鹿はクソ硬い、狸はベイブレード
ミステリアスアピールなんて今どき流行らない。「趣味は人間観察です」は、現代ではもうさむいのだ。
今のトレンドは、オブラートに包み隠さないというところにある。
さて、
僕の趣味は、盗み聞きだ。
趣味にしたくてしたわけではない。気づけば結構盗み聞きしてるなーという感じだ。
僕は何も予定がない日、ファミレスないしカフェに本を5冊ほど持ち込んでそれを並行して読んでいくということをやる。
一冊に集中できないのでこの読み方をやっている。
さらに、本だけにも集中できないので、その間にスマホでプロスピをやる。そしてまた本を少し読む。
みたいな感じだ。
で、それらにも集中できなくて、周辺の席にお座りになっている方々の話を盗み聞きし始める。
聴こうと思って集中すると案外聴こえるのだ。これはカクテルパーティーなんとかだ。
で、先日。
僕の隣には、今どき珍しいガン黒ギャルのお姉さんとそれを取材している男の人が座った。
お姉さんは、最近の新幹線の技術についてお話されていた。
最近の新幹線は、鹿が線路に飛び出して来ないように鹿が嫌がる音を出しているらしい。
なぜピンポイントで鹿なのか。
それは、「鹿はクソ硬いから」らしい。
お姉さん曰く、鹿の硬さは本当にヤバいらしく、もし車が鹿を轢いてしまった場合、なんと車の方が再起不能になってしまうくらいやられてしまうらしいのだ。
「これが狸だったらぁ、ベイブレードみたいにスパーンって飛んでってぇ、大丈夫なんスけどぉ、まぁたまに対抗車線の車の方に飛んでってぇ、ダブルでフロントガラスやられるとかはあるけどぉ笑」
らしい。
つまり鹿はあまりに硬いので、新幹線が鹿を轢いてしまった時も、止まらざるを得ないということだ。
だからピンポイントで鹿が嫌がる音を出すということのようだ。
まて。
ということは、車体に影響がなければ狸がぶつかっても新幹線は走り続けるの?
じゃあ人間だったらどうなるのか。
電車の場合は?
電車が人身事故で止まるのは、車体に影響が出たからなのだろうか。車体に影響がなければ走り続けてしまうのか。
答えはおそらくNOだろう。
電車は、人を轢いてしまった場合、倫理観で止まっている。何故人間だけと思うかもしれないが、人間とはそれくらい残酷な生き物なのだ。と思う。
では、硬さ比べをするとどうなるのだろう。
鹿か、人間か、倫理観。
どれが一番硬いということになるのだろう。
①法定速度(時速60km)で走っている鹿を人間が轢いてしまった場合。
これは単純な硬さ比べになる。鹿と人、どちらが硬いのだろう。もしかすると、人はベイブレードのように対向車線を走る鹿の方に飛ばされてしまうのかもしれない。
②法定速度で走っている鹿が倫理観を轢いてしまった場合
きっと倫理観は歩きスマホをしながら横断していたのだろうと思う。はい次。
③法定速度で走っている人間が鹿を轢いてしまった場合
①と同様。いや、もしかしたら結果が変わってくるかもしれない。
④法定速度で走っている人間が倫理観を轢いてしまった場合
これは人間の本質はどこにあるのかという議論になる。轢いてしまった人間の方には倫理観が備わっていないという条件下での実験を想定しているので、めんどくさそう。
⑤法定速度で走っている倫理観が鹿を轢いてしまった場合
これは倫理観サイドがダメージを受ける。車体に影響がなければ走り続けるべきか、それとも………みたいな。
⑥法定速度で走っている倫理観が人間を轢いてしまった場合
これは人間が勝つ。倫理観は多分止まる。でも人間の方も轢かれちゃってる。というか、勝つってどういうこと。
このようなことを考えてみると、皆さんどうだろうか。
僕は、
「時速60kmで走っている倫理観」とか「対抗車線を走る鹿」とかの表現が
面白いなーって思う。
以上です。
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