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THE AMBIENCE OF SPORTS

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カメラマンとして残したいのは「カッコいい瞬間」です。僕がみつけたカッコいいを御覧ください^^
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2020年7月の記事一覧

THE AMBIENCE OF SPORTS vol.48

スポーツ漫画は演出のひとつとして、デフォルメされた表現が多い。 例えば、古くは瞳が炎になるところから始まり、ボールが歪んだり、バットやクラブが恐ろしくしなったりする。 こうした表現は子供心をくすぐるし、大好きだったけれど、大きくなってくる流石にそれはやりすぎでしょ? と思うシーンもあった。 しかし、この写真を撮ってから、スティックがしなっていることを初めて理解できたし、人間は見ているようで、実は見えていない瞬間がたくさんあるんだということを学んだ。 △▽△▽△▽△▽△

THE AMBIENCE OF SPORTS vol.47

往年のスポーツ写真愛好家にはラグビー好きが多い。身体の大きなラガーマンはそれだけで絵になるし、なんと言っても競技は迫力満点だから被写体として最高なのは間違いない。 僕がまだ独立する前の話だけれど、学生時代にお世話になったNさんの紹介である大学のラグビー部を2年ほど撮らせてもらったことがある。 関東リーグの2部か3部だったと思うけれど、会場は大学のグラウンドで土だ。大雨が降ると田んぼみたいになる。その中でスクラムやタックルを繰り返すから、選手たちは泥まみれになる。 当時、

THE AMBIENCE OF SPORTS vol.46

当時、日本はちょっとしたシャラポワブームに陥っていた。その美しい容姿に日本の男どもがキュンキュンしていた訳で、僕もその一人だった。 で、いざ写真を撮るとなるとなかなか難しいことに気がついた。ハードヒットが特徴の彼女のたくましい腕の筋肉や雄々しく叫ぶ姿は、それまでも様々なメディアで報じられてきた。 すこし悩みながらセレクトしているときに見つけたカットがこちら。 サーブ中の写真でガットがちょうど顔にかかっている。ただそれだけの写真だけれど、なんだか新鮮だった。 その理由は

THE AMBIENCE OF SPORTS vol.45

やるべきことは分かっている。 光と影と砂、そして人。 この4つの要素をいかにして写真の中に落とし込むのか。 シンプルだからこそ難しくて、僕はまだ正解にたどり着いていない。 めちゃくちゃ暑くて、全身砂まみれ、汗まみれになる。 それでもまた足を運んでみたいと思わせる魅力が、ビーチバレーにはある。 2007年@お台場/JBVツアー △▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽
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THE AMBIENCE OF SPORTS vol.44

僕が初めて撮ったワールドクラスの選手はこの3人だった。 左からサミュエル・エトー、エマニュエル・アデバヨール、ディディエ・ドログバ。 エジプトのアフリカ・ネーションズカップは多くことを学んだけれど、この3人を撮ることができたのも大きな収穫だった。 「黒人選手特有のバネが、、」とかインタビュー記事でよく見ていたけれど、身体能力の違いを実際に写真を撮って実感することができたからだ。 いつもだったら収まっているフレーミングのはずなのに手足が切れたり。予想より高く飛んでいて頭

THE AMBIENCE OF SPORTS vol.43

競泳を撮るとき大切なのはリズムだ。スイマーの動きに合わせてリズムよくシャッターをきる。速い選手ほどそのリズムは一定だ(と思う)。 ここで注意しなければいけないのは、何を優先したいか決めておいた方が良いということだ。つまり、スイマーを撮るのか、水の動きを撮るのか。スイマーの顔がよく見える瞬間に水が面白い動きをしているとは限らない。 どちらも撮ろうとすると結果的に膨大な数の写真が撮れてしまうし、途中で何を撮っているのか訳がわからなくなるから、あまりオススメはしない。 僕は基

