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伐木造材の実技試験


  何事にも流儀がありますが、チェーンソーでの伐倒にも流儀があります。

  使用する道具、手順、伐倒方向の選択、受け口の角度、体勢、安全の考え方等々、流儀によって細かく異なりますが、いずれか信頼のおけるものを選んで体得するのが上達の近道です。仕事仲間の安全を確かなものにするには自己流で十分という訳にはいきません。ヤモリーズはかねてより特定非営利活動法人ジット・ネットワークサービス(以下「ジット」)の伐木造材研修に参加しています。

 ジットの本部は静岡県にありますが、島根県にも支部があり、ジットが設けた技術評価制度において指導者クラスと認められた人が津和野に教えに来てくれています。島根県内ではこの技術評価試験が年に一度実施され、5月に机上試験、9月末に実技試験(伐木試験一日、目立て試験一日)があります。今年の実技試験は参加者11名のうち7名をヤモリーズメンバーが占めることになりました。

 試験にはジット創設者の石垣正喜氏、ジット副理事長の米津要氏が静岡から来られ、厳しく審査を行います。伐倒の審査は、伐倒の安全確認、姿勢、チェーンソーの操作、受け口や追い口の角度や水平、伐倒の正確さ、速度、状況に応じた判断力を減点方式でチェックされます。見物人を含めて約30人の視線にさらされながら木を倒すことにはかなり緊張感があります。

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 目立ての審査では、石垣氏がキンキンに研いだ刃と試験者が研いだ刃との切断速度の差を計測します。まず石垣氏の刃で切断速度を測り、石垣氏がその刃にヤスリで傷をつけて鈍くし、この刃を試験者が研いで切断速度を測るという手順です。切断速度だけでなく刃の角度も細かくチェックされます。

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 木を倒すことにここまで細かな安全への配慮と技術向上が必要なものだろうか、というのがジットの実技試験への素直な感想です。しかし、人間はいい加減な生き物なので、だいたい狙い通りの伐倒、とりあえず手早い伐倒、自分はきっと大丈夫という安全意識に陥るものだと思います。ジットの突き詰められた技術体系を軸として状況に応じる経験を積み重ねていくことは成功法だと思います。けっして伐倒を指導できる立場になって良い小遣い稼ぎをしてやろうというやましい気持ちがあるわけではありません。けっして。

DOM


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