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心不全療養指導士〜症例報告書き方講座 Vol.2〜【テーマ決めのための心不全ステージ分類の理解】

心不全療養指導士を目指す方もそうでない方もこんにちは☺️
つゆかんです🐈
8月の指導士の資格申込に向けて症例報告の書き方について
ポイントやコツを発信していきたいと思います

今回は第2回、
症例報告の1行目に関係する、心不全の進展ステージ、
いわゆるステージ分類の理解を深めていただきたいと思います。

ACCF/AHAの心不全ステージ分類とも言われており、
ステージA 器質的心疾患のないリスクステージ
ステージB 器質的心疾患のあるリスクステージ
ステージC 心不全ステージ
ステージD 治療抵抗性心不全ステージ

今回はこれらについて、一つずつ説明をしていきたいと思います
どうぞお付き合いくだいませ🐈

私は急性期病院で慢性疾患看護専門看護師を主として働いており
心リハ指導士などとして多職種の心リハチームの運営をしています
過去に症例報告が必要な専門看護師、心リハ指導士、腎リハ指導士、プライマリケア看護師などの資格取得をし
症例報告で優秀賞などをいただいた経験もあります
院内外の心不全療養指導士受験者の症例の添削をし、
今の所関わった方々は全員受かってます


心不全の進展ステージとは

まずはこちらの図を見ていただきます。
多分多くの方がすでに見たことがある図だとは思います。

急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)

「ステージA 器質的心疾患のないリスクステージ」

リスク因子をもつが器質的心疾患がなく,心不全症候のない患者と定義

*特徴

・危険因子あり
・器質的心疾患なし
・心不全症候なし

*危険因子とは?

高血圧、慢性腎臓病、糖尿病、肥満、心毒性薬剤への曝露、
心筋症の遺伝子変異、心筋症の家族歴のある患者

ステージAの特徴はこれらは心疾患の要因になりうる病態や薬剤などがあることで、
これらを持っていることで心筋梗塞などの心疾患の発症リスクが高いことを示しています
他にも脂質異常症、家族性高コレステロール血症なども含まれます

しかし、まだ心疾患の発症はなく、ステージBへの進行予防、
つまり生活習慣病の増悪予防や心疾患の予防が必要な時期と言えます

「ステージB 器質的心疾患のあるリスクステージ」

器質的心疾患を有するが,心不全症候のない患者

*特徴

・器質的心疾患あり
・心不全症候なし

*器質的心疾患とは

ステージBに特徴的なのは器質的心疾患の有無です
心不全の定義にも「心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて」とある通り、
心不全には心臓の問題があることで定義づけられることを覚えておいてください

急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)

器質的、とは「臓器や器官に認められる形態的・解剖的性質」とされ、
要は心臓の動きや形に異常があることを言います
また、機能的、というのは、「ある物が本来備えている働き」のことをいい、
心臓のポンプ機能などがそれにあたり、血液を送り出す量や心拍数、などで規定されるものが”機能”です

*器質的心疾患の概要

・虚血性心疾患
・左心室の心筋異常(リモデリング):左室肥大・駆出率低下
・無症候性弁膜症 など

要は、これら心臓の器質的な異常に伴って、心臓の機能不全が起こると心不全症状が起こり、ステージCに移行するわけです
そのため、ステージBではステージAでの注意点を含め、
心疾患の再増悪や新たな心疾患を起こさないための疾患管理が重要な時期になるわけですね

「ステージC 心不全ステージ」

器質的心疾患を有し,心不全症候を有する患者

*特徴

・器質的心疾患あり
・心不全症候あり (既往も含む)

*心不全徴候とは

詳しい説明はいつかにとっておいて、
要は心不全症状や徴候がある時からステージCに移行をするわけです
徴候とは「物事の起こる前ぶれ、きざし、前兆」のことで
現在、または過去において、症状またはその徴候が出現したことのある患者がステージCにあたります

急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)

症状として患者が自覚をしていなくても
客観的に明らかに浮腫んでいる、息切れが強いなどはもちろん、
観察した所見として、上記のような身体所見がある際は心不全の可能性があります

「ステージD 治療抵抗性心不全ステージ」

日常生活に支障をきたすほどの顕著なHF症状があり、薬物療法の最適化を試みても入院が繰り返される

*特徴

・治療抵抗性 (難治性・末期)心不全

*治療抵抗性とは

ステージDの定義は明らかになっていません
暫定的には、おおむね年間2回以上の心不全入院を繰り返し,
有効性が確立している治療ないしは治療が考慮されたにもかかわらず
NYHA心機能分類III度より改善しない患者とされています

これらの患者は,補助人工心臓 や心臓移植などを含む特別の治療、
もしくは終末期ケアが適応になるとされています

私見ですが、終末期とはイコールではないことが1つのポイントになると考えています
心不全の難しいところは医学的な病態の管理だけではなく
生活習慣も大きく影響するとされているからです

そのため、心不全の増悪期や急性期治療中は医学的管理によって
増悪からの脱却や症状緩和を十分に行う必要がありますが、
症状がとれた段階で、今後どのような治療や疾患管理が患者の生活、QOLに適しているかを繰り返し考えるのが特に重要な時期です

進展ステージの理解がなぜ必要か〜指導士の役割〜

指導士に限らず、心不全に関わる医療者は
心不全の進展ステージを理解する必要性があります

その理由は
ステージに合った医療者が共通の目的を持った支援を行うためです

そもそも、心不全全体の大きな医学的な目標は、
進行を遅らせることで予後を良くし、
延いては病状が管理された状態の患者のQOLを高めること
です、よね?

今回、ステージA〜Dまでの説明を通して、
各ステージごとの特徴と注意点を簡単に述べました
それぞれ心疾患が生じる前、心疾患が生じた時、心不全が生じた時、心不全が進んだ時というように、
それぞれの時期に合せた治療やそれに合った療養を取り入れることが大事なのです

ステージの理解ができていないと
治療に合わせた療養指導ができなかったり、
患者と治療後に適した療養のための目標設定ができなくなってしまう可能性があります

目の前の患者がどのステージで、ステージを進行させないために
どのような方策を立てる時期なのかは、
関わるスタッフ全員が認識できることが望ましく、
指導士の方にはその先頭に立ってもらうことが求められるわけです

したがって、冗談ではなくステージ分類の理解ができないと
試験どころか、症例報告で落とされてもおかしくないのです。


最後まで読んでいただきありがとうございます
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よろしくお願いいたします☺️
〜つゆかん🐈〜

#心不全療養指導士
#CHFE症例書き方講座

https://twitter.com/tsuyukan56


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