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年間ベストランキング記事まとめ

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それぞれの年における「年間ベストランキング」の記事をまとめました。あくまでも、僕の個人的なランキングではありますが、これまでの音楽&映画シーンを振り返る一つのきっかけになったら嬉… もっと読む
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記事一覧

2023年、僕の心を震わせた「映画」ベスト10

すっかり遅くなってしまったけれど、2023年に公開(配信)された新作映画の年間ベスト10を発表したい。 例年と同じく、記事のタイトルにおいて予め断っているように、この年間ベスト10は「僕の」価値観をダイレクトに反映させた非常にパーソナルなものであり、それ故に、2023年の映画シーン全体を客観的に総括するような企画とは程遠い内容になっていると思う。先に言ってしまうと、『TAR/ター』や『aftersun/アフターサン』、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』

2023年、僕の心を震わせた「洋楽」ベスト10

年が明けてあっという間に1ヶ月が経ってしまったけれど、遅ればせながら、グローバルのポップ・ミュージックのシーンの動向について、僕の観点からの記録を残しておきたい。 今回の年間ベストの選曲とは直接的な関係はない話にはなるが、2023年は、今まさに何度目かのキャリアハイを迎えているTaylor Swiftの圧巻の存在感が印象深い一年だった。世界中を席巻した超巨大ツアー「The Eras Tour」は、社会現象と呼ぶべき破格のスケールで展開され、また、その並々ならぬ熱狂は世界各地

2023年、僕の心を震わせた「邦楽」ベスト10

僕にとっての2023年の最大のトピックスは、やはり、日本におけるライブシーンの完全復活だった。2020年の春以降、数々のライブやフェス、イベントが中止・延期となり、その後に少しずつライブシーンが前進し始めてからも、観客の声出しNGをはじめとした様々な規制が設けられ続けてきた。そして、2023年の年明けから春にかけて、そうした規制の撤廃が大きく進み、ついにライブの現場にかつてのような歓声が戻り始めた。戻ってきたのは、歓声だけではない。誰もが、何にも縛られずに、それぞれの方法/選

2023年上半期、僕の心を震わせた「邦楽」ベスト10

ライター活動を始めた2018年の年末から、「僕の心を震わせた〜ベスト10」と題した邦楽・映画の年間ランキングを発表し、2019年の年末からは洋楽を含めた3つのランキングを発表し続けてきた。また、2019年からは、その年の中間報告として、毎年6月末頃に上半期のベスト10をまとめてきた。 今年からは、スケジュールなどの兼ね合いで、上半期のランキングをまとめるのをストップして年末の年間ランキングのみ発表する形にしようと考えていたけれど、やはり、邦楽のみ、どうにか時間を作って上半期

2022年、僕の心を震わせた「映画」ベスト10

年間ベスト10をランキング形式で発表するのは、今年で5年目になる。記事のタイトルにおいて予め断っているように、このランキングは「僕の」価値観をダイレクトに反映させた非常にパーソナルなものであり、それ故に、今年も、映画シーン全体を客観的に総括するような企画とは程遠い内容になっていると思う。 『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』も『トップガン マーヴェリック』も『RRR』も最高だった。『コーダ あいのうた』や『リコリス・ピザ』や『THE FIRST SLAM DUNK』も本

2022年、僕の心を震わせた「洋楽」ベスト10

ウィズ・コロナ時代から、ポスト・コロナ時代へ。数々の大規模ツアーやフェスの復活が象徴的なように、今、各国のライブシーンは、一昨年と昨年の試行錯誤の積み重ねを経て格段に前進し始めている。こと日本においても、2022年は、「FUJI ROCK FESTIVAL」「SUMMER SONIC」をはじめとした海外アーティストを中心に迎えたフェスや単独の来日公演も次々と復活を果たした。 また、各国で続々とリリースされる作品を聴いていくと、それぞれの世代のアーティストがそれぞれの方法論で

2022年、僕の心を震わせた「邦楽」ベスト10

一昨年と昨年は、アーティストもリスナーも、このウィズ・コロナ時代をどう乗り越えるか、というシリアスなテーマに向き合わざるを得なかった年だったと思う。しかし2022年は、これまで音楽シーン全体を覆っていた先行きの見えない不透明な空気が少しずつ晴れていくのを感じさせてくれる1年間だった。何よりも象徴的なのは、ポスト・コロナ時代へ向けて、ライブ/フェスシーンが大きく前進したこと。かつてのような自由なライブ空間を取り戻すことができる日も、決してそう遠くはないと思う。 あいかわらず時

