読まずに!読書感想文

本が好き!なのに読む時間が無い!それでいいじゃないか!読まずに語るフェイク読書家のノート

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本が好き!なのに読む時間が無い!それでいいじゃないか!読まずに語るフェイク読書家のノート

最近の記事

流星ひとつ

45歳になり、とうとう演歌の良さが分かるようになってしまいました。 1979年に何度かに渡っておこなわれた、当時引退を発表したばかりの歌手・藤圭子に対するインタビュー。その後、主に著者の意向によりお蔵入りしていたのを、藤の死後の2013年に刊行されたものです。 藤圭子に限ったはなしではないですが、いくら有名人といえども、"自身を語る言葉" を必ず持っているとは限りません。この人は明らかに、持ってません。だから最初のほうはぜんぜんおもしろくない。 しかし著者の老獪な粘りの

    • 凪のお暇

      Kindle unlimited で 1、2巻が読み放題対象でした。(2021年6月9日現在) ありがとうございます。 "生きづらさ" を扱った作品が大ブームですが、もちろんそれを揶揄しようなんて、断じて思ってませんよ。そこに確実に存在する "生きづらさ" を、少なくとも、無かったことにはすべきでない。そこの意識は高く持っていたい。これは僕も含めた多くの現代人の基本的考えだと思います。 そんな読者に対して、しかしこの作品は例えば、 「引っ込み思案で自己評価が低めのシングル

      • 三体

        これを書いているのは2021年の5月下旬です。 いやー、完結しちゃいましたね。噂通り3巻が最もしびれる内容でした。 1巻では地球人は、ひいては読者は、"三体"と呼称される異星文明に翻弄されまくります。なぜかというと、それが完全に異なる世界だから。理解できないのも当たり前です。こうして世界観を根っこから揺さぶられるのがハードSFならではのスリルですね。そして様々な登場人物たちが大きな運命に翻弄されていくダイナミックな展開にただただ引き込まれます。 2巻『黒暗森林』はさらにす

        • 本を捨てる

           僕がこのステイホーム期間中にやったことのひとつは、ご多分に漏れず大掃除・断捨離でした。もちろん本もその対象です。どれくらい捨てだろう?そうだなあ、まあ、率で言うと蔵書の50%も捨てていないんですが、とはいえ今まででいちばん大量に捨てることができたんではないか。  たくさんの本を本棚に入れているということは、たくさんの過去と一緒に暮らしているということです。そう書くとなんだか後ろ向きな姿勢のようですが、単純にこれが当たり前だったんです。今までの人生では。  これが当たり前

          かぐや姫の物語

           もうさんざん素晴らしい評が出回っている素晴らしい作品なので、いまさら言い足すこともないのですが。  ご存知のとおり、この作品は、いくつもの観点から観者を雄弁にさせる作品ですよ。アニメーション映画の表現について、とか、ジェンダー論に立脚したあれこれついて、とか、書きたいことがいっぱい。しかし今回は、この作品の宣伝コピーにも含まれていた「姫の犯した罪と罰」について読み解いていきたい。  あらすじはみんな知ってますよね。里山の竹取の翁の家に授けられ育った姫は幸福な子供時代を過

          徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと

          自分はしませんけどね、リノベ。賃貸だし。 まだ途中までしか読んでいないのですが、あまり事前に予測していた通りだったの書き留めておこう。何が予測通りだったかというと、「コンピューターシステムの更新」と、住居のリノベーション、まったく同じなんですよ、顧客視点でも業者視点でも。  「等価な価値を交換するだけの取引」と「プロジェクトを協働して価値を分け合う取引」とがあって、リノベーションは後者であること、とか、スケジュールも費用も実は顧客によって左右されているのだ、とか、見積もり

          徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと

          Back Street Girls

          アイドル全盛期の日本サブカルチャー界に一石を投じるかと思いきや別に何も投じない作品の紹介です。  ViViのサイトを見てたんですよ。そしたらいま ViVi には、まんがが載ってるんですよね。そのうちのひとつがこれだった。この作品は確か実写映画化されていて、そのポスターを見たことがあった。ヒロインの女優がすごくいい顔をしてたんで憶えていた。あー、あの映画の原作がこれかあ。どれどれどんな感じなんだろうと思って見てみました。  なになに?えーとヤクザの三人組がしくじって、ケジメ

          私がオバさんになったよ

          ジェーン・スー、いつもながらタイトルが見事すぎる・・・。  元々は「私がオバさんになったら、あなたはオジさんよ」というワンセットのフレーズでしたよね。その、上の句だけを使ってこの切れ味。短歌から俳句が生まれた瞬間を目撃したのかおれは?!いっぽう、リズム的には"破調の美"で攻めている。そこの味わいもイイ。ちなみに旧作の『女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。』にも同じことを感じてました。  タイトルだけでこんなに楽しめるなんて、読まずに!読書感想文 冥利に尽きる。  僕、ジ

