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鷗軍不定点観測2022【20】

5月31日(火)vs. ヤクルト @神宮
[敗]石川 ●0−1 [勝]サイスニード[S]マクガフ

現地販売の担当がシャッフルされて、小山市を引き払うことになった。新しい会場は栃木市だ。看板やノボリを小山市から栃木市に移設した。近くに「渡良瀬遊水地」がある。走るのが楽しみだ(仕事しろ)。

この3連戦は「スポナビ」の速報が頼りだ。事務所へ戻る途中に18時になった。給油のタイミングでもあった。

一回裏。石川が塩見に四球を与えた。制球に苦労する様子が文字から滲む。慣れないマウンドのせいだろうか。それでも山崎を遊併殺打にさせて2死だ。
ガソリンスタンドに入る。山田をどう抑えるだろう。

「⑤ 中本塁打 +1点」。なんとなく予感はあった。運転席に戻って画面を見た時、妙な安堵感があった。カウントを3−1にしちゃったのか。

サイスニードの立ち上がりは安定していた。そうか、今日は両先発が髭をたくわえているんだ。
車を走らせながら引っ掛かることがあった。今日の放送予定にDAZNと並んで書いてあった「フジテレビoneオンデマンド」って何?
コンビニに車を入れて調べてみた。J:COMの契約者はアプリから観れるじゃん!

速報は1死後にエチェバリアが中前打のあと、石川がバントを試みるもバットに当たらず3球三振したことを伝えている。五回表だ。仕方ないよな、と思う。荻野も中前打で続いた。
「オンデマンド」にログインできた。髙部だ。前の打席で変化球を中前打している。チェンジアップ2球で1−1の後、中村は直球を要求し続けた。ボール・ファウル・ボール。高部の反応が遅れ気味に見える。6球目も直球だ。ホップしたように見えた。高部のバットが空を切った。

速報に戻って車を出した。石川は初回以降立ち直って、淡々と投げている。

六回表。1死後にレアード左前打。角中四球。安田は0−1から三ゴロを打った。三ゴロ?5−4−3が成立する。どうしてこの状況で左打者が浅いカウント流し打つのか。少し前にも同じことを書いた気がする。前の打席は2死三塁で浅い左飛だった。今の安田の打撃だと速球を引っ張ることは難しいかもしれないが、それにしても、と思う。

六回裏。塩見が左翼線二塁打で出て、山崎が送った。会社の駐車場に着いた。映像をみる。内野は前進守備で外野は深めだ。山田の飛球はそのセカンドとセンターの間に上がった。中村奨が背走し、高部が突っ込む。落ちるだろうか。捕球の体勢によってはタッチアップがあるかもしれない。中村奨が半身で捕った。塩見は動かなかった。
村上を申告敬遠して中村悠と勝負だ。中村悠は四回裏に2死三塁で右飛に終わっている。今回は角度は悪くなかったが詰まった。レフトの荻野がつかんだ。

このピンチを凌いだことでマリーンズに流れが来るかなと思ったが、凪のまま終わってしまった。
小野郁も今野も八木も球に力があった。小野と佐藤都が2死無走者で、濱田の1−2からスライダーを選択して二塁打された時、中村悠の配球が一枚上だと思った。

九回表。マクガフは連弾されたファイターズ戦以来だ。岡、山口、マーティンの代打攻勢には胸が躍ったが、マクガフの責任感が3人を抑えこんだように見えた。

6月1日(水)vs. ヤクルト @神宮
[勝]美馬[S]益田 ○4−3 [敗]原

自宅敷地内の草取りに予想以上に時間を取られて、リビングに入った時には一回表は終わっていた。無得点だ。

今日、スワローズは1番・山崎、2番・塩見だった。山崎は初球から振ってきた。中直を髙部が好捕した。塩見も倒れて2死。抹消でリフレッシュした美馬は調子良く見えた。
山田が2日続けて初回に左翼席へ運んだ3球目は、昨日より難しい外角低めの変化球だった。0−1。
「今日は村上、オールドスタイルなんだね」と妻が言った。「美脚だ」

4番が中村奨の試合は記憶にない。4番打者は初球をジャストミートした。滞空時間が長くて、左翼席中断まで届いた。
1死後、安田だ。昨日は2度のチャンスに打てなかった。カウント3−2から叩いた打球は、これまでみたことのない角度で左翼ポールに向かって伸びていった。失速せずに客席に飛び込む。ずっと思い描いていた軌道ではないだろうか。2−1。

二回裏。オスナが安田と左右対称に打つ。打球はフェンスに身体を預けて見上げるマーティンの頭上を越えて、右翼ポールの内側で跳ねた。2−2。

三回裏。山崎はこの打席も初球から振る。初回同様にいい当たりが高部に好捕された。終盤に向けて何かを予感させる打撃だった。
中前打の塩見が山田の時に二盗、村上の時に三盗。三盗はほぼノーマークだった。山田は空振り三振。村上は2つ目の四球を選んだ。3−2からしっかり見切った。
中村悠は安田同様、昨日はチャンスで打てなかった。この打席も遊ゴロに終わった。不完全燃焼が続く。

