引越し

おはよ、新居で迎える一日目の朝だ。
昨日は一日慣れない引越し準備と引越し作業で、普段使わない頭をフル回転させて、体も酷使してひどく疲れた。
節約のために引越しの時間帯をフリーにしていたから午後からの積み込み積み下ろし、無事新居にうつったのは21:00くらいだった。

昨日は一日気を張っていた。
無事に荷物をうつせるかな、忘れ物はないかな、ガスやwifi工事の時間は大丈夫かな、ルームシェアする友達は海外から帰ってきたばかりできっと疲れているよな、東京にきたばかりで不安だらけだろうな、なれない引越しに猫はストレス溜まるだろうな、今日の朝からあまりご飯も食べないしトイレも行かないな心配だなって。

いろんな心配事が頭にあったし、きっと予想外のトラブルも起きるだろうからと、昨日はちゃんとぼーっとしないでちゃんと今を見ようとしていた。

だから疲れた。
なれない事をしたから疲れた。
運転は好きだけど得意じゃない、集中力を使うし、いつ人が飛び出してくるかわからなくて常に命と隣り合わせだから、それに道に轢かれた動物の死体なんかがあった日にはもう気分が滅入る。
2時間運転するとかなり疲れる。

だけど猫を運ぶために渋滞に遭いながら割と長時間運転していた。
引越し業者が先に到着していたりして気が焦る中運転するのもしんどかった。

でも、なんとかなった。
必要な荷物は全て運べたし。
あ、でも1番お気に入りだった大きいオークでできた本棚が新しい家に入らなくて、処分することになったのはすごく残念だった。
クレーンでも運び込むのが難しいようで処分してもらった。
また買えばいいよね、またね、4年間の思い出の詰まった私の本棚。

引越し業者さんはとても優しい人達だった。
落ち着いていて凛とした目をしている芯の強さを感じる、口数が少ないが思いやりに溢れている方と、どう見ても優しく体力仕事やストレスに耐性がありそうな気分転換がうまそうな方だった。

最初に家に入ってきて荷物を運び出すとき、タバコの匂いがきつかった。
来る途中の車の中で吸っていたんだろう、力を使う仕事、楽な仕事ではないし、長い間運転もするからタバコは友達なのかな。

新しいタバコの匂いではなかった、古いタバコの匂いが充満したところで長い間居た匂いだった。

落ち着いていて凛とした目をしている口数の少ない男性は、私の友人と同じ目をしていた。
私の友人は女性だが、男性だとこんな雰囲気になるんだな。
小柄だが体は逞しく上半身ががっしりとしていて、地に足ついている、そんな印象を受けた。

初めて目を見た時に、あ、この二人はきっと優しい人だなと思った。感情が行動基準になっているなと思った。

その予感は的中していて、一言一言が優しさに満ちていた。
ちゃんと言うべきことをはっきりと言うのに言い方は優しくて、やっぱり私の友達を思い出す。
いっけん冷たそうに見えるけれど、すごく深い優しさを持っている、短気だけどさっぱりしている性格、かな。
性格タイプはISFPだろう。

本棚が新しい家に入らなくなった時も、親身に解決方法を探してくれた。
ただ解決方法を探すだけではなく、言葉の端々に相手をいたわる言葉を見いだした。

「もし思い入れがあまり無いようでしたら、」
「もし大変でなければ、」
「1番節約できるのは、」

疲れた心にその優しさが沁みた。
最近あまり会えていない友人と会ったような気持ちになって心がじんわりした。

お疲れ様のビールをあげたくて紙袋に入れていたのに、旧居に忘れてしまった。ちょっと悲しくなった。

優しい引越し業者さんに恵まれ、無事に運び込みをすることになったし、到着した頃にはこれまた優しそうで世話焼きそうな大家さんが私たちを待ってくれていた。

奥さんがISTJ、旦那さんがENFPかな。
奥さんはしっかりしている印象、旦那さんは優しい印象。
私のおばあちゃんとおじいちゃんの組み合わせで相性は抜群だろうな。まるで祖父母をみているような気持ちになって微笑ましい、「女の子たちが越してくるから引越しが終わるまで心配で出かけられないのよ」って、これまたおばあちゃんみたいなことを言う。

部屋の電気がまだついていなかったから、旦那さんが裸電球を2つほど持ってきてくれた。
真っ暗な部屋で引越し準備をするのは大変だったろうけれども、その電球のおかげで助かった。
そう、私のおじいちゃんもこういういざと言う時にさっと手を差し伸べてくれる、優しい、優しい人なの。
なんだか書いていておじいちゃんに会いたくなって涙が目に溜まってしまっている。

おじいちゃんに、会いたいな。

そうして一日が無事に終わった。
一日の終わりはラーメン屋さんで締めくくる。

ルームシェアをする女の子はラーメンを美味しそうに食べていた。
今日はよくがんばったね、疲れている中たくさん働いてくれてありがとう。

私は疲れすぎて、まだ緊張状態が抜けていなくて食欲が出なかった。
だから餃子とレモンサワーを飲んだ。
どちらの味もそんなに覚えていないけれど、これが「疲れた時の一杯か」と思った。
そしてたった一杯でふわふわになった自分の頭に対して「救いようもないくらいめでたいやつだなぁ」と思うと同時に、
寒さに負けず明日からもまた頑張ろうと思えた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?