。
それはジェームズワンが「マリグナント」を通じて僕たちに伝えたメッセージなのだから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?