これまでの年間ベストランキングの結果を一つにまとめました。

ポップ・カルチャーのシーンの最前線の様相は、日々、目まぐるしく変わり続けていきます。今この瞬間に、音楽シーンや映画シーンで何が起きているのか。どのような革新的な作品が生まれて、どのような熱量をもって受け手に受容されているのか。次々と変化し続けるシーンの最前線におけるリアリティを、立ち止まることなく追いかけ続けることこそが、ポップ・カルチャーを語る者としての僕自身の大切なテーマです。 それ故に、僕は基本的に過去の作品を何度も振り返ることは、あまりしません。今この瞬間に起きてい

2022年上半期、僕の心を震わせた「映画」ベスト10

今年に入ってから公開された作品の多くは、コロナ禍で企画が立ち上がったり、撮影や編集が進められたものである。もちろん中には、2019年以前から企画・制作が進行していた作品もあるが、いずれにせよ、このウィズ・コロナ時代においても、次々と新しい作品が公開され続けていることは、とても希望的であると思う。 2022年7月現在、世界を見渡せば、新型コロナウイルスの感染拡大に限らず、目を覆いたくなるような悲しい出来事や、耳を塞ぎたくなるような悲痛なニュースばかりであるが、こうした時代だか

2022年上半期、僕の心を震わせた「邦楽」ベスト10

一昨年と昨年、音楽シーン全体を覆っていた先行きの見えない不透明な空気が、少しずつ晴れていくのを感じている。全世界的に、アフター・コロナ時代へ向けて前進していく流れが加速しつつあり、おそらくは、2022年の下半期以降、こうした時代の潮流を反映した新しいポップ・ミュージックが続々と生まれていくのだと思う。 既に、上半期においても、コロナ禍における混沌とした空気を吹き飛ばすような力強い楽曲が次々と生まれていて、この約2年半、混迷の日々の中で闘い続けてきたアーティストたちの想いが、

決して忘れはしない、「2021年」の「30」の出会い

【年間ベスト企画(2021年)まとめ】 2021年、僕の心を震わせた「邦楽」ベスト10 【1位】YOASOBI/三原色 【2位】ONE OK ROCK/Renegades 【3位】millennium parade/2992 【4位】STUTS & 松たか子 with 3exes/Presence Remix(feat. T-Pablow, Daichi Yamamoto, NENE, BIM, KID FRESINO) 【5位】UVERworld/EN 【6位】V6/雨

2021年、僕の心を震わせた「映画」ベスト10

昨年に続き、今年もコロナ禍という逆境の中で、新しい傑作が次々と公開されていった。そのあまりの豊作ぶりを前に、年間ベストを選出することの難しさを例年以上に強く感じたが、今回、僕がここで選んだ10本の作品に、あえて一貫する一つの軸を挙げるとすれば、それは「物語」の力だ。 言葉にならない感情に確かな輪郭を与え、次の世代へ語り継いでいくべき真理を紡ぎ、そして、時代を超えて共感の輪を広げていく。そうした「物語」が秘める原初的な可能性に、今年、僕は何度も何度も心を強く震わせられた。

2021年、僕の心を震わせた「洋楽」ベスト10

昨年の「洋楽」ベスト10の記事の冒頭において、1年前の僕はこのようなことを綴っていた。 《コロナ禍だからこそ生まれた作品もあれば、特に上半期の作品の多くがそうであるように、コロナの影響を受けていない(背景として設定されていない)作品もある。その意味で、2021年こそが、ポップ・ミュージック史における「ウィズ・コロナ時代」の真の幕開けになる、とも言えるだろう。》 たしかに2021年は、ウィズ・コロナ時代の2年目へ突入した年となったが、ポップ・ミュージック・シーン全体のムード

2021年、僕の心を震わせた「邦楽」ベスト10

ウィズ・コロナ時代、2年目へ突入。先行きの見えない困難な日々において、それでも、いやだからこそ、この逆境を共に乗り越えていくための素晴らしい楽曲が、今年も日本の音楽シーンから次々と生まれていった。そして、2021年の音楽史は途絶えることなく、力強く更新されていった。それはとても奇跡的なことのように思えるし、一方で、同時に明確な必然も感じる。 数々のライブやフェスが中止に追い込まれる中で、例年以上に創作に深く向き合ったアーティストは多いと思う。今という時代に鳴らすべき音や掲げ