競馬AIはロマンの断崖を見たか【競馬ショートショート】
「競馬を投資と捉えるなら、AIは既に人間を超えた」
それが俺の持論。
なんせ俺の自作競馬AIクロトンは、人間では絶対に認知不可能なオッズの歪みを見抜いて、オイシい馬券を確実に仕留めてくれる。もちろん全レース自動で買い続けるから、手間もなく高収益。
これこそ投資競馬さ。
でも、今日の七夕賞はボロ負けした。
クロトンが買ったのは馬連12-13だった。
蛇足かもしれませんが解説
夏の福島の名物重賞、七夕賞が今年は7月7日の七夕当日に行われましたね。
七夕賞といえば、馬に関係なく七夕に絡めて枠連の7-7がよく売れる(実用というよりロマンで)ことが競馬ファンにはお馴染みです。
今年は7枠12番にダンテスヴュー、もうひとつの7枠13番にはグレンガリーが入ったんですが、この2頭、今回のレースで勝ち負けになるのは厳しい情勢で、前日の単勝オッズでダンテスヴューは15頭中13番人気、グレンガリーに至っては最低の15番人気でした。
もしこの2頭がきたら歴史的な大波乱、といえるくらいです。
にも関わらず、やはり枠連の7-7はよく売れていて、前日時点のオッズで24.1倍。馬連の12-13は同じく前日時点で255.6倍と、枠連の方が馬連の10分の1よりさらに低いオッズとなっていました。
競馬ファン以外の方に説明しますと、枠連の7-7というのは、7枠のダンテスヴューとグレンガリーが1着2着になったら的中(順序は問わず)という馬券。馬連の12-13も同じく12番のダンテスヴュー、13番のグレンガリーが1着2着になったら的中(こちらも順序は問わず)という馬券なんですね。
※なんで同じなのに2種類あるの?というところは説明が長くなるので省きます
なので、通常は同じ組み合わせの枠連と馬連は、だいたい同じくらいのオッズになります(条件によって色々ありますが…)。
競馬AIクロトンは、このオッズの差からお得な馬券を見出して購入する、というAIだったんですね。
確かに、締め切りまで動き続けるJRA全レースの枠連と馬連のオッズを見比べる、というのは人間には迅速性が足りず、処理すべき量も膨大なので困難です。こういった処理というところでは、人間よりAIに軍配が上がりそうです。
クロトンのようなAIが現実にあったら収益を出せるのか、という点はわかりませんが、クロトンは高い収益性を発揮するという実績を残していました(あくまで物語の中で)。
そして7月7日。
この日もオッズとにらめっこのクロトン君は、七夕賞で特大のオッズの歪みを見つけてしまいます。
言うまでもなく、枠連7-7と馬連の12-13です。
通常ではあり得ないオッズ差に、クロトン君はCPUの中で小躍りしたかもしれません。
それが競馬ファンのロマンが生み出した徒花だとも知らずに…
そして哀れにもクロトン君は嵌ってしまいました。
7枠両頭は力を尽くしたものの上位争いは遠く、12番ダンテスヴューは12着、13番グレンガリーは殿負け。
馬連12-13は見事なまでのハズレ馬券となりました。箸にも棒にもかからないとは、まさにこのことでしょう。
他のレースで取り返してくれていればいいのですが。
僕自身、七夕賞での枠連7-7の売れ行きは毎年注目していて、今年は(今年も?)枠連と同じ組み合わせの馬連も売れているというnetkeibaのポストから着想しました。
そのポスト
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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