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冷たい女

吞み込んだのは
賞味期限の切れた心臓。

私は腐敗をためらうあまり、
禁欲的な温度管理に依存した。

舌の根元にはスイッチが隠されていて、
そこを人差し指で押し込むと
するすると感情が抜けていく。

命の証明/体温と引きかえに
手に入れたのは、
方程式に当てはめた愛でした。

コーヒーカップを適切に満たして、
不機嫌な虚数解をなだめることで、
退廃と憂鬱は剥がれていく。

赤い唇が花開いたら、
飢えた舌を伝って
冷気が外に洩れ出てしまうでしょう。

だから、無口な女を演じることに決めただけ。

あなたがせっせと夢を紡いでいるあいだに
摂氏170℃の口づけを、して。

「夢に溺死しておしまいなさい」

さようなら、
人間は時間を持っているから嫌いだったよ。

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