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ヘアピンカーブの意義

僕らの行っている道づくりでは傾斜を登るのにヘアピンカーブをよく用います。これは施工には苦労するものの大変便利なものなのですが、時折、「何故こんなものをつくるのか?」と聞かれる事がありますので、理由をまとめてみたいと思います。

「スイッチバックではダメなのか?」
僕の聞いた限りではヘアピンカーブに疑問を持つ人の大半がこのように考えているようでした。確かにスイッチバックはヘアピンカーブに比べ施工が容易で土工量も少ないため、効率的に開設が進みます。しかし、これは運材に用いる機械がフォワーダ等の前進後進の切り替えが容易なものでは効果的なのですが、ダンプ等のホイールタイプのものではバックでの走行を強いられるため難儀します。向きを変えずに走れるのは大きなメリットです。
それなら、フォワーダを使えばいいではないかという話になるとは思うのですが、ダンプの利点として次のものが挙げられます。

・走行スピードが速い
・材の積み替えをせずに出荷できる
・フォワーダよりも長い年月使用できる
・燃費が良い

もちろんフォワーダにも悪路の走破性、小回り等々の利点はあるのですが、このようなダンプの利点は特に自伐型林業では重要です。


現代の林業の主流は高性能林業機械を導入し出材量を大幅に増やすことでトータルのコストの低減を目指すものですが、自伐型と呼ばれる林業は機械や集材の費用を最低限に抑える手法をとります。高密度路網とダンプの組み合わせで機械費用、集材コスト等の低減を目指します。

おそらく、林道があるところで単一の団地の集材搬出を請け負ったという前提であれば、スイッチバックを用いた道とフォワーダを用いた方が、低コストで作業が進むとは思われます。しかし、僕らの目指すとこの自伐型林業は施行の請負ではなく長期的な山林の管理を求める性質上、少量の出材を多数に渡り行うこととなります。この際、上記のメリットが重要になってきます。


林業の効率化という課題に対して、ヘアピンカーブとスイッチバックはある種の思想の違いを示しているのだと思います。林業に対する思想の違いが道に現れるのは非常に面白いと思います。

理由を挙げてみればだいたいこんな感じじゃないかと思います。

written by オヌマ

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