でんぱ組.inc「W.W.D」とプロデューサー福嶋麻衣子について

今回紹介するでんぱ組.incの名曲「W.W.D」を発表するまで、プロデューサーであるもふくちゃんこと福嶋麻衣子は音楽好きな人たちに向けて意識した動きを行ってきた。

メジャーデビュー曲「Future Diver」はアニキこと小池雅也を向かえることでアニソンファンの目を向けさせ、かせきさいだぁと木暮晋也の共作「くちづけキボンヌ」や小沢健二のカヴァー「強い気持ち・強い愛」では渋谷系を、さらにBeastie Boysのカヴァー「Sabotage」まで発表し、洋楽ファンを振り向かせようとしていた。ミュージックマガジンに掲載されていた福嶋麻衣子のインタビューによると、非常階段とのコラボも計画していたという。(こちらについてはBiSのほうが先に仕掛けたため、実現はならなかった。)

それらの仕掛けが功を奏したのか、はては別の影響か、でんぱ組.incの名前は少しずつ広まっていった。そのタイミングで発表されたのが今回紹介する「W.W.D」、自分にとってアイドルを聴くきっかけとなった楽曲であり、現在のでんぱ組.incの大躍進のきっかけともなった楽曲である。

本楽曲ではメンバーのいじめや引きこもりの過去を吐露し、それらのネガティブな過去があって今があり、それでも世界に向けて活動するという夢に向かって突き進むという意思表明を行うことで、ファンの応援したい心理を一気につかむことに成功した。本楽曲を聴いたときはそのネガティブな歌詞と目まぐるしい展開に驚いたのだが、何よりこの絶妙なタイミングで本楽曲の発表を決断した福嶋麻衣子というプロデューサーに驚嘆した。

上記に記載した通り、でんぱ組.incは各方面の音楽ファンを振り向かせようと様々な仕掛けを行ってきた。そして音楽ファンが少しずつでんぱ組に意識が向いたタイミングで、福嶋麻衣子は今までのアイドルソングでは考えられないようなネガティブな歌詞とドラマチックな歌詞が人々の心を掴み、またメンバーにとっても本音を吐露することで確実にステップアップするということを感じ取り、またこれらの展開を実現する楽曲を作成できるのは前山田健一しかいないということを感じ取っていたのだ。そしてその全てが成功したのである。

本楽曲で初のオリコントップ10にランクイン、直後のZeppTokyoのワンマンライブがSOLD OUTするなど一気に流れに乗った結果、現在のでんぱ組.incの大躍進に繋がっている。でんぱ組.incの知名度に比べると福嶋麻衣子の知名度や評価がまだまだ低いと感じている今日この頃、絶妙なタイミングで「W.W.D」の発表という名仕掛けを行ったプロデューサー福嶋麻衣子の名はもっと評価されるべきではないだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?