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世界の法則を知るために-微分・積分とは?⑰積分の計算方法(6)

前回は、定積分の記号や計算方法最終目標としていた、
$${ y=2x^3-3x^2+4x-5}$$
定積分の計算が、
$${ \displaystyle \int_2^4{y}dx}$$
$${=\left[ \dfrac{1}{2}x^{4}-x^{3}+2x^{2}-5x \right]_2^4}$$
$${=\left( \dfrac{1}{2}×4^{4}-4^{3}+2×4^{2}-5×4 \right)}$$
 $${-\left( \dfrac{1}{2}×2^{4}-2^{3}+2×2^{2}-5×2 \right)}$$
$${=76-2=74}$$
となることについて書きました。
今回は、定積分の計算結果が何を表しているかについて書きます。
このことについて、具体例を使って確認もします。
また次回のために、具体例を他の方法で解きます。


定積分の意味

次の、
$${ y=x^2}$$
を、
$${ \displaystyle S=\int_2^4{ydx}}$$
定積分したとき、$${ S}$$が何を表しているのか紹介します。
ここで、定積分をした結果を$${ S}$$としています。
次の、
$${ y=x^2}$$
のグラフを書くと、

黒線のようになります。
このグラフに、
$${ x=2,x=4}$$
を書き加えると、

赤線のようになります。
このとき、定積分をした結果である$${ S}$$は、

のように、グラフの青色部分の面積になります。
つまり、
$${ \displaystyle S=\int_a^b{ydx}}$$
の式で$${S }$$は、$${ y}$$と$${ x}$$軸で囲まれた部分のうち、$${ x}$$が$${ a}$$から$${ b}$$までの範囲の面積となります。
また、この定積分の$${ dx}$$の部分は、
$${ x}$$軸で囲まれた、$${ x}$$が$${ a}$$から$${ b}$$まで
となるため$${ d}$$の後が$${ x}$$となっています。

定積分が面積になる理由の確認

定積分の計算により、面積を求めることができます。
この定積分で、なぜ面積を求めることができるか具体例を使った確認をします。
この確認のため、

青色部分のような、$${ x}$$が$${ 1}$$から$${ 5}$$までの範囲の面積である$${ S}$$を、定積分を使う方法使わない方法の2種類の方法で求めます。
ここで黒線は、
$${ y=x}$$
としています。
これらの方法の答えが同じになることで、定積分で面積が求められることを確認します。

定積分を使う方法

定積分を使って

青色部分の面積である$${ S}$$を求めます。
このとき黒線は、
$${ y=x}$$
で、$${x }$$の範囲は$${ 1}$$から$${ 5}$$としています。
これらから定積分を使うと、
$${\displaystyle S=\int_1^5{y}dx=\int_1^5{x}dx}$$
となります。
この式を計算すると、
$${\displaystyle S=\int_1^5{x}dx=\left[ \dfrac{1}{2} x^2 \right]_1^5}$$
 $${=\dfrac{1}{2}×5^2-\dfrac{1}{2}×1^2=\dfrac{25}{2}-\dfrac{1}{2}=12}$$
となります。

定積分を使わない方法

定積分を使わないで

青色部分の面積である$${ S}$$を求めます。
定積分を使ったときと同じように黒線は、
$${ y=x}$$
で、$${x }$$の範囲は$${ 1}$$から$${ 5}$$としています。
このとき青色部分は、台形となります。
この面積は台形の面積の公式
$${ (上底+下底)×高さ÷2}$$
を使って、
$${ S=\left( 1+5\right)×4÷2=24÷2=12}$$
となります。
これと定積分の結果
$${\displaystyle \int_1^5{y}dx=12}$$
同じとなるので、定積分により面積が求められることが確認できます。

他の方法

ここで、

青色部分の面積である$${ S}$$を、他の方法で求めます。
以下では上端を$${ b}$$、下端を$${ a}$$とすると、
$${ 0 \leqq a \leqq b,y \geqq 0}$$
のときとします。
定積分と同じように黒線は、
$${ y=x}$$
で、$${x }$$の範囲は$${ 1}$$から$${ 5}$$としています。
ここでは、青色部分の面積である$${ S}$$を、

のように、赤色部分の三角形黒線で囲まれた三角形面積から求めます。
これら赤色部分の三角形の面積を$${ S_a}$$、黒線で囲まれた三角形の面積を$${ S_b}$$とします。
また$${ S_a,S_b}$$はそれぞれ$${ x}$$の範囲は、
$${ 0}$$から$${ 1}$$まで、$${ 0}$$から$${ 5}$$まで
となります。
これらを使って、
$${ S=S_b-S_a}$$
のようにして、青色部分の面積である$${ S}$$を求めることができます。
これら$${ S_a,S_b}$$は三角形の面積の公式
$${ 底辺×高さ÷2}$$
を使って、
$${ S_a=1×1÷2=\dfrac{1}{2},S_b=5×5÷2=\dfrac{25}{2}}$$
となります。
これらを使って、
$${ S=S_b-S_a=\dfrac{25}{2}-\dfrac{1}{2}=12}$$
と求めることができます。
ここで定積分は、
$${\displaystyle S=\int_1^5{x}dx=\left[ \dfrac{1}{2} x^2 \right]_1^5}$$
のように不定積分をし、上端を代入すると、
$${\dfrac{1}{2}×5^2=\dfrac{25}{2}}$$
となり、下端を代入すると、
$${\dfrac{1}{2}×1^2=\dfrac{1}{2}}$$
となります。
これらと、
$${ S_a=\dfrac{1}{2},S_b=\dfrac{25}{2}}$$
から、
$${ S_a:下端を代入した式}$$
$${ S_b:上端を代入した式}$$
となっていることがわかります。
さらに定積分の計算では上端下端をそれぞれ代入した式を引いて
$${\dfrac{25}{2}-\dfrac{1}{2}=12}$$
のように計算をします。
これは今回、
$${ S=S_b-S_a=\dfrac{25}{2}-\dfrac{1}{2}=12}$$
という計算をしたことと、同じことを表しています。
これらから、定積分では$${x }$$の範囲が、
  $${ 0}$$から上端までの面積$${ -}$$$${ 0}$$から下端までの面積
という計算をしていると言えます。

まとめ

今回は、定積分が面積になること紹介と、具体例を使った確認をしました。
また具体例他の方法で解き、
$${\displaystyle S=\int_1^5{y}dx}$$
のような定積分は$${ x}$$の範囲が、
  $${ 0}$$から上端までの面積$${ -}$$$${ 0}$$から下端までの面積
という計算をしていることを書きました。
次回は、定積分が面積になることの証明をします。
この証明定積分は$${ x}$$の範囲が、
  $${ 0}$$から上端までの面積$${ -}$$$${ 0}$$から下端までの面積
という計算をしていることを使います。
この証明は、難しい内容となります。
このため今回は、具体例を使った確認をしました。
次回の証明は難しいですが、読んでみてください。

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