「ダリアの思い出」にもならない
ポンポンダリアと言っていた。黄色のポンポンダリア、道行けば時に出会っていた。高校時代、花が身の回りに増えだした。ダリアという花が周りで聞こえだした。
通学路にもダリアを見かけるようになった。黄色いポンポンダリア。すごく印象に残ったが、カクタス咲きが流行りだした。※カクタス咲き=ダリアの花びらが外側に反り返って筒状になる咲き方。
それを植えてみたい。少ない小遣いから球根を買おうと園芸店に出かけた。都市計画で区画整理され、道路が拡幅された場所に店舗を開いていた。高校から帰り、手伝いの帰り道、店に寄った。広い店舗ではない。しかし、専業店とあって、かなりの品ぞろえだった。
ダリアの球根が軒先に段ボール箱に入れて陳列されていた。当時は咲き方など分からず、とりあえずダリアをと品種を確認もせず、球根を取り上げた。見ると、球根と茎の間にある膨らんだ部分(クラウン)が折れたようになっていた。
今なら分かる。当時は「おかしいな」と思いながら、店に陳列されているからどこからか芽が出るだろうと勘違いしていた。まさか、不良品を陳列するわけはない、思い込みが芽を出さない球根があることを知らされた。あの時の店員の表情が今でも蘇る。
50数才、ツツジに出会うまでは花に興味を持たなかった。妻が購入してくる花を「ぼろくそ」に言っていたと聞かされた。ダリアにはそれからも何の縁がない。道で見かけても視野に入らそうとはしていない。