          私がオバさんになったよ

          もやしもん

          9巻か10巻くらいまで読んで、そしてやめた。なぜそんなことになったんだろう?って話。  石川雅之を最初に知ったのは、モーニングで連載された『週刊石川雅之』でした。これがきわめて面白かったので、『もやしもん』が始まったときも当然のように読者になりました。  発酵(食品)と、それを扱う大学の風景っていうモチーフの新鮮さが良かったですよね。あと、いわゆる"起承転結"みたいな作劇法を用いていないタイプの作品なので、まあ、だらだらと買い続けていたわけです。装丁も美しい本だったし。が、

          アデュー

          TBSラジオの『ラジオシアター~文学の扉』で何年か前に扱われて、それで知った作品。いやあ、しかしあの放送回はすごかった。  なによりその荒唐無稽さ、に驚いたんですよね。  あらすじを言いますね。ええと、主人公は軍人の男でね、その恋人は、ナントカ伯爵夫人なの。で、ナポレオン戦争の戦地でね、フランス勢は逃げなきゃいけなくなってね。軍人は船を作って、伯爵夫妻を船に乗せて逃がすの。アデューアデュー言ってね。  でもその船から伯爵が転落しちゃってね、死んじゃうの。そのせいで夫人はちょ

          すみれの花の砂糖漬け

          僕、詩は怖いんですよ。ともすれば言葉が尖すぎて。  でも、なんか英国では、2018年に詩集が130万部も売れたっていうじゃないですか。すごい!ちょっと読んでみたい。よく知らないけど英語でいう"詩"って、形式が決まっているんでしょ?ということは日本語でいうと短歌とかに近いんだろうか?  短歌なら読みやすい。尖った歌もそりゃあ、作ろうと思えばいくらでも作れるんだろうというのは分かっています。でも雑誌『群像』の、穂村弘さんによる連載「現代短歌ノート」なんかは、すごく気楽に読める

          すみれの花の砂糖漬け

          僕はビートルズ

          ちょうどこの作品が始まったあたりから、モーニングを買わなくなっちゃんたんですよね、僕・・・。  「もしも、歴史がXXXXだったら・・・」というアイディアは、フィクションの王道と言っていいでしょう。たとえば「もし第二次世界大戦で枢軸国側が負けてなければ」っていう作品はいっぱいあるじゃないですか。人によってはそんなの心穏やかではいられないでしょうけれど、でも話が第二次世界大戦ならまだいいほうだった。まさかこのタイプのプロットにビートルズを持ち込んでくるだなんて、いま生きている人

          ダーリンは7x歳

          西原理恵子との出会いは、『恨ミシュラン』あるいは『まあじゃんほうろうき』。自分は高校生でした。  以来、西原作品はぜんぶ買っていたんですが、「あ、もう買いたくなくなった!」と自覚したのが『西原理恵子の人生画力対決』でした。つまらなかったから?うーん、というよりも、あれって、まんが作品であると同時にリアルな催し物でもあったから、"観客"というものが存在したし描かれていたでしょ?それが僕には完全に不要だったから。  作品のオーディエンスは自分ひとり居ればよくて、むしろその状態

          The Night They Drove Old Dixie Down

          ザ・バンドを知ったきっかけは本でした。イラストレーターの、矢吹申彦さんのエッセイ本『文人志願』で、ザ・バンドが結構な分量を割いて扱われていました。あれ、読んだのは中学生くらいだったろうか?  「The Night They Drove Old Dixie Down」という英語に美しさを感じませんか?体言が先行して、後続の語がそれを修飾するという組み立て。プラス、"drive down" という二語からなる句動詞が目的語を間に挟むかたちで使われている。日本語話者の脳には新鮮な

          The Night They Drove Old Dixie Down

          うなぎばか

          うなぎ、どちらかといえば買い控えてます。まあ、確固たる信念を持って不買を貫いてるわけじゃないから、ひと様にどうこう指図するような立場じゃないけど。そもそも普段からしょっちゅう買うもんじゃないしね。  あとマグロも買い控えてますね。というかさあ、マグロもうなぎもなんであんなに派手に売られ続けてるんだろう?既に代用魚に入れ替わっているとか?だから問題ないと?だったらスーパーにはちゃんと説明をしてもらいたいと思う。  もし僕がスーパーに勤めていたらどう思うだろう。魚族保護のため

          私はテレビに出たかった

          松尾スズキのファンです。主として文筆家としての松尾スズキの。  大人計画の公演こそ行ったことがないものの、小説、随筆はぜんぶ買ってましたし。映画も、監督作・出演作は必ず観ていました。だったんですが・・・。  徐々に雑誌での連載が減り、主な執筆の場が有料メルマガという不透明(に感じられる)なフィールドに移ってからは、本の刊行ペースがよくわからなくなっちゃったんですよ。薄い電子書籍が何冊も出たり、その合本版であると思しき紙の本が出たり、で、その後出た本は?その続刊なの?あるい

          私はテレビに出たかった