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世界の法則を知るために-微分・積分とは?-⑨微分の計算方法(4)

微分は、変化の割合グラフの式を使って$${ x,\Delta x}$$で表し、$${ \Delta x}$$を$${ 0}$$に限りなく近づけるという計算をして微小変化を求めます。
今回はこのような計算により、具体的にどのようにして微小変化を求めるのか解説します。
具体例として、$${ a}$$を定数とし、
$${y=x^2,y=x,y=a}$$
のような$${ y}$$が二次式一次式定数の場合の微小変化を求めます。
以下では、$${ a}$$を定数とします。


微分の計算

点$${ (x_1,y_1)}$$がグラフ上を動き、点$${ (x_2,y_2)}$$の場所まで動いた場合を考えると、
変化の割合$${ =\dfrac{ y_2-y_1}{ x_2-x_1}}$$
となります。
このとき、点$${ (x_1,y_1)}$$を点$${(x,y)}$$とし、この点が点$${ (x_2,y_2)}$$まで$${ x}$$方向に$${ \Delta x}$$動かした場合を考えると、
$${ x_1=x,x_2=x+\Delta x}$$
となり、
$${x_2-x_1=(x+\Delta x)-x=\Delta x}$$
となります。
グラフの式がわかると、
$${ y_2-y_1=x,\Delta x}$$の式
となり、変化の割合は$${ x,\Delta x}$$を使って表すことができます。
この変化の割合の式で、
$${ \Delta x}$$を$${ 0}$$に限りなく近づける
という、
$${\displaystyle \dfrac{ d y}{ d x}=\lim_{\Delta x \to 0}{\dfrac{ x, \Delta xの式}{ \Delta x}}}$$
計算をして、微小変化を求めます。
これらのことを、
$${y=x^2,y=x,y=a}$$
のような$${ y}$$が二次式一次式定数の場合の微小変化を求めてみましょう。

二次式の場合

グラフの式が、
$${y=x^2}$$
の場合を考えてみましょう。
このとき、
$${ x_1=x,x_2=x+\Delta x}$$
より、
$${ y_1=(x_1)^2=x^2}$$
$${ y_2=(x_2)^2=(x+\Delta x)^2}$$
となります。
ここで、
$${(x+\Delta x)^2=(x+\Delta x)(x+\Delta x)}$$
となることと、
$${(a+b)(c+d)=ac+ad+bc+bd}$$
を使うと、
$${(x+\Delta x)^2}$$
$${=(x+\Delta x)(x+\Delta x)}$$
$${ =x×x+x×\Delta x+\Delta x×x+\Delta x×\Delta x}$$
$${ =x^2+2x\Delta x+(\Delta x)^2}$$
となるので、
$${ y_2-y_1}$$
$${=(x+\Delta x)^2-x^2}$$
$${=\{x^2+2x\Delta x+(\Delta x)^2 \}-x^2}$$
$${=2x\Delta x+(\Delta x)^2}$$
となります。
これらから変化の割合は、
$${x_2-x_1=\Delta x}$$
$${ y_2-y_1=2x\Delta x+(\Delta x)^2}$$
より、
$${ \dfrac{ y_2-y_1}{ x_2-x_1} =\dfrac{ 2x \Delta x+(\Delta x)^2 }{ \Delta x}}$$
となり$${ \Delta x}$$で約分すると、
変化の割合$${ = 2x +\Delta x }$$
となります。
この変化の割合の式で、
$${\displaystyle \dfrac{ d y}{ d x}=\lim_{\Delta x \to 0}{(2x+\Delta x)}}$$
計算をして、微小変化を求めます。
この場合の、
$${\displaystyle \lim_{\Delta x \to 0}}$$
計算方法を解説します。
この式は、
$${\Delta x }$$を$${ 0}$$に限りなく近づける
という意味です。
このことは、
$${ \Delta x}$$はほぼゼロである
言い換えることもできます。
このことから計算するために、
$${ \Delta x=0}$$
としてしまいます。
このことを使うと、
$${\displaystyle \lim_{\Delta x \to 0}{(2x+\Delta x)}=2x+0=2x}$$
と計算できます。
これらより、
$${ y=x^2}$$
を微分すると、
$${\displaystyle \dfrac{ d y}{ d x}=2x}$$
となります。

一次式の場合

グラフの式が、
$${y=x}$$
の場合を考えてみましょう。
このとき、
$${ x_1=x,x_2=x+\Delta x}$$
より、
$${ y_1=x_1=x}$$
$${ y_2=x_2=x+\Delta x}$$
となり、
$${ y_2-y_1=(x+\Delta x)-x=\Delta x}$$
となります。
これらから変化の割合は、
$${x_2-x_1=\Delta x,y_2-y_1=\Delta x}$$
より、
$${ \dfrac{ y_2-y_1}{ x_2-x_1} =\dfrac{ \Delta x }{ \Delta x}=1}$$
となります。
この変化の割合の式で、
$${\displaystyle \dfrac{ d y}{ d x}=\lim_{\Delta x \to 0}{1}}$$
計算をして、微小変化を求めます。
この場合の、
$${\displaystyle \lim_{\Delta x \to 0}}$$
計算は、右辺には$${ \Delta x}$$が無いので、
$${\displaystyle \dfrac{ d y}{ d x}=1}$$
となります。
このように、$${ \Delta x}$$が無い場合
$${\displaystyle \lim_{\Delta x \to 0}}$$
特に計算する必要がありません
これらより、
$${ y=x}$$
を微分すると、
$${\displaystyle \dfrac{ d y}{ d x}=1}$$
となります。

定数の場合

グラフの式が、
$${y=a}$$
の場合を考えてみましょう。
このとき、
$${ y_1=x_1=a}$$
$${ y_2=x_2=a}$$
となり、
$${ y_2-y_1=a-a=0}$$
となります。
これらから変化の割合は、
$${x_2-x_1=\Delta x,y_2-y_1=0}$$
より、
$${ \dfrac{ y_2-y_1}{ x_2-x_1} =\dfrac{ 0 }{ \Delta x}=0}$$
となります。
この後は、$${ \Delta x}$$が無くなっていることに注意して、一次式の場合と同じように計算すると、
$${\displaystyle \dfrac{ d y}{ d x}=\lim_{\Delta x \to 0}{0}=0}$$
となります。

まとめ

今回は、変化の割合グラフの式を使って$${ x,\Delta x}$$で表し、$${ \Delta x}$$を$${ 0}$$に限りなく近づけるという計算をして微小変化を求めました。
このような計算を具体例として、
$${y=x^2,y=x,y=a}$$
微分をすると、
$${\displaystyle \dfrac{ d y}{ d x}=2x,\dfrac{ d y}{ d x}=1,\dfrac{ d y}{ d x}=0}$$
のように微小変化が求められます。

次回は、微分の公式紹介をします。
微分をするとき、普通は今回のようにはしません。
微分の公式を使って、微分をします。
しかし、今回のような計算方法も重要になります。
今回のような計算方法ができるということは、微分はどのような考え方をして、どのようにして計算をするのかという微分の基礎内容が理解できていることになるからです。

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