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鷗軍不定点観測2022【22】

6月7日(火)vs. 中日 @ZOZOマリン
[勝]石川 〇6-2 [敗]小笠原

栃木市内で夕方まで仕事をして、そのまま直帰することにした。野田市(かつての「関宿町」だ)から千葉県に入るために、茨城県古河市内を南下する。
17時を過ぎている。タイガース戦の「観測」を書いてしまいたかった。マクドナルドの場所はわかっていた。

コーヒーを注文して駐車場に向いたカウンターの席を取った。一面ガラス張りで外の様子がよく見えた。本来は10人掛けだが、3人しか使えないようにたっぷりと間を置いて透明な衝立が配されている。僕は真ん中の席だ。
今日は弱い雨が降ったり止んだりしている。今さっきまた振り出した。目の前が「ドライブスルー」へのルートになっていて、車が頻繁に通り過ぎていく。しゅうううううぅっ、とくぐもった音がする。

書き殴りのメモや「速報」の結果と格闘しているうちに18時だ。「パTV」の画面を小さくしてiPadの右下に動かす。幕張は雨が止んでいるみたいだ。

石川は立上がりから苦しんだ。
岡林にいきなり安打され、2死後にビシエドにはストレートの四球を与えた。阿部の打球を石川のグラブが嫌い、打球の転がった先に中村奨がいた。まだ運は逃げていなそうだった。
二回表は木下、高橋周、鵜飼に3連打されて無死満塁。三ツ俣の一ゴロで本塁封殺。岡林も当たりの良い一ゴロが幸いして3-2-3の併殺が成立した。今日の一塁手は佐藤都だ。

小笠原はチェンジアップが有効だった。一回り目は直球狙いのマリーンズのバットは面白いように空を切った。四回裏、結果的には三振したがレアードが狙い球を変えてきたかな?、というスイングをした。バッテリーは何か考え始めるだろうか。

石川は四回表も1-6-3の併殺でピンチを乗り切っていた。五回を終えて77球は、彼にしては多めだ。

マクドナルドを出た。チバテレを観ながら帰ろう。

六回表。A.マルティネスには2-2から、ビシエドには1-2から連続で二塁打された。0-1。マルティネスを髙松に代えていたのが効いた。阿部の遊ゴロでビシエドが三塁タッチアウト。木下中飛で2死。
1点で止まってくれ、と思ったが、高橋周と鵜飼に連打されて0-2。2人とも変化球を上手く打った。

小笠原は五回まで69球だった。まだまだ余力がありそうだ。マーティンを空振り三振させて、中村奨も2球で追い込んだ。
3球目の変化球、中村が三遊間を破った。佐藤都がとうとうチェンジアップを捉えて右前に運んだ。少し高かった。レアードもチェンジアップを狙ったが一邪飛で2死。
山口が出てきたとき、安田代えんだ?と、思わず声が出た。両監督の仕掛けが早い。雨のせいもあるかもしれない。
1球目、チェンジアップ、ストライク。2球目、直球、ボール。やっぱり直球狙いなのかな、と思った3球目、山口がチェンジアップに反応した。左中間席まであっという間に届いた。ベンチ前でキャッチボールしていた石川が「あれま」という顔をした。3-2。

六回で100球を越えた石川がマウンドに上がる。岡林に右中間を破られた。大島がセーフティ気味に送って1死三塁。
髙松に代打、福留。石川に代わって東條。
福留にはスライダー2球のあと直球2球で空振り三振。ビシエドには6球スライダーを続けて空振り三振。ビシエドは最後まで直球にヤマを張っていた。

八回表。代わり端、ゲレーロは阿部に全て直球で3-2にした。制球が少し不安定だ。6球目がリリースされた瞬間に四球だと思った。ワンバウンドの球を阿部が振ってくれた。彼はこの高さ、好きなのですか?とても大きな三振だった。

八回裏。今度も簡単に0-2に追い込まれてから、中村奨がバットの先端で左前に落とした。打球の行き先を見た小笠原が「まいったな」という顔をした。佐藤都が送ったところで、投手田島。
田島はいきなり暴投して中村奨三進。レアード四球で一、三塁。代走和田。打者は小川。

柏市に入って、国道沿いの本屋に車を入れた。どうしても欲しい雑誌のバックナンバーがあった。この店でないと買えない。21時で閉まってしまう。あと10分だ。おがりゅううう打てえええ。と思いながら店内に走った。

戻ってみると2死満塁でエチェバリアだ。得点は変わっていない。走者の顔がわからないから想像もできなかった。とにかく2死満塁。
エチェバリアは小笠原から2安打していた。右投手にはどうだろう。
車を出す。カウント2-0。駐車券を挿入する。バーが開く。エチェバリアが打った。右中間を破った。走者一掃だ。

ヒーローインタビューはリビングで観た。
「梅雨入りも 僕の打撃は 日本晴れ」。
今日は季語が入っている。

6月8日(水)vs. 中日 @ZOZOマリン
[勝]美馬[S]益田 〇9-6 [敗]鈴木

リビングでスコアブックを付けながら観ることにした。視力1.2のまま老眼が進むと、こういう時に不便だ。

美馬は簡単に2死を取った。大島を空振り三振させたカーブは良かった、とメモを残しているうちにA.マルティネスが遊内野安打。
1-0からの2球目、松川は外角に構えていた。変化球が真ん中に吸い込まれる。ビシエドがバットを一閃すると、乾いた良い音がリビングに響いた。左翼席中段。打球の弾んだ辺りを見詰めながら、美馬がきゅっと唇を噛む。

鈴木も落ち着きがなかった。直球が高く浮いている。髙部四球、マーティン右前打で無死一、三塁。中村奨の三ゴロで髙部本塁死(なぜ突っ込んだのか?)。佐藤都四球で満塁にして、レアード中犠飛。1-2。安田一ゴロで同点にはならなかった。

