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鷗軍不定点観測2022【12】

5月3日(火・祝)vs. 西武    @ベルーナドーム
[敗]小島 ●2−4 [勝]佐藤[S]増田

気持ちの良い乾いた風が男性たちの嬌声を運んでくる。いつもの少年野球のものではない。現地販売会会場の裏のグラウンドでは、10数名のインド人がクリケットを楽しんでいた。皆ジーンズやジャージ姿で、だいぶ使い込まれた道具で。僕らが草野球をやる時と同じように、腹の底から笑い声を上げていた。「草クリケット」っていうのだろうか。
ふと思い付いて木村昇吾のTwitterを覗いてみた。

一回裏。ライオンズファンの野球友がスタンドの売り子さんといちゃついている間にライオンズがチャンスを迎える。
2死から、外崎の右中間の飛球。フェンス手前で中堅手髙部が追い付いた。と思った直後にボールがグラブからこぼれた。交錯した福田秀が目に入ってしまったか。山川は右膝に死球。中村には四球。高木の三振でことなきを得た。

三回表。エチェバリアと高部の連打で無死一、三塁。牽制2球のあと、高部がディレードスチール失敗。髙部の単独か、エチェバリアのサイン見落としか。中村将の三ゴロにエチェバリア動けず、2死。佐藤都が初球を左前に落として1点先制。とは言え、何となくちぐはぐではある。

小島と佐藤隼の左腕対決だ。いい投球はするのに勝ち星に恵まれないのも一緒か。
先制はされたが、佐藤は変化球の制球がとても良かった。
弁当を終えて、「速報」に切り替える。

三回裏。1死後、外崎右前打。山川が逆転の2ラン(「HOME RUN!!」)。中村剛が「三安打 強襲(安田)」。2球目に「捕逸(松川)」で二進。2死にしたが、山田が左前適時打で3点目。

今季の小島は4試合中3試合が「クオリティスタート」だ。ただ、どの試合でも1回だけ魔が差したように集中打を浴びるイニングを作ってしまう。それでも失点は悪くても4点だから、彼だけの責任ではないのだけれど。

四回表。簡単に2死のあと、福田秀四球、松川投失で一、三塁になった。福田の四球の時、「ベンチに戻りかける(佐藤)」とあったから、微妙な心理の揺れがあったのかもしれない。
エチェバリアの「詰り、ポテンヒット」で1点差とした。

文字を追っていて、とても気になった。小島が2ストライクに追い込んでから打たれることが多い。「速報」で言うと黄色の●を2つ先行して灯らせながら、打たれている。
ライオンズの作戦なのか、リードの問題なのか、判断が付かなかった。

両投手とも六回まで投げてマウンドを降りたが、小島が114球、佐藤隼は91球だった。

ライオンズは本田、平良、増田が無得点で継投した。七回表の2死一、二塁を生かせなかった時点で、マリーンズの勝利はかなり遠のいたと思った。

逆にマリーンズは田中靖の暴投で八回裏に追加点を与えてしまった。
追い込まれながら中村剛が右前打し、高木の送りバント、山田の中犠飛で2死三塁にするまで、ほとんど時間をかけなかった。田中はこれまでずっと良い投球をしてきただけに悔やまれる。

夜、帰宅してからリプレイを観た。
山川の本塁打も中村剛の八回の右前打も、バットコントロールが芸術的だった。
小島と松川のバッテリーは、もう少しアジャストの時間が必要に見えた。

今日再登録・スタメン三塁の安田は、空振り三振を3つしたが、どれも「自分の形」で振っているように見えた。4打席目の平良には完全に力負けの三邪飛だった。
久しぶりの一軍で、打球と投球の速さを思い出したかもしれない。
明日も出してもらえたら、打つんじゃないかと思った。

5月4日(水・祝)vs. 西武    @ベルーナドーム
[勝]河村[S]益田 ○7−5 [負]松本

休日。
買い物に出る前に攻撃を少しだけ見ていくつもりが、髙部の四球から打者一巡で5点を取るところを夫婦で観入ってしまった。

松本は全体的に球が高かった。
2番で先発出場の和田がバント失敗のあとに右前打したのを、どう評価したものか。
佐藤都から安田までの5連打で胸のつかえがいくらか取れた。
それでも、ライオンズの攻撃がまだ9回ある。

河村は今季初先発だ。二軍で5試合に先発して2勝2敗だが、直近の試合の出来はあまり良くなかった。

「速報」を眺めながらスーパーやドラッグストアを回る。三回表に、今日(ようやく!)先発出場の菅野が右翼フェンス直撃二塁打。今日2安打目だ。安田とエチェバリアも連打して2点を追加した。ヨークマートの野菜売り場で拳を握った。それでもまだライオンズは7回攻撃できる。

