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容疑者

腕に生まれつきの怪我をしている。
触ると痛いらしい。
皮膚を伸ばすために中に脱脂綿?かなんかをいれて生活し、暫く放っておいてある程度伸びたらその脱脂綿?を取り出す。
そんな手術をしていた。
入院すると当然たばこは吸えない。だから、俺は1週間禁煙できた。などと、自慢げに話す彼の横顔を見て、ほんとかよ、と、団扇で背中を叩く。
9月中旬にしては暑すぎる気温だった。汗だくになりながらわざわざ遠いところから来てくれた彼には感謝しかない。例え自分目当てで来てくれた訳でもないのに、勝手に都合のいい解釈をして、勝手に喜んでいた自分を殴りたい。それでも自分は今どこで何してるかっていうのを聞いてきてそれを嬉しそうに返信してる自分ってやっぱり、会いたいんだなって思った。
所詮マチアプで知り合ったとは言え、時間を割いてくれるところがいい所だなって、思うんだけども、どうかな。
彼は容疑者でした。
あの時はただ純粋に自分のメンタルが死んでて、もうどうしようもない程追い詰められた時、自分にしか頼れる人、まあ都合のいい人がいなかったから、きっとこうだろうなって、ただの憶測だったけど、穴を埋めたかっただけで腕に優しい力をかけて自分を抱きしめた。
自分はその時別に何も思わなかったけど、どっちも付かずで中途半端な自分を見て、彼は、一体どう思っているんだろうって。たまに考えて、罪悪感に苛まれてる。
変に連絡して、思わせぶって、意識させてはまた突き放す。
そんなこと繰り返して行くうちに、いつの間にか自分が落とし穴にはまっていた。そこが彼のいい所であり悪いところである。
話を聞くのが上手い、的確なアドバイスをくれ、否定と肯定の意見も出せる、常に中立である。こんなに頭の切れる人間はいないと思う。常に誰かの立場になって考えている。だから余計に神経使うからメンタルが死ぬんだろうな。その時にはまた自分を使って穴を埋めてくんだ。
彼は容疑者です。
今後の判決に期待したいところ。

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