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「プロダクトマネジメントのすべて」の社内勉強会を半年かけて完走した

「お前が始めた物語だろ」「手ぇ出すなら仕舞までやれ!」アニメやコミックに出てくるこんなセリフが好きなヌーラボ吉澤 (@tsuyoshizawa_ja) です。

今回始めた勉強会の取り組みがひと区切りつき、そこそこ長い勉強会をどういう目的、どう取り組んでみたかまとめてみます。

2023 年の 12 月の終わりから社内の有志が集まり、毎週 1 章ずつ読み進めて意見交換する形式でのプロダクトマネジメントのすべての勉強会を開催してきました。書籍は 21 章で構成されているため 21 週間、社内イベントや出張があったときにはスキップさせてもらったため、だいたい半年かかったことになります。

モチベーション

私が勉強会を開くきっかけとして、以下 3 点が大きなモチベーションになりました。

  • 自分の仕事の内容がこれまでと変わるタイミングだった

  • 組織がプロダクトマネジメントをよりチームとして取り組む方針になった

  • 組織にプロダクトマネジメントを根付かせていくことにチャレンジしたい

元々私はエンジニアからキャリアが始まり、気づいたらプロダクトマネージャーになっていきました。プロダクトマネジメントという言葉がまだ浸透していないころから、プロダクトづくりだけでなくチームビルディングにも四苦八苦してインプットと試行錯誤を繰り返してきました。その結果、プロダクトマネジメントは一人ひとりが持つべきスキルだと考えるようになりました。

最近ではプロダクトエンジニアというロールも聞くようになりました。そういったプロダクト思考を持ったメンバーで構成される開発チームは自己組織化され、育成がチーム内でも行われ、自走していける開発チームになると考えています。

プロダクト開発においては Why / What / How 領域ごとに、プロダクトマネージャー / プロダクトデザイナー / プロダクトエンジニアというロールでオーナーシップを割り振ることで得意・責任領域が明確になると感じています。実際のプロダクト開発ではフェーズや組織体系によって兼任することもあるでしょう。

Why / What / How 担当領域

Why / What / How と分けますが、それらを横断して感じていることや意見をチームで出しながら、それぞれの得意・責任領域にオーナーシップを持たせコミットしていける体制を私は望んでいます。それらのチームをリードし、チームと一緒にプロダクトマネジメントスキルを向上していくプロダクトマネージャーを私は目指そうとしています。

勉強会準備

組織としてプロダクトマネジメントを根付かせていくには、様々なサービス、チームから参加してもらうことが大切なポイントになると考えました。一方で 21 章という長きに渡る勉強会になるため、多くの人たちの業務時間を頂戴します。

そこで自分が感じている今の組織が抱える課題 (As-Is) から理想とするゴール (To-Be)を描き、組織や自分たちが関わるチームにどういったベネフィットがもたらされるのか、プロダクトマネジメントスキルを持つ効果について説明するスライドを作成しました。

社内で発表したスライドタイトル

チャットサービス Typetalk で勉強会に関する説明会を行うことを告知し、興味を持つ人たちに自由に参加してもらい説明しました。説明会には開発部だけでなくマーケティング部の人たちを含むたくさんの人たちに参加してもらえ、興味を持ってもらえていることを窺い知ることができました。

とはいえ誰も勉強会に参加してくれなかったときに絶望したくないため、説明会をする前には興味を持ってくれそうなメンバー数人には事前に声がけして勉強会へ参加する約束を取りつけておきました。もちろん需要があることを確認したかった意図もありました。

結果、チームも分散したかたちで開発部メンバー 8 人で始まることになりました。開発部長も参加することで、より業務として勉強会が進めやすくもなりました。なお弊社では他にも業務時間を使って様々な勉強会が開かれています。

進め方

弊社はフルリモートワークによる働き方をしています。勉強会を進めるにあたって以下の工夫を試みました。

少人数に分ける

8 人が同時にビデオ通話に参加すると、それぞれが発言できる回数や時間が減ってしまいます。組織にプロダクトマネジメントを根付かせるうえで、参加者同士の交流を浅くしたくありません。普段仕事で関わらない人がどういう考えや悩みを持っているのか知るよい機会にさせたかったのです。

これまでリモートワークをしてきた経験からビデオ通話でそれぞれが活発に対話するのは 4 人ぐらいが限界と感じ 4 人でチームを分けることにしました。チームを 2 つに分けた上で、主催者である私は両方に参加してファシリテーションをすれば解決すると考えました。

