仕事で自信をつける

社会人になるまでは、私は自分に自信がない人間だった。しかし社会人になって1年経ったあと、人以上に自信を持てるようになった。自分への自信とは何だったのか。

やはり情報量の少ない田舎で生まれ育って、その上「それほど勉強できない」「女にモテない」という学生時代は、人を測定する尺度がそれしかなかったのだ。ところが、社会に出るともう一つ軸を加えることができる。「仕事ができるかどうか」。この面において、自分の能力はさておき、運は良かったと思う。

自分が自信を持つきっかけ。実は私も新社会人から2年目までは「できない新卒」扱いだった。何をやっても空回り、客先からクレームも来ていたらしい。まぁ、他の会社は知らないですが、40人くらいの小さな会社で1年目から客先仕事を任されていたので、客からすると学生あがりの若者が来て不安だったとは思います。

そして、きっかけの話ですが、これはそうして使えないヤツ扱いの時代に「あいつは客先に出すな」ということで社内で製品テストばかりしていたのですが、その際に東京の営業マンが「医師に難しい内容の操作を求められているので付いてきて」と言われ、営業に同行したことだった。その時の難しい内容の操作が理解できたため、その操作を医師に説明して会社に帰った。そこでその医師から評判を呼び、更にはその営業マンからも評判をもらい、社内の評価が一気にひっくり返ったのを覚えている。

その時わかったのは、僕は「簡単な操作を、毎回簡単に伝える」という能力は劣っていたが「難しい内容の要望が、製品で実現できるか、の道筋を掴む」ということに長けていたということだった。結果、僕は医師や高度な研究者たちの要望の解決に仕事を向けられ、次々解決することで、会社の営業成績を上げることに成功した。適材適所。自分の居場所を見つけた瞬間だった。当時、その会社で、その難しい内容を読み解ける技術者が一人もいなかったからだ。考えてみれば業界でも珍しかったのだろう。他社製品を使っている研究者からも呼ばれていた。

それがちょうど2010年で新卒から3年目の年だった。幸いにもずいぶん早いタイミングで、自分の得意な分野を見つけて、専念できる環境を作ってもらうことができた。そこから一気にストレスなく働くことができた。

自信というのは、自信につながる経験の中で、一定量を経験できると、急に「自信を持つ」という方向に裏返る。やはり成功体験ということが重要なのだろう。私もあのときの営業マンに外に連れ出してもらえていなかったら、あらゆる成功体験が遅れて生じていたはずだ。結果、いまの起業も遅れていたと思う。できていなかったかもしれない。

さて、成功体験を得ていくためには、ちょっとしたコツはあると思う。もし、新社会人の人や、これから仕事を始められる大学生の人に見てもらえるなら、そのコツを少し紹介したい。

まず、とにかくコミュニケーションの力が必要なのは間違いない。上司と積極的に喋るきっかけを作っていこう。飲みに行けるなら行ったほうが良い。これは何が大事かというと、結果的には自分のやりたいような環境を作る上で、最終的には上司を操作できないと不可能なことが多いからだ。無茶を聞く必要はなく、むしろ無茶を回避するために、そのような関係づくが必須になる。上司ではなくても、上司並みに力のある人、もっと上の人などであらばなお良い。

そして、実際に何をするかというと「嫌な仕事を避ける」ということを序盤から繰り返していく、ということだ。嫌な仕事を誰かに回して、できる仕事だけに集中しよう。これは新卒のときにいきなりできることではないが、いずれやっていかないといけない。「自身を持って取り組めること」を、仕事時間という限られた時間に埋めていくのだ。これが埋まりきったときに、ようやく「自身を持てる」だろう。

まずは「仕事からの逃げ方」を学ばないといけない。仕事時間は皆限られているからだ。その上で得意な仕事を選ぶ。生真面目ではなく、わりとチャラく仕事時間を過ごしたほうが、精神衛生上も都合が良い。その他のことは、自信がついてから始めても、遅くはないのだ。自信が付けば、他の仕事も加速していく。

自信とは、何かの評価の軸で生まれるものだけど、幸い仕事の軸は人それぞれすぎるので、それを都合よく使って、自分を強めていこう。

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