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世界の法則を知るために-微分・積分とは?⑭積分の計算方法(3)

不定積分は、微分と逆の計算の関係となることから、
$${ y=x^2,y=1}$$
の不定積分をすると、
$${\displaystyle \int{x^2dx}=\dfrac{1}{3}x^3+C}$$
$${\displaystyle \int{dx}=x+C}$$
となり、このとき積分定数である$${ C}$$が必要となります。
しかし、普通はこのような方法で不定積分をしません。
不定積分の公式を使います。
今回は、不定積分の計算でよく使われる不定積分の公式紹介証明をします。


不定積分の公式

微分に公式があったように、不定積分にも公式があります。
次の、
$${ y=x^2}$$
の不定積分は、
$${\displaystyle \int{x^2 dx}=\dfrac{1}{3}x^3+C}$$
となります。
不定積分の結果には、$${ C}$$という積分定数があることに注意しましょう。
このときと同じように
$${ y=x^3,y=x^4,y=x^5}$$
をそれぞれ不定積分すると、
$${\displaystyle \int{x^3 dx}=\dfrac{1}{4}x^4+C}$$
$${\displaystyle \int{x^4 dx}=\dfrac{1}{5}x^5+C}$$
$${\displaystyle \int{x^5 dx}=\dfrac{1}{6}x^6+C}$$
となります。
これらの結果から、
$${ n=1,2,3, \cdots}$$
のとき、
$${ y=x^n}$$
不定積分すると、
$${\displaystyle \int{x^n dx}=\dfrac{1}{n+1}x^{n+1}+C}$$
となります。
これは微分と同じように、高校生は必ず覚える不定積分の公式となっています。
この不定積分の公式使い方は、

  1. $${ y=x^n}$$の指数部分の$${ n}$$に$${ 1}$$を足して、$${x^{n+1} }$$とする

  2. $${x^{n+1} }$$の指数部分の逆数を掛けて、   $${ \dfrac{1}{n+1} × x^{n+1}}$$とする

  3. $${ \dfrac{1}{n+1} × x^{n+1}}$$に積分定数である$${ C}$$を足して、$${ \dfrac{1}{n+1}x^{n+1}+C}$$とする

のようになります。
よくある覚え方として、
指数部分を$${ +1}$$して、この逆数を掛けて、$${ C}$$を足す
というようなものがあります。
この不定積分の公式を、
$${ y=x^2}$$
に使ってみましょう。

  1. $${ y=x^2}$$の指数部分の$${ 2}$$に$${ 1}$$を足して、$${x^{2+1} }$$とする

  2. $${x^{2+1} }$$の指数部分の逆数を掛けて、   $${ \dfrac{1}{2+1} × x^{2+1}}$$とする

  3. $${ \dfrac{1}{2+1} × x^{2+1}}$$に積分定数である$${ C}$$を足して、$${ \dfrac{1}{2+1}x^{2+1}+C}$$とする

これらより、
$${ \dfrac{1}{2+1}x^{2+1}+C= \dfrac{1}{3}x^{3}+C}$$
となるので、
$${\displaystyle \int{x^2 dx}=\dfrac{1}{3}x^3+C}$$
同じとなることが確認できます。
ここで、
$${ y=1}$$
の不定積分を考えてみましょう。
この場合は、$${ x}$$が無いので不定積分の公式、$${\displaystyle \int{x^n dx}=\dfrac{1}{n+1}x^{n+1}+C}$$
使えません
このときは前回のように
$${\displaystyle \int{dx}=x+C}$$
となります。

不定積分の公式の証明

不定積分の公式
$${\displaystyle \int{x^n dx}=\dfrac{1}{n+1}x^{n+1}+C}$$
証明をしてみましょう。
微分の公式の場合は、難しいので証明はしませんでした。
しかし不定積分の公式の場合は、証明が簡単にできます。
不定積分は、微分の逆の計算なので不定積分の公式、
$${\displaystyle \dfrac{1}{n+1}x^{n+1}+C}$$
を微分すると、
$${\displaystyle \dfrac{d}{dx} \left( \dfrac{1}{n+1}x^{n+1}+C \right)=x^n}$$
のように、
$${\displaystyle \int{x^n dx}}$$
の$${ \int{dx}}$$の中の関数である$${ x^n}$$に戻ります
このことを利用して証明をします。
この微分は、$${ n,C}$$は定数であることに注意して、
$${\displaystyle \dfrac{d}{dx} \left( x^{n+1} \right)=(n+1)×x^{n+1-1}=(n+1)x^n}$$
$${\displaystyle \dfrac{d}{dx}C =0}$$
となるので、
$${\displaystyle \dfrac{d}{dx} \left( \dfrac{1}{n+1}x^{n+1}+C \right)}$$
$${=\displaystyle \dfrac{1}{n+1}×(n+1)x^n+0}$$
$${ =x^n}$$
となります。
このことから、
$${\displaystyle \int{x^n dx}=\dfrac{1}{n+1}x^{n+1}+C}$$
証明ができました。
不定積分は微分の逆の計算なので、不定積分の結果を微分すると、$${ \int{dx}}$$の中の関数に戻ります
このことから学び始めのときは特に、不定積分の結果を微分して戻るか確認しましょう。
このようにすると、微分の計算に慣れることもできます。

まとめ

今回は、不定積分の公式について書きました。
特に、
$${ n=1,2,3, \cdots}$$
のとき、
$${ y=x^n}$$
を不定積分すると、
$${\displaystyle \int{x^n dx}=\dfrac{1}{n+1}x^{n+1}+C}$$
となり、
$${ y=1}$$
のような定数のとき不定積分すると、
$${\displaystyle \int{dx}=x+C}$$
となることはよく使います
このとき積分定数を忘れないようにしましょう。
また学び始めのときは特に、不定積分の結果を微分して戻るか確認し、微分の計算に慣れるようにしましょう。
微分の計算は、速く計算できるようになる必要があります。

次回は、不定積分の法則について書きます。
この法則は、微分のときと同じような内容となります。
この法則により最終目標としていた、
$${ y=2x^3-3x^2+4x-5}$$
不定積分ができるようになります。

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