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読書ノート①:ビル・ゲイツ『地球の未来のため僕が決断したこと』がようやく手元に

ビル・ゲイツによる(2021)『地球の未来のため僕が決断したこと――気候大災害は防げる』早川書房。米国では、2020年、2021年と出版されている(Library of Congress)。(原題:How to Avoid a Climate Disaster: The Solutions We Have and the Breakthroughs We Need)日本では、訳書が2021年8月18日に発行された。

「a Climate Disaster」を気候変動ではなく、訳では「気候大災害」を採用している。直接的なメッセージは与えるが、気候変動による問題の多様性は伝えることはできない。しかし、気候大災害を避けることができれば、他の問題も同じように解決の道を辿ることはできるだろう。

余談:最近の本の目次のスタイルには変化があるのか、目次の体裁はこれで2冊目である。いいかどうかを問われると、捉えにくく、好きではない。また、訳書は基本横書きが望ましいだろう(本書は文学作品ではない、文学作品であっても縦書きにするのは文化の根返しになる)。現に、Noteの早川書房の「ビル・ゲイツ20年ぶりの著書 『地球の未来のため僕が決断したこと』好評発売中」は横書きである#。

本書の「はじめに」で、「510億からゼロへ」としている。

気候変動について知っておくべき数字として、510億と0ゼロを挙げている。

・510億は「毎年」世界の大気中に増える温室効果ガスのトン数を示す*。一方、ゼロは温暖化に歯止めをかける目標数値である。
*入手可能な最新データに基づいている、とされている。

温室効果ガスのトン数を510億としているが、本書でも指摘しているように、温室効果ガスは大気中で熱を閉じ込め、地球の表面平均温度を上昇させる。(ここの表現も注文書きがある。平均温度だけではなく、平均からの乖離が悲惨な災害を起こすことに注目しなければならない。単に、平均だけに着目していては、的を外れる。)

ここで追加して考えなければならない問題がある。表面温度ばかりではなく、植物や動物にとって重要な土中の温度も大きく問題にしなければならない。この問題は一部を除いて捨象されてしまっている。この問題はさらに重要である。

本書でも指摘されているが、排出された二酸化炭素は累積されて残ることに注意しなければならない。二酸化炭素は排出されると、すべてではないにしろ、残留することに注目しなければならない。本書によると、今年排出された二酸化炭素の5分の1は1万年後も残る。二酸化炭素の排出が行われ出してから累積されて残っている二酸化炭素は今年の排出量を超えるかもしれない。

人類の存続を云々するのは非常に重要である。しかし、そのような婉曲的・間接的な理解ばかりではなく、企業にとっては、もっと直接的な問題がある。このような問題に取り組まなければ、企業はやがて「市場」を失うことになる。例えば、二酸化炭素を排出する自動車を売ろうとしても、市場が細くなれば、車の売れ行きは落ち、市場がなければ、売ることはできない。

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#発行元 :早川書房Hayakawa Books & Magazines「ビル・ゲイツ20年ぶりの著書 『地球の未来のため僕が決断したこと』好評発売中」はhttps://www.hayakawabooks.com/n/n79ec75ffb9e7