章ごとにメンバーをシャッフルする

チームを固定化してしまうと、同じ人たちとのやり取りになってしまいます。先に述べたとおり、プロダクトマネジメントに興味を持つすべての人たちで交流をできる仕組みにするため、メンバーを毎回ランダムに入れ替えることにしました。

みんな業務があり、翌週にはすでにスケジュールが埋まってしまっていることもあります。あくまで業務が優先なため、空いてる予定を私が探しながら手動でランダム構成にする力技で解決しました。弊社が使っている Google Calendar では解決できなかったので、いい感じの予約スケジュールサービスがちょっと欲しくなりました。

事前に感想を付箋で記載する

フルリモートワークであるため非同期で事前に各々が感想を書くようにしました。弊社が提供しているオンラインホワイトボードとしても使える Cacoo の付箋機能を使って、事前に感想を書いてもらうようにしました。

これによって効率的に勉強会の準備を進められ、みんなが集まった同期コミュニケーションでは感想を元にディスカッションに集中できました。

否定批判をしない

勉強会のルールとして、その人が感じた感想や学びは否定、批判しないことを明記して進めました。これに大きく 2 つの理由があります。

一つ目は継続して参加してもらうためです。人間自分を否定されたくないものです。否定される場に、わざわざ仕事の時間を削ってまで参加してくれるとは思えません。自分が考えていることを正直に出してくれなくなります。

もう一つは Why を考えるよい機会になると考えました。なぜこの人はこういう考えを持ったんだろう?アウトプットを深掘りすることで、その考えに辿り着くプロセスを知ることはプロダクトマネジメントに繋がると考えました。

勉強会を通して

こうして毎週 2 チームで 21 回、私個人としては合計 42 回に渡って勉強会を開催してきました。参加してくれたメンバーからは以下のような感想を持ってくれました。先に書いた狙った工夫に関する感想ももらえて嬉しかったです。

  • こういう場で意見交換しながら読むと、書いてある表面的な内容から一歩踏み出したことも気づくことが多くあり、一人で読むより深く読めた

  • 4人前後で話すような形になって対話が弾みやすかった

  • PM の動きかたみたいなのがわかったのがよかった

  • 普段話す機会のないメンバーと交流することができたのでよかった

  • もっと PM に興味を持つ人が多くなってくれると嬉しい

  • みんなで読み進めることで自分では見つからなかった気づきや考え方に触れることができて、一人で読むよりもとても有意義な体験になりました

  • 一人で本を読むと、共感したりこれをやるぞーってなった時に一緒に取り組んでくれる仲間を探すところから始めないといけないことが大変で諦めてしまうことがある

  • この勉強会に参加した皆さんとは最低限同じ知識を共有できているという認識ができたので、プロダクトに関する相談などがしやすくなりました

  • PM チームがやろうとしている事が少なからず理解できるようになった

  • 本の内容もよかったのですが、感想戦を通じて、いろいろな人たちの考え方を知ることができてとても有意義な時間だった

  • 開催頻度のリズムがとてもよかった

  • ペースもちょうどよい感じで、みなさんとプロダクトマネジメントについて語れたのはとても学びが多かった

  • 後で見返しやすかったり、他チームのボードを見れたりするのがよかった

私自身の感想としても書籍の内容に関するものから業務に置き換えた悩みまで話が出て、みんなの考え方を知るよい機会になりました。逆に自分がどういう考え方を持っているのか、一緒になるチームの人たちや、それ以外の人たちに知ってもらう機会にもなりました。仕事のしやすさに繋がるきっかけになりました。

実際にチームが違う参加したメンバーからもビジョンのつくりかたや PRD について興味を持ってもらい、プロジェクトを始める前に事前に要件を洗い出して言語化する流れもありました。私もレビュアーというかたちで参加させてもらい感無量でした。

最初に書いた目的はまだまだ達成できていません。しかし、参加した人たち同士でも交流が生まれ、少しずつ動き出しているところはやり通してよかったと感じています。今後は着火した火をより広めていきたいです。

最後に、よい話のネタとなる書籍を出してくれた執筆者の方々および、この 21 回に渡る長い期間に最後まで楽しんで参加してくれたメンバーに感謝します。ありがとうございました!

勉強会の様子


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