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財布を忘れてDIC川村記念美術館に行った話

財布を忘れるなんて何年ぶりだろう。

noteを始めていろんな事を知るようになり、知性の充実を感じるようになった今日この頃。
美術館が間もなく休館となるのを知り、HP等で確認すると大変良さそうなので行くことに。前の晩、カメラを充電したり、レンズを拭いたり、美術館の行き方や状況を改めて確認。(お財布にもちゃんとお金を入れて)準備万端。起床のアラームもセットした。
翌朝、家を出て、駅のコンビニで念のためのおにぎりやお茶を買う(Suica決済)。いつも通りSuicaで改札を通る。当初東京駅発の直通バスに乗るつもりだったが、少し早く出たのでJR佐倉駅まで行くことに。降りて無料バスで、美術館へ。
財布を忘れたのに気づいたのはチケット売り場で並んでいる最中。どこを探しても財布がない。家を出てから一度も財布を使っていないのだし、おそらく家に置いてきたのだろう。
今引き返せばSuicaに帰りの運賃は入っているが?ここで引き返す?自宅横浜からこの千葉佐倉まで片道2時間以上かけて来たのに?この美術館は間もなく休館だというのに?

チケット窓口ではSuica決済とクレジットカードは可とのこと。Suica残額は、入館料の1800円には足りるけど、支払ったら帰りの運賃は足りなくなる。クレジットカードは財布に入っているので手持ちなし。出来たら他の方法ないか考える。auペイのカードがあること思い出し、使えるか試してもらったがうまくいかなかった。プリペイド機能のみのカードなのでやっぱりそうか。
しぶしぶSuica決済。残額831円。

どう行動するか

冷や汗が出る。頭フル回転で考える。
美術館に入ることは出来る。昼はレストランはあきらめ、買っておいたおにぎりとお茶ですます。
図録や絵葉書や記念品などの購入もコインロッカーも自販機のコーヒーもあきらめる。
帰りは無料送迎バスでJR佐倉駅まで行き、少額入っているSuicaで改札を入る。今日は休みで自宅にいる旦那に連絡して下車駅までお金を持ってきてもらってそこでチャージし、改札を出る。

こういうストーリーを組み立てた。まず、旦那にこちらの状況と頼み事のメールをする。
次の心配は、旦那は自宅でなかなか携帯を見ないことだ。
美術館ではスマホを使っての音声案内もあったようだが、今はスマホ(とSuica)が命綱。万一にもスマホの電池切れなんて許されない、ということで音声案内はなし。

美術館鑑賞

お金のない心細さでどきどきしながら絵を見て回る。全然集中出来ない。普段の鑑賞度が100だとするとこの日は10くらいだ。
はい、モネね、はい、ルノワールね、はい、ピカソね、と全く心に響かない。さっさ、さっさと短時間で絵の前を通り過ぎる。何のためにここまで来たのか?(でも、レンブラントの絵には、はっとさせられるものがありました!)

財布を持たずに遠方に来てしまったことがこんなにも不安なものなのか。頭の中は、戦争か何かの事情で財布も持たずに命からがら逃げまどった人たちの話等がぐるぐるめぐる。話では最後は安全な場所にたどり着いてほっとする。今の私としては駅でお金を受け取れた時か。

そんな間も何度も携帯を確認し旦那からのリアクションがないのを気にしたりする。

旦那の昼食時間に美術館の外に出て家に電話する。(再入場するためのスタンプを押してもらって)
やっと話が通じてほっとする。帰りの時間、自宅最寄り駅までお金を持ってきてもらうことに。そして確認てもらったら、財布は別のカバンの中にあったとのこと。
何とか帰れる算段がついたところで、やっとカメラを出してあちらこちら撮影しようという気になった。

庭園巡り

雨上がりのしっとりした庭園は紅葉した部分もあってきれいだった。
でもこの広大な庭、手入れにお金かかりそうだ。美術館もきちんと保つのはお金かかるだろう。そもそも価値の高い絵画作品を多数収蔵しているということはその管理だけでも相当でしょう。
今は休館前の駆け込み客で混んでいるけど、それまではどうだったのだろう。立地的に不便な場所にあるし、「行ってみたいけど、遠いし、また今度」となりがちだろうな。美術館経営は大変だ。
庭園を散歩して、写真を撮って、テラス席で持参おにぎりのお昼を食べ、早めに帰ろうかとも思った。

でも、もう来られないかと思うと、美術館に再入場をして、気になるものをもう一度観ようという気になった。
レンブラント(黒は黒でも、ものすごい黒と明るい黒の使い分けが圧巻。技術の高さで胸を打たれます)、レオナール・フジタ(こちらは白が美しい)、ポロック(抽象画ですが色のリズムにセンスを感じます)、企画展の西川勝人さんの作品も落ち着いた気持ちになれて良かった。
一室使ったマーク・ロスコの壁画も、この場でないと味わえない作品。

これから行く予定の方にご注意

■送迎バスは相当混みますので早めに乗り場に向かうのがいいと思います。20分前に行ってもかなりの人。順番待ち行列は混乱していました。バスの補助席もすべて使っての出発でした。乗れないこともあり得ます。

■カメラのレンズについては、今回、自然豊かな庭にシナガチョウ、アオサギ、オシドリ、白鳥などを見かけました。望遠レンズがあると良かったと思うでしょう。もちろんお庭を広々撮るためには広角も。
館内撮影可能なら撮りたいところは沢山ありました。不可なので残念でした。

■レストランは館内に1つしかなく、混んでいます。25年からは完全予約制になるそうです。予定があったらお早めに。11月、12月の土日にはキッチンカーが出るような情報もありますが、ご確認ください(ホームページの「トピックス」のところに出ていました)
庭園の広場の横に「テラス」があって椅子とテーブルが屋内と屋外にあり、そこで持参のものを食べることも出来ます。「テラス」には飲み物の自販機もありました。

やっと帰れた

結局、帰りは予定通り。無料送迎バスでJR佐倉駅に行き、改札はSuicaで入り、自宅最寄り駅で旦那から無事財布を受け取ってチャージして改札出て完了。心配から解放されました。
もちろん、その後散々言われました。俺は財布忘れの用心のため、お金を別の所に入れてあるとかクレジットカードも余分を入れてあるとか・・・。

今回は家族にお金を届けてもらうということで問題を解決しましたが、それが出来ない場合は?駅の人に事情を説明して相談すれば何とかなる、との話も聞きます(後日支払うとか?)。
ただし今回の場合、チャージが不足すること承知で入館料を支払ったので、何かと身の縮む思いになったろうなと想像できます。

長くなりましたが、お話は以上。ありがとうございました。


美術館
美術館前の池。鳥たちがのんびり
広々した広場
テラス。屋内から見たところ
この豊かな自然は今後、どうなるのでしょう
たくさんの命が息づく庭園
こんな紅葉
あんな紅葉
レストラン。優雅な時間をどうぞ
池を眺める草たち
サギの凛々しい横顔
幸せな時間
レストラン前の白いバラ。またいつか、どこかで会えるでしょうか


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