日本が叩き潰される日 米・ソが仕掛けた罠 (集英社文庫) 落合信彦 著

 メルボルンの日本フェスティバルの無料中古本コーナーにポツンと置かれた本。
 落合信彦という文字を見て、日本にいる父を思い出した。父は落合信彦の著作が好きで昔はよく読んだらしい。昔父が「多分まだ残ってるから持ってくるよ」と落合信彦の本を大量に持ってきてくれるはずだった。しかし、それはすでに廃棄なり売られたりしていて僕は落合信彦の本を読めなかった。唯一、Amazonで買った「モサド、その真実」だけが僕の落合信彦の記憶だ。
 だから、ダンボールに入った落合信彦の本を僕は抱えて家に帰った。

 本作は1983年に出版され、変化の激しい国際情勢のなか、日本がどんな困難にぶつかっていて、これからそのような災難が降りかかるのかを書いている。
 ソ連崩壊までは、本作では予想出来なかったが、実際、著者の懸念していた事例が起こっているので信憑性は十分にある。まるで、最近の新書を読んでいるかのような心地だった。
 特に、防衛費の増大や牛肉の市場開放などは実際に起こっていることだ。
 落合氏の懸念していた日本の天動説的なか考え方や諜報に対する考え方は現在もまだ解決されていないと思う。最近ようやく、スパイを防止する法律が制定され動き始めた気がする。
 実際、政治家を動かしているのは圧力団体などだと感じた。よく考えれば、政治家も自身の生き残りがかかっているのだから当たり前なことなのに。
 改憲の意見も腑に落ちた。日本国憲法が制定された時と今では、国際情勢が変わっているし、言葉についての解釈も変わっている。当時は美しかった憲法なのかもしれないが、憲法が時代に合っていないのはごく当たり前だろう。となると、改憲の意見も納得である。実際、安倍晋三は改憲派であった。
 そして、安倍晋三氏の銃撃事件は本当に山上容疑者が単独で起こした事件なのかどうかも疑わしくなってきた。落合信彦氏がエンタメなのかそれとも真実なのか。メディアリテラシーもどこからどこまでを取捨選択すれば良いのか非常に難しい。

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