見出し画像

ウクライナ戦争8


ウクライナとロシアの戦争によって、すでに470万人の避難民がウクライナを離れた。そのうち、270万人がポーランドに逃げているが、受け入れているポーランドも大変なことである。

ポーランド人口は3800万人であるから、避難民を合わせると4070万人、約14人~15人に1人が避難民という計算だ。避難民への生活の面倒、住居提供、子供の教育、仕事の世話などを考えたら、ポーランドもそろそろ限界かも知れない。

ここ数日の戦況を見ると、どうやら、戦局はウクライナ側に傾きつつあるようである。死地に陥っているウクライナ軍であるとは言え、意地の反撃があり、ロシア黒海艦隊の旗艦であるミサイル巡洋艦「モスクワ」が、ウクライナ軍のミサイル攻撃2発を受け、撃沈したことが報道された。アメリカ国防総省の発表であり、事実であると思われる。

ウクライナの国産巡航ミサイル「ネプチューン」(射程距離280~300km)から発射されたミサイルである。ロシアは火災が起きたと言っているが、どうも真実ではないようである。

ロシア軍艦隊の旗艦沈没、黒海艦隊の防空戦力の低下、ロシア軍兵士の士気喪失などを考えると、ミサイル巡洋艦「モスクワ」を失ったことは、今後の重大局面を迎える流れの中で、大きな意味を持つ出来事になるのではないかと見ることができる。

ミサイル巡洋艦「モスクワ」は、長距離防空システムを担うクラスのものとして、ロシア海軍が現在保有する唯一の艦船であるとされている。

従って、黒海艦隊の軍事活動のため、艦隊全体の防空と同時に、指揮統制機能を果たす役割まで持っている重要な艦船であったということから、「モスクワ」の撃沈は、ロシアにとって、深刻かつ致命的な打撃である。

しかも、ミサイル巡洋艦「モスクワ」の艦長アントン・クプリン大佐の死亡が、ウクライナ内務省から報じられており、死者は一人もいなかったというロシアの報道と食い違いを見せている。

「モスクワ」の撃沈に対するロシアの報復攻撃が今後、ウクライナの各都市で始まることが予想され、すでに、キーウ、ハルキウ、マリウポリなどでその兆候が見られる。ウクライナ側も相当の報復を覚悟しなければならないかもしれない。

さらに、ロシアにとって悪いことに、今度のロシアによるウクライナ侵攻を見て、考えを大きく変えた国が、ロシアと隣接するフィンランドであり、フィンランドのお隣であるスウェーデンだ。フィンランドもスウェーデンもこのままではいけないと思っている。

ロシアは、ウクライナを「中立化」する、言い換えれば、フィンランドに中立化を強いた歴史があるが、同じように、ウクライナを「フィンランド化」するという意図をもって臨んでいた。

そのフィンランドのマリン首相が、4月13日、スウェーデンのアンデション首相と共同記者会見し、二人は中立政策を転換して、NATOに加盟申請する方向で動くことを宣言したのである。このように、中立化では危ないと感じたフィンランドはNATO加盟を強く打ち出している。

こうして見ると、ウクライナの中立化どころか、ロシアに気遣って、中立国を保ってきたフィンランドとスウェーデンを却ってNATO加盟へと向かわせる失策に繋がってしまった。「NATO加盟阻止」のウクライナ戦争が裏目にでている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?