珈琲の基本


コーヒー豆が届くまで

コーヒーノキから収穫されるコーヒーチェリーという種を乾燥させたものがコーヒー豆と呼ばれる。乾燥には後述する生産処理の方法がいくつかある。その後豆の選別・焙煎が行われた後、「カッピング」と呼ばれるテイスティングが行われ、品質などをチェックされた豆が日本に輸送される。

生産処理

コーヒーチェリーから果肉を取り除き、乾燥させて種子を取り出す工程のことを「生産処理」という。生産処理には大きく分けて、「natural process」「washed process」が存在する。natural processは収穫したコ-ヒーチェリーをそのまま天日干しし自然乾燥させる方法で、果実感のある味わいや甘み、コクがでる。washed processは果肉を除去し水槽につけて発酵させ、ミューシレージを除去したのち、水洗・乾燥させる方法。透明感のある味わいになる。他にもこれらの中間にあたる「honey process」や「スマトラ式」などが存在する。

焙煎度合い

薄緑色の生豆を焙煎で熱を加えることで、生豆の水分が蒸発し、白みをおび、豆全体が収縮して表面にしわが寄る。そして黄色から茶色に色は変化していく。この過程が「焙煎」であり、焙煎が深いほど酸味が減って苦みが増す。焙煎は大きく「浅煎り」「中煎り」「中深煎り」「深煎り」に分けられ、細かくは「light」「cinnamon」「medium」「high」「city」「fullcity」「French」「Italian」の8つに分けられる。

淹れ方

コーヒーの淹れ方で挙げられる代表的な「透過法」「浸漬法」「加圧法」を紹介する。

透過法

日本で人気の高いペーパードリップに代表される透過法は、フィルターを噛ませたコーヒーの粉にお湯を断続的に注ぐことで成分を抽出する方法。ドリッパーの種類、コーヒーの粉の量、お湯の注ぎ方や抽出時間など、淹れ方や技術によって味に差が出ることが特徴である。

浸漬法

お湯にコーヒーの粉を漬け込んで抽出する方法で、代表器具は日本では紅茶用として使われることの多いフレンチプレス。手順がシンプルで味に差が出づらいことが特徴。フィルターで成分が取り除かれないため、コーヒーオイルを含めた成分を丸ごと味わうことができるため、素材の味わいを楽しみたい人におすすめ。

加圧法

細かく挽いたコーヒーの粉に高い圧力でお湯を通し、抽出するエスプレッソに代表される方法。抽出力が高いため、濃度が高くカフェラテなどのアレンジも多いことが特徴。抽出方法の中で最も難易度が高いとされ、抽出時間が1秒違うと味が変わるといわれている。

挽き方

コーヒーミルの種類

「コニカル式」「フラット式」「プロペラ式」の3つが代表的。コニカル式は、円錐形の刃でコーヒー豆を粉砕し、刃の感覚で挽き目を調節する。フラット式は固定刃と回転刃があり、刃の感覚で挽き目を調節する。プロペラ式はプロペラ状の刃が回転して豆を粉砕する。挽き目がそろっていないとえぐみが出たり、抽出不足になるため、それらの出づらい「コニカル式」「フラット式」がおすすめされる。

挽き目

挽き目は大きく分けて「細挽き」「中挽き」「粗挽き」がある。粒の大きさが細かいほど表面積が大きくなるため、成分が短時間で抽出されやすくなるため、苦み、甘み、コクが出やすくなる。反対に粒の大きさが粗くなるほど、成分が抽出される速度が遅くなるため味わいは軽く、スッキリしたものになる。

お湯の温度と抽出時間

先述した通り、コーヒーの味には「成分の抽出されやすさ」が関係してくる。より多く成分が抽出されるほど、苦みが増し、反対に成分の抽出が抑えられると口当たりは軽くなり酸味が増す。

お湯の温度

お湯の温度が高いとコク深いしっかりとした苦みが出て、お湯の温度が低いとさっぱりした酸味が出るようになる。これらお湯の温度は90℃~98℃の中で好みに調節すると良い。

抽出時間

抽出時間が長いと苦みがしっかり出るが、長すぎるとえぐみや渋みが出るようになる。抽出時間が短いと酸味のある味わいになるが、短すぎると抽出不足となるので注意が必要。

産地別の特徴

ブラジル

バランスが良くマイルド。ナッツやチョコレートのような味わい。

コロンビア

ベリーやグレープを思わせる豊かな酸味とボディ感。

グアテマラ

柔らかな甘みとボディ感。フローラルな香りが特徴。

コスタリカ

酸味が豊かで、柑橘系のフルーツや蜂蜜を感じさせる味わい。

ケニア

ジューシーなベリーや紅茶を思わせる風味。

エチオピア

フローラルな香りと柑橘系のフルーツを感じさせる風味。

インドネシア(マンデリン)

チョコレートやハーブ、スパイスなどユニークな風味が特徴。

コーヒーノキの種と代表的な品種

カネフォラ種

ロブスタ…安価でインスタントコーヒーに使われる。酸味が少なく苦みが強い。

アラビカ種

ティピカ…最古の栽培品種。上品な酸味と香りを持ち、甘みも感じられる。
ブルボン…バランスが良く、柔らかな甘みがある。
ゲイシャ…香水のような香りで、複雑で繊細な味わい。
パカマラ…クリーミーな質感と華やかな香り。
SL28, SL34…ジューシーな果実を思わせる豊かな酸味と華やかな香り。

リベリカ種

限られた地域で栽培され、ほとんどが国内消費される。


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