河村は走者を出しながら無得点で凌いできたが、五回裏に捕まった。2死一、二塁からオグレディ、外崎、山川に連打を浴びた。7−4。今日は早いカウントから打ってくる。

マリーンズは四回と五回をあっという間に終えた。ボー・タカハシ?
向こうに傾くかな。マツキヨでそう思った六回裏、小野郁が3者三振で片づけて、流れをもう一度引き寄せる。

帰宅した。八回裏だ。小野郁を東條が継ぎ、この回は西野だ。柿沼が今季初マスク。
中村剛が左前打。代打栗山に四球。ここで山田に打たせるとノっちゃうなー三振してくれた。
西野は常にお腹が痛そうな表情で投げるから、こちらも不安になってしまう。柘植を中飛、金子を左飛に抑えてようやく頬を緩める。
それでもまだライオンズはもう1回攻撃できる。

マリーンズは四回から無安打だった(3四死球)。九回表も和田死球、小川四球で2死一、二塁とするが無得点。徳俵に足を掛かったように感じる。

「まっすー、先頭出さないで」と妻が言い終わらないうちに源田が右中間を破った。エンタイトル二塁打となり、源田は塁上で悔しそうな顔をした。オグレディ遊直で1死。
外崎にストライクが入らない。3−0からようやく1つ。5球目ファールで3−2。全て外角直球だ。6球目に初めて投げた変化球を、外崎が中前に運ぶ。7−5。

重量級2人の押しに、益田は耐えられるだろうか。
山川が1−2から三ゴロ。ようやくスライダーがキレてきた。
中村剛は2−2から空振り三振。

最後は直球で押し返した。土俵を割らなかった。

5月5日(木・祝)vs. 西武    @ベルーナドーム
[敗]美馬 ●0−7 [勝]與座

美馬はしっかり指の掛かった、キレのある球を投げていた。変化球も低めに決まっている。
マリーンズの打者は外野フライが多かった。良い角度で上がるが、フェンス手前で必ず失速した。打者が非力なのか、與座の術中なのか判断がつかなかった。

弁当を食べながらマリーンズ9人の打撃を観て、「速報」に切り替えた。

三回裏。1死から金子が二塁打。源田の右適時打で先制。その後の2死三塁を美馬が凌いで1−0。

マリーンズは早打ちで與座を助ける。
美馬は1失点のあと、ギアを入れ直した。特に金子の2打席目、8球粘られながら最後は空振り三振に抑えたところは、文字から熱が伝わってくるようだった。
四回、五回は共に無得点。

『與座どこまで引っ張るのかな』妻からLINEが入る。

六回表。與座はまだ64球だ。エチェバリアが二強襲安打。高部が中前打。「パTV」を開いた。和田が1球で送った。1死二、三塁。
カウント3−1から、中村奨は直球を見て3−2。次の直球も簡単に空振りした。え?と声が出てしまった。無策で打席を終えるキャプテンをあまり見たことがない。

『ここで取れないと今日は厳しいか』妻。
『今の打席考えすぎたかな。奨吾ちょっと重症かな』僕。中村はしばらく使っていたマーティンのものから、今日はいつもの自分のバットに戻していた。

佐藤都の投ゴロに山川がベースカバーに入らず、與座と佐藤の競争になった。塁審の判定はセーフだったが、リクエストで翻った。天国と地獄。

ベンチに戻った山川と辻監督が話をしている。今のベースカバーについてだろう。2人とも笑っている。「パTV」を閉じた。

六回裏。源田一ゴロ。オグレディ空振り三振。

『ここ3人で終えるの大事。もう1回流れくる』

LINEを書いている間に外崎が二塁打。山川申告敬遠で一、二塁。
中村は昨日から、どちらかというと流れを止める役回りだった。だからこそ嫌な感じがする。「パTV」を開く気になれなかった。
カウント0−1から「速報」が動かない。

「②左本塁打 +3点 本塁打確信、スタンド中段」

あまりにも予定調和的な。

マリーンズは本田、平良に歯が立たない。平良は5球で終わった。

『援護があったら打たれなかった、の?』LINEがきた。そういうツイートが頻発しているのだろう。
『そんなふうに言い切れない。同点でも1点勝ち越してても申告敬遠したかもしれないし』
『だよね?そういう声多いから』
『点取ってもらえない美馬が精神的に追い詰められてコントロールが甘くなった、みたいな話にしたいんだろうけど、それほど単純じゃない』
『結構いい当たりされてたもんね』

八回裏に東妻が3点追加された。二塁走者を暴投や捕逸で三進させて犠飛を打たれるパターンが多すぎる。
山川が心の隙を突くように左翼席へ放り込んだ。

九回表を「パTV」で観た。意地を見たかった。
福田秀右飛、中村奨中飛、佐藤都一ゴロ。
10球で終わった。平井は確かに良かったけれど。
今日は悔しくもないし、腹も立たなかった。

『悲しい』

そう。ただただ、悲しい。

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