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世界の法則を知るために-微分・積分とは?-⑩微分の計算方法(5)

変化の割合$${ \Delta x}$$を$${ 0}$$に限りなく近づけるという計算により、$${ a}$$を定数として、
$${y=x^2,y=x,y=a}$$
微分をすると、
$${\displaystyle \dfrac{ d y}{ d x}=2x,\dfrac{ d y}{ d x}=1,\dfrac{ d y}{ d x}=0}$$
のように微小変化が求められます。
しかし、普通はこのような方法で微分をしません。
微分の公式を使います。
今回は、微分の計算でよく使われる微分の公式紹介をします。
また、よく使われるデルタ微分の記号の考え方についても書きます。
以下では、$${ a}$$を定数とします。


微分の公式

次の二次式
$${ y=x^2}$$
微分すると、
$${\displaystyle \dfrac{ d y}{ d x}=2x}$$
となります。
このときと同じように
$${ y=x^3,y=x^4,y=x^5}$$
をそれぞれ微分すると、
$${\displaystyle \dfrac{ d y}{ d x}=3x^2,\dfrac{ d y}{ d x}=4x^3,\dfrac{ d y}{ d x}=5x^4}$$
となります。
これらの結果から、
$${ n=2,3,4, \cdots}$$
のとき、
$${ y=x^n}$$
微分すると、
$${\displaystyle \dfrac{ d y}{ d x}=nx^{n-1}}$$
となります。
これは、高校生は必ず覚える微分の公式となっています。
この微分の公式使い方は、

  1. $${ y=x^n}$$の指数部分の$${ n}$$を降ろしてから掛けて、$${n \times x^n }$$とする

  2. $${n \times x^n }$$の指数部分を$${ -1}$$し、$${n \times x^{n-1} }$$とする

のようになります。
よくある覚え方として、
指数部分を、降ろして掛けてから$${ -1}$$をする
というようなものがあります。
この微分の公式証明はしませんが、微分の公式正しいことの確認をします。
このため、
$${ y=x^2}$$
の微分が前回の結果から、
$${\displaystyle \dfrac{ d y}{ d x}=2x}$$
となることを使います。
この結果と微分の公式使った結果を比較してみましょう。
微分の公式を使うと、
$${ y=x^2}$$
の微分は、

  1. $${ y=x^2}$$の指数部分の$${ 2}$$を降ろしてから掛けて、$${2 \times x^2 }$$とする

  2. $${2 \times x^2 }$$の指数部分を$${ -1}$$し、$${2 \times x^{2-1} }$$とする

となるので、
$${\displaystyle \dfrac{ d y}{ d x}=2 \times x^{2-1}=2x}$$
となります。
これらの結果が同じになるので微分の公式
$${\displaystyle \dfrac{ d y}{ d x}=nx^{n-1}}$$
正しいことの確認ができます。
ここで微分の公式は、$${ n}$$が$${ 2}$$以上のときしか使えないことに注意しましょう。
つまり、グラフの式が二次以上のときしか使えません。
この理由の解説のため、微分の公式で$${ n=0,1}$$のときを考えてみましょう。
グラフの式、
$${ y=x^n}$$
で$${n=0 }$$のとき、
$${ y=x^0}$$
のように、指数部分が$${ 0}$$になり計算できません。
また微分の公式の右辺、
$${\displaystyle \dfrac{ d y}{ d x}=nx^{n-1}}$$
で$${n=1 }$$のとき、
$${nx^{n-1}=1×x^{1-1}=x^0}$$
のように、指数部分が$${ 0}$$になり計算できません。
これらのため、微分の公式は$${ n}$$が$${ 2}$$以上のときであるグラフの式が二次以上のときしか使うことができません。
このことからグラフの式が、
$${ y=x}$$
のような一次式のとき、
$${\displaystyle \dfrac{ d y}{ d x}=1}$$
となりグラフの式が、
$${ y=a}$$
のような定数のとき、
$${\displaystyle \dfrac{ d y}{ d x}=0}$$
となることは、微分の公式を使えないので覚えておきましょう。

微分の記号

ここで、デルタ微分の記号について考えてみましょう。
変化の割合はデルタを使うと、
$${ x}$$の増加量$${ =\Delta x }$$
$${ y}$$の増加量$${ =\Delta y }$$
より、
変化の割合$${ =\dfrac{ \Delta y}{ \Delta x}}$$
となります。
微小変化は、
$${\displaystyle \dfrac{ d y}{ d x}=\lim_{\Delta x \to 0}{\dfrac{ \Delta y}{ \Delta x}}}$$
となります。
また、点$${ (1,2)}$$が点$${ (4,7)}$$まで動いた場合の増加量を求めると、
$${ x}$$の増加量$${ =\Delta x=4-1=3 }$$
$${ y}$$の増加量$${ =\Delta y=7-2=5 }$$
となります。
これら増加量は、$${ 3,5}$$のようにある大きさとなります。
これに対し微小変化は、ゼロに限りなく近づける場合を考えています。
これらから、
$${ \Delta x,\Delta y}$$を$${ 0}$$に限りなく近づけたとき$${ dx,dy}$$になる
と言うことができます。
つまり、ある大きさとなるときは$${ \Delta x,\Delta y}$$のように$${ \Delta}$$を使い、これらを$${ 0}$$に限りなく近づけたときは$${ dx,dy}$$のように$${ d}$$を使うと考えれば良いとなります。
この例として、$${ \Delta x }$$秒で$${ \Delta y}$$メートル進んだときの速さを考えてみましょう。
このとき、
速さ$${ =\dfrac{\Delta y}{\Delta x}}$$
となります。
この速さを使って、瞬間の速さを求めてみましょう。
瞬間の速さは、時間である$${ \Delta x}$$と距離である$${ \Delta y}$$を$${ 0}$$に限りなく近づけたときとなります。
このことから$${ \Delta x}$$を$${ dx}$$、$${ \Delta y}$$を$${ dy}$$と考えると、
瞬間の速さ$${ =\dfrac{dy}{dx}}$$
となります。
この例のように、$${ \Delta}$$と$${ d}$$を考える場合があります。

まとめ

今回は、微分の公式記号について書きました。
特に、
$${ n=2,3,4, \cdots}$$
のとき、
$${ y=x^n}$$
を微分すると、
$${\displaystyle \dfrac{ d y}{ d x}=nx^{n-1}}$$
となり、
$${ y=x}$$
のような一次式のとき微分すると、
$${\displaystyle \dfrac{ d y}{ d x}=1}$$
となり、
$${ y=a}$$
のような定数のとき微分すると、
$${\displaystyle \dfrac{ d y}{ d x}=0}$$
となることはよく使います
また、ある大きさとなるときは$${ \Delta}$$を使い、これをゼロに限りなく近づけたときは$${ d}$$と考えることもよく使います。
この考え方は、積分でも使います。

次回は、微分の法則について書きます。
この法則により最終目標としていた、
$${ y=2x^3-3x^2+4x-5}$$
の微分ができるようになります。

今回の内容で、指数について違和感があったかもしれません。
ここでは中学生を対象としているため、指数は自然数のみとしています。
指数が自然数ではない場合を知っている人には、違和感があるかもしれませんが、許していただければと思います。





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