THE AMBIENCE OF SPORTS vol.42

初めてセーフコ・フィールド(当時)に行ったとき、アメリカのベースボール文化にメチャクチャ感動した。スタジアムのことをボールパークと呼び、たとえ試合がやっていなくても、なんだかウキウキした気分にさせられる雰囲気には圧倒された。 色々なルールはあるけれど、撮影環境だって良好だ。これはMLBを昔から取材しているフリーランスの先輩方のおかげなんだろうな、と感じた。 だいたいスリ鉢状の日本の球場と違って、アメリカのボールパークはそれぞれ特徴的な形をしている。セーフコ・フィールド(当

THE AMBIENCE OF SPORTS vol.41

初めてビーチバレーを撮りに行ったときに、これだけは撮りたいと思ったのはレシーブの瞬間だった。 本当は横っ飛びしながらの瞬間が良かったけれど、難易度が高すぎたので、いろはの「い」でサーブレシーブを狙って撮れた一コマ。 デジカメになってから写真をプリントにする機会はめっきり減った。特に仕事で撮った写真なら尚更だ。 この写真はデジカメの背面モニターでは確認できなかったけれど、大きなサイズのプリントに引き伸ばしたら、サングラスにボールが写り込んでいることに気がついたので印象に残

THE AMBIENCE OF SPORTS vol.40

このシリーズは週3で更新をしていて、今は2003年〜2007年の5年間の作品を振り返っている。 最初は競技がかぶらないようにしていたのだけれど、vol.36からは2巡目に入りこのイベントの写真も最初の頃に出している。そのときは背景が黒く落ちるポイントを探したエピソードだったけれど、今日は別の背景を探して彷徨った写真をご紹介したい。 前回、紹介した背景が黒く落ちるポイントはすぐに見つかって、イベントが始まる前のデモスキーヤーでイメージ通りの写真が撮れてしまった。 そのあと

THE AMBIENCE OF SPORTS vol.39

日本でテニスのトップ選手を撮影できる機会はすごく限られている。2008年まで男女共催だったジャパン・オープン・テニスは世界レベルに触れられるまたとない機会だ。 10月上旬に開催されるから、いつも天気が良いようなイメージがあるけれど、僕の感覚だと意外と晴天になることは少なくて、どちらかというと秋の長雨にあたることが多い。 どうせ写真を撮るなら青空の下で写真を撮りたいから、この時期は天気予報とにらめっこして秋晴れを願う日々が続く。 そして、ささやかな願いが叶って見事に晴れ渡

THE AMBIENCE OF SPORTS vol.38

マラソンやロードレースではロケハンとシュミレーションが命になる。 どこでどんな写真を撮るのか、そのあとの移動手段まで考えながら撮影ポジションを決めていく。ラストはゴールエリアで撮るつもりだったから、周回コースのラップ数を数えながら徐々にゴールへ近づいていった。 どんなに入念な下調べをしても想定外は起こりえる。 さぁ、そろそろゴールへ戻らねば! 小走りで坂道を下っていたら想像していなかった光景がそこにはあった。なんとコースにお客さんが溢れかえってしまい、フィニッシュエリア

THE AMBIENCE OF SPORTS vol.37

今から5年前、いわゆるブライトンの奇跡で一躍、時の人になった五郎丸歩。このとき話題になったのが、彼がプレースキックを蹴るときのルーティンのポーズだった。 その10年前に撮った一枚。 当初は変わった名前の選手というイメージだったけれど、プレースキックのとき、ボールをクルッと一回転させてからセットする姿が印象的だった。とても大切そうに優しくボールをセットする様子は、彼の真面目で実直な性格を表しているように思えた。 そんな彼が10年後、世紀のアップセットと呼ばれる試合の立役者

THE AMBIENCE OF SPORTS vol.36

僕が初めて行った陸上競技場は国立競技場だった。 サッカーの撮影だったけれど、トラックの外周に溝があることを発見した。この溝が何を意味しているのか、このときは知らなかった。 その役割を知ったのは陸上のインカレの撮影で横浜国際総合競技場に訪れたときだ。溝に水が張られ水濠となり、平均台のような障害物が設けられていた。 3000m障害。トラックに設置された5つの障害物を飛び越え走りきる種目だ。この種目で撮るべきは水濠だ。 まだフイルム時代で、デジタルのようにパシャパシャできな