鈴木は二回は変化球を多めにして成功したように見えた。
三回裏。1死後、中村が四球を選ぶと佐藤都が右前打、レアード左中間単打で2-2の同点。安田の左中間を破る適時二塁打で4-2と逆転した。高めに力負けしない、いいスイングだった。

幕張は天気雨だった。うっすらと頬を赤らめたようなピンク色の空から弱い雨が落ちていた。
美馬は立ち直った。一回こそ19球を投じたが、二回以降は8球、8球、13球で凌いだ。
「松川のあごが尖ってきたな」と妻が言った。

四回裏。1死後、髙部四球。マーティンのドライブの掛かった打球がライトフェンスを直撃した。二、三塁。投手が藤嶋に代わった。
中村奨の打球が左翼手の前に落ちる。生還する髙部のすぐ後ろにマーティンも来ていた。早っ、と声が出た。どこで打球を判断したのか。6-2。

六回表。大島が美しい左前打。A.マルティネスには変化球が決まらない。3-0にしてしまった時点で勝負あったかもしれない。ストライク一つ挟んだ5球目は甘かった。初回同様、捕手が目をつぶって拝んでしまうやつ。左中間中段まで飛んだ。6-4。わからなくなった。
ビシエドにライナーで中前打され、安部の遊直(いい当たりだ)で1死となったところで小野郁に交代した。美馬は85球だった。

六回裏。松川右前打(今日2本目)、高部のバントを高橋周が一塁へ悪送球して二、三塁。マーティンが一塁線を破って2者を還した。8−4。投手が前の回から跨いだ山本拓から谷元に変わる。

この回でスコアブックは終わっている。
水曜日は食事当番なのだ。夕食の支度に取り掛からなくてはならない。
とはいえ、今夜は水餃子と残り物の野菜の煮物で済まそうと決めていたのでやることが少ない。米も炊いてある。

水を張った土鍋を火にかけ、義理の弟さんからいただいたレタスをちぎって軽く洗う。弟さんは地下の「工場」でこのレタスを育てている。
湯が沸いたら餃子を投入する。火が通るのを待っていたら東條が1点を返された。岡林、大島の連打とビシエドの適時二塁打。レタスを加えてひと煮立ちさせる間に阿部の二ゴロでもう1点。8−6。

元々キッチンドランカーなのに、この試合展開にさらに酒が進む。リビングからこちらを覗き見て、妻が眉を顰める。

2死三塁。木下は、サイドスローから自分に向かってきた内角直球を、身体を開き気味に上手に捌いた。低めの角度で伸びていく打球が左翼線の上空でフェードボールのようにファールエリアから戻ってくる。走り込んできた荻野がフェンスぎりぎり、左翼ポールの真下でジャンプして捕球した。落球していたら1点差だ。

七回裏に、その荻野の犠飛で1点を追加して9−6。これで試合が落ち着いた。

「翔平、出ないかな、翔平」などと幾分のんびりと観ていた妻が、最終回に拓馬のほうが出てくると箸を止めた。一軍にいても二軍にいても気が揉めるのだ。

6月9日(木)vs. 中日 @ZOZOマリン
[勝]ロメロ[S]益田 〇2−0 [敗]松葉

一回表だけ配信を観て事務所を出た。ロメロは今季見た中で一番身体がキレているように思えた。

CBCラジオの解説は吉見さんだ。あの投手がどんな話をしてくれるのだろう。

二回裏に先頭の山口の本塁打でマリーンズが先制した。
「ソロだからいいんじゃないですかね」と吉見さんは言った。「ここから切り替えれば」
その言葉が届いたように、松葉は後続を3人で斬った。

実況の宮部さんの情景描写は簡潔だがその絵が目の前にくっきりと立ち上がる。
「風来坊」のCMが流れた。懐かしい。印刷会社勤務時代、名古屋出張の際によく食べた。
宮部さんは松葉を「ミスターバンテリン」と呼んだ。今日は松葉こそが「出張」で、「定時退社」か「残業」するのかが話題らしい。

松葉は被弾以降、六回まで3者凡退に抑えた。無四球だ。「残業」も当然だろう。
「DH制で打席に立たないことも(残業の)理由の一つかもしれませんね」吉見さんが言った。

ロメロは三回から六回まで、必ず走者を1人出すが後続を絶った。佐藤都が二盗を2度阻止したのは大きかった。

七回表。2死後にA.マルティネスに中前打されると、ロメロはビシエドの初球にボークを冒した。グラブを全く止めずに投球動作に入ったらしい。マルティネスが二進して代走髙松。
いつものウエルシアだ。吉見さんの解説を聴いていたかったが、チバテレに替えた。松葉がベンチ前でキャッチボールしている。
ビシエドはヒヤリとさせる右直だった。ロメロとビシエドが苦笑いし、マーティンは満足げにベンチへ戻ってきた。
早く買い物を済ませよう。今日はカルピスソーダを頼まれている。ここが一番安いらしい。

自宅の駐車場に車を入れる直前にマリーンズが1点追加した。荻野の適時打だった。投手の頭をライナで越す、きれいなセンター返しだった。復帰してから徐々にいい当たりが増えていたから、そろそろかなとは思っていた。

八回表。阿部四球。木下の二ゴロが併殺崩れで1死一塁。高橋周の中前打で一、三塁。
「翔平だ!」妻が喜ぶ。一塁代走、加藤。
溝脇左飛で2死。9番に鵜飼がいるのが嫌だった。
カウント2−2から鵜飼を空振り三振させると、ロメロが大きなジェスチャーで吠えた。

「ロックの日 バットが奏でる ホームラン」。
ロックの日、は季語だろうか。

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