世界の法則を知るために-微分・積分とは?積分の応用例(2)
ある関数$${ y}$$と$${ x}$$軸で囲まれた部分の、$${ x}$$が$${ a}$$から$${ b}$$までの範囲を、$${ x}$$軸のまわりに一回転させた回転体の体積を$${ V}$$とすると、
$${\displaystyle V=\int_a^b{\pi y^2 dx}}$$
となります。
今回はこの式を使って、具体例として円柱、円錐の体積を求めます。
また、これらの結果と中学で学ぶ体積を求める公式の結果と比較をし、同じとなることを確認します。
この確認から、円柱では定積分を使った方法の使い方と、この式が正しい式であることの確認をします。
円錐では、なぜ公式のようにして体積を求めることができるのか確認します。
具体例
次の、
の黒線のようなある関数$${ y}$$、青色部分のようなある関数$${ y}$$と$${ x}$$軸で囲まれた部分の、$${ x}$$が$${ 0}$$から$${ h}$$までの範囲を、$${ x}$$軸のまわりに一回転させた回転体の体積を$${ V}$$とすると、
$${ \displaystyle V=\int_0^h{\pi y^2 d x}}$$
となります。
この式で、$${ x}$$の範囲を$${ 0}$$から$${ h}$$までとしたので、上端と下端が変わっていることに注意しましょう。
この式を使って具体例として、
円柱
円錐
の体積を定積分を使った方法で求めてみましょう。
以下ではグラフの、黒線をある関数$${ y}$$、青色部分は黒線と$${ x}$$軸で囲まれた部分の、$${ x}$$が$${ 0}$$から$${ h}$$までの範囲とします。
また、青色部分を$${ x}$$軸のまわりに一回転させた回転体の体積を$${ V}$$とし、この$${ V}$$を求めることを考えます。
ここで、各体積を求める公式を使うと、
底面の半径が$${ r}$$、高さが$${ h}$$
の円柱の体積は、
$${ \pi×r^2×h=\pi r^2 h}$$
となり、
底面の半径が$${ r}$$、高さが$${ h}$$
の円錐の体積は、
$${ \displaystyle V=\dfrac{1}{3}×\pi×r^2×h=\dfrac{1}{3}\pi r^2 h}$$
$${=\dfrac{1}{3}×}$$円柱の体積
となります。
以下では、これらの公式を使った結果と定積分を使った方法の比較をし、同じとなることを確認します。
この確認から円柱の体積では、定積分を使った回転体の体積の求め方が正しいこと、使い方について書きます。
また円錐の体積では公式が、
$${ \displaystyle \dfrac{1}{3}×}$$円柱の体積
となることを確認します。
特に、円錐の体積の公式は円柱の体積に、
$${ \displaystyle \dfrac{1}{3}×}$$
という計算をすることは、ただ暗記しただけだと思いますが、この理由がわかります。
円柱
次の、
の青色部分を考えると、回転体は円柱となり、
$${ \displaystyle V=\int_0^h{\pi y^2 d x}}$$
となります。
このときある関数$${ y}$$は、$${ (0,r)}$$を通る真横の直線なので、
$${ y=r}$$
となり、
$${ y^2=r^2}$$
となります。
この式を代入すると、
$${ \displaystyle V=\int_0^h{\pi r^2 d x}}$$
となり、$${ \pi,r}$$は定数であることに注意して計算すると、
$${ \displaystyle V=\left[ \pi r^2 x \right]_0^h=\pi r^2 h}$$
となります。
この結果は公式を使った結果、
$${ \pi r^2 h}$$
と同じになり、定積分を使った方法が正しいことがわかります。
また、
$${ \displaystyle V=\int_0^h{\pi y^2 d \boxed{x}}}$$
の使い方は、ある関数$${y }$$を定数や四角で囲んだ部分の文字で表して代入し、定積分の計算をすれば良いとなります。
この円柱の場合は、$${ y}$$は定数のみで表すことができますが、ほとんどの場合は四角で囲んだ部分の文字を使います。
円錐
次の、
の青色部分を考えると、回転体は円錐となり、
$${ \displaystyle V=\int_0^h{\pi y^2 d x}}$$
となります。
このときある関数$${ y}$$は、$${(0,r),(h,0)}$$を通る直線なので、
$${ \displaystyle y=-\dfrac{r}{h}x+r}$$
となり、
$${ \displaystyle y^2=\left(-\dfrac{r}{h}x+r \right)^2}$$
となります。
この式は、
$${(a+b)(c+d)=ac+ad+bc+bd}$$
を使うと、
$${ \displaystyle y^2=\left(-\dfrac{r}{h}x+r \right)\left(-\dfrac{r}{h}x+r \right)}$$
より、
$${ \displaystyle y^2= \left(-\dfrac{r}{h}x\right)×\left(-\dfrac{r}{h}x\right)+\left(-\dfrac{r}{h}x\right)×r}$$
$${+r× \left(-\dfrac{r}{h}x\right)+r×r}$$
となり、
$${ \displaystyle y^2= \dfrac{r^2}{h^2}x^2 -2\dfrac{r^2}{h}x+r^2}$$
となります。
この式を代入すると、
$${ \displaystyle V=\int_0^h{\pi \left(\dfrac{r^2}{h^2}x^2 -2\dfrac{r^2}{h}x+r^2 \right) dx} }$$
$${\displaystyle =\int_0^h{\left(\dfrac{\pi r^2}{h^2}x^2 -2\dfrac{\pi r^2}{h}x+\pi r^2 \right) dx}}$$
となり、$${ \pi,r,h}$$は定数であることに注意して計算すると、
$${ \displaystyle V=\left[ \dfrac{\pi r^2}{3h^2}x^3-\dfrac{\pi r^2}{h}x^2+\pi r^2 x \right]_0^h}$$
$${\displaystyle =\dfrac{\pi r^2}{3h^2}h^3-\dfrac{\pi r^2}{h}h^2+\pi r^2 h}$$
$${\displaystyle = \dfrac{\pi r^2 h}{3}-\pi r^2 h+\pi r^2 h}$$
$${\displaystyle =\dfrac{1}{3} \pi r^2 h}$$
となります。
ここで、
$${\displaystyle \pi r^2 h}$$
は円柱の体積を表しているので、
$${ \displaystyle V=\dfrac{1}{3}×}$$円柱の体積
となります。
この結果は公式を使った結果、
$${ \displaystyle \dfrac{1}{3}×}$$円柱の体積
と同じになります。
このことから、円錐の体積は円柱の体積に、
$${ \displaystyle \dfrac{1}{3}×}$$
という計算をすれば良いことがわかります。
まとめ
今回は、定積分を使った回転体の体積の求め方の具体例として円柱、円錐の体積を求め、これらの結果と中学で学ぶ体積を求める公式の結果と比較をし、同じとなることを確認しました。
この確認から、円柱では定積分を使った方法の使い方と正しい式であることの確認をし、円錐ではなぜ公式のようにして体積を求めることができるのか確認しました。
特に円錐では、体積を求めるときに、
$${ \displaystyle \dfrac{1}{3}×}$$円柱の体積
のような公式を覚えただけだと思います。
今回のように公式を求めてみると、なぜ円錐の体積は円柱の体積に、
$${ \displaystyle \dfrac{1}{3}×}$$
という計算をすれば良いかわかります。
次回は、定積分を使った回転体の体積の求め方を使って球の体積を求めます。
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