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祝詞 -norito-

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永遠に解けない暗号を、祈りの言葉に代えて。 詩集のような短編集のような。 書き手の意図など置き去りにして、言葉の羅列から立ち上ってくるイメージや感覚、それらが自分の内側にある世界…
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2017年3月の記事一覧

編み姫

編み姫

 今、来春の羽化に向けてせっせと羽を編んでいる。 
 陽当たりの良い窓もロッキングチェアもないけれど、すっぽり頭まで包んでくれる寝袋の中に、買い込んだ毛糸と一緒に籠るのも、案外悪くないものだ。
 それにしても、羽を一枚編むのに毛糸玉が八玉も要ることにはおどろいた。四枚でしめて三十二玉、色は烏の羽根から紡いだ黒と、りんどうの花びらを練り込んだ青、他に装飾用の翡翠とルビーも。それだけ買うと私の財布は空

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告白

告白

 折り目ただしくおとずれる生理にあこがれて、ほぼ休みなく失い続けた三月分の血液を、埋め合わせる術など私は持っていないのです。
 貧血には鉄分の補給ということで、ベランダの欄干や公園の鉄棒にこっそり舌を這わせてはみたものの(ドアノブ少女になるほどの勇気はなくて)、視界を蝕む影の気配は消えない。

 ところでこの場合、毎度きちんと排卵が行われているのでしょうか。もしや、寝かしつけるべき卵子も見あたらな

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巨影

巨影

 息苦しいのは単純に考えて酸素不足のせいで、さらにその原因を辿っていけば、空気を通さない密室に閉じこもっているからだということになります。
 だから、私の四方八方を囲っている、これ、この壁やら天井やらの正体を突き止めなくてはなりません。こいつを形作っている、私の意識の構成を見極めなければなりません。
 壁は非物質的で普段は無色透明だけど、じっと目を凝らせば、しゃぼん玉のようにとある光景を映したり表

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