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【メダリストscore36感想】子どもの甘えと司先生の目線

漫画『メダリスト』のscore36のネタバレ感想です。
未読の方はぜひ!ぜひぜひ!!読んでください。











これって光ちゃん、司先生に甘えてるよね?と思ったので長めの感想書きます。

score36で一番印象的だったのが、司先生と光ちゃんのタイマンバトル(?)です。
いのりちゃんの事で言い争ってるようで、焦点は二人のスケート観、人生観でしたね。

その中でのセリフ。

「大人相手ならまあまあキツイ事言ってもいいと思ってるでしょ!」
(score36)

司→光のセリフですが、これって典型的な子どもから大人への甘えですよね?
僕は子どもと接する職業をやっていたのですが、大人には何言っても大丈夫、って考えてる子は結構います。

幼児とはまた違って、他人に言っていいことと悪いことがあるのは分かった上で、大人には何でも言う。
叱られることで愛情を確認するタイプの子もいますが、光ちゃんはそのタイプではないかな。
大人はタフで傷つきにくい、と思っているから遠慮無しに殴りつけてくる、そういう甘え方の一つです。

犠牲を信条としている光ちゃんが、ほぼ対義語とも言える甘えを司先生にしてるのって本人は全く気付いていない矛盾で、子どもらしいかわいさだな、と思いました。



そして、過去、司先生に似たような甘えをした子がいます。
理凰くんですね。

僕はメダリストの中で理凰くんが一番のお気に入りなのですが、彼も以前合宿で司先生に突っかかりました。
(4巻p.40〜)

ジャンプやバッジテストなど、司先生が触れられたくない所を的確にえぐっていましたが、これも同じ甘えですよね。

本来、こういった甘えは家族、特に親に出るケースが多いですが、二人の家族関係だと難しかったのでしょう。



じゃあ、なんで司先生だったのか?
そこで気づいたのが、司先生の目線です。

光ちゃんの時は転んで、理凰くんの時は風呂に入っていて、どちらも司先生の目線が低いんですよね。
高身長の司先生は普通に立っているだけで子ども達を見下ろす格好になります。
でも司先生は、さん付けに代表されるようにむしろ子ども達をリスペクトしまくっているので、全くそういった印象はありません。

そして上記の場面は実際に司先生の目線が下がっている。
そこで二人の甘えが出て、それどころか決定的なセリフを言う場面では二人が司先生を見下ろす格好になっているんですよ。

この場面のように無意識でなっている時も多いのでしょうが、司先生はおそらく意識的にも目線を下げて子ども達に接しているんだと思います。
明るさという言葉だけでは表現しきれない、司先生の魅力の一つなのではないでしょうか。


さて、ところが、実はそんな司先生に甘えられない子がいます。
もう一人の主人公、いのりちゃんですね。

大会後、司先生に今まで話したことのなかった気持ちを吐露するいのりちゃん。
決して嘘をついている訳ではなく、本心を喋っているのでしょうが、悔しい、勝ちたかった、というネガティブな言葉は吐き出せませんでした。

時間のタイミングもあったのかもしれませんが、結果としてそれを吐き出せたのは司先生ではなくお姉ちゃん相手。

これはある意味当然で、さっきの二人と比較したらいのりちゃんにとって司先生は上すぎるんですよね。
いのりちゃんから見た司先生は、スケートも指導も上手で、自分の夢を信じてくれる理想のコーチですから。

そして更に、今大会で明かされたことですが、いのりちゃんは司先生に負い目を感じています。
自分が司先生の夢を終わらせた、スケート選手としての道を諦めさせたと思っているんです。

負い目は相手への甘えを厳しく制限します。
特に上の人間への負い目は場合によっては呪いにもなります。

関係性という面では完璧のように見えるいのりちゃんと司先生のコンビですが、実はまだ改善の余地があるのかもしれないな、と思いました。


今話でノービス編が終わり、いよいよジュニア編に突入するメダリスト。
まだまだ面白さが加速しそうで、非常に楽しみにしています。

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