四回表。2死無走者で、安田が思い切り引っ張った。こんなにきれいに捌くのを見たのは何ヶ月ぶりだろう。打球はやはり失速しない。右中間席に飛び込んだ。昨日とは別人じゃないか。3−2。

四回裏。濱田への初球は高かった。小柄な濱田が全身を使って強振する。打球はバックスクリーンで弾んだ。嫌な展開。4−4。

このあと2死二塁で、山崎の2球目を松川が後逸してオスナが三進する場面があった。記録は「暴投」だが、松川の捕逸と言ってよかった。初回に山田に被弾する前の球もどちらかのサイン違いで後逸していた。
五回表は松川が先頭だったが、簡単に見逃し三振した。展開を人一倍読むことのできる選手だ。相当に疲労しているのではないかと心配になる。

五回裏。塩見が左中間フェンス直撃の二塁打。山田は見逃し三振。この時の3球目と5球目の外角直球が、今日の美馬のベストピッチだと思う。
村上がカウント3−1から申告敬遠。今日3つ目だ。
中村悠の遊ゴロで6−4−3の併殺が成立した。「ブレーキ!」実況の向坂さんが声を上げた。

六回表。2死後、中村奨の詰まった飛球に濱田がダイビングするが、グラブからこぼれた。中村奨は二塁到達。外野は深めに守っていたが、レアードの低いライナーが左中間で弾んだ。4−3。

小野郁、木澤が好投する。特に木澤は力のこもった投球で3者凡退に抑えた。

七回裏。投手は東條だ。山崎見逃し、塩見空振りで三振させたあと、山田に左翼フェンス上の金網直撃の二塁打。同点を覚悟させる打球だった。村上申告敬遠で今日4つ目の四球。
さすがにこの打席、中村悠は打つだろうと思った。今日はそういう役回りだったのだと。おそらく東條のスライダーをバットの先端でセンター返しするのだと。
バットの先端は合っていたが、当たり損ねの一ゴロだった。

コール、ゲレーロ、大西がそれぞれ3人ずつで片付けた。九回裏に中村悠に回るだろうか。

益田だ。代打川端の強い投ゴロをはたき落として、落ち着いて処理した。山崎が左中間に落とす。塩見がど真ん中の初球を空振りした時、柿沼がミットに収めることができずに前に大きく弾いた。山崎二進。
柿沼はゲレーロの時にも同様の捕球ミスをしていた。今日おろしたばかりのミットが手のひらに馴染んでいないような弾み方だ。大事な時にやらなければいいけど、と考えていた矢先だった。
1死二塁。塩見は3球三振。山田と村上を申告敬遠したら中村悠だと思ったが、現実的ではなかった。
山田は一邪飛に終わった。一塁を佐藤都に代えておいてよかった。村上がネクストでウエイトを着けたまましばらく素振りをしていた。

明日がムーチョの日になりませんように 伊勢屋

6月2日(木)vs. ヤクルト @神宮
[敗]ゲレーロ ●3−7 [勝]石山

一回表にマリーンズが3点を先制した時、今夜はいよいよ小島の話が書けるかなと思いを巡らせた。

土曜から火曜、先々週に水曜日、今日は木曜日にローテションを移された小島。
今季は5試合中4試合が「クオリティスタート」なのに0勝3敗の小島。
いい投球はするのに3点以上取られる「ビッグイニング」を作りがちな今季の小島。

その小島が慣れ親しんだ神宮球場で、とうとう勝ち星を挙げるのだ。
前回のカープ戦では1失策2併殺で黒星の一因を担ってしまった早大の先輩・中村奨が左翼席に2ランを放っている。これ以上ないプロットではないか。

スワローズの先発捕手は中村悠ではなく、内山だった。
19歳「33番」のタクトが二回以降冴えていく。先発のスアレスを立ち直らせ、六、七回は木澤の荒れ球を逆に利用した。ピンチを併殺で凌ぐうちに、主導権が少しずつスワローズに移っていくのがわかった。

六回裏に山田が小島から3試合連続のソロ本塁打。七回裏は東條から8番打者太田が左翼席へライナーで叩き込んだ。低めの難しい変化球だった。しっかりと振り込めているから、あの場面で反応できるのだ。3−2。

八回裏。先頭の川端に2球目を美しくセンターへ打ち返しされた時、ゲレーロの表情に緊張が走った。川端は今日1安打している濱田の代打だった。山田にストレートの四球。このあたりで同点は覚悟しなければならなかった。たとえ村上が三振したとしても、だ。
オスナが強く叩いて三遊間を破った。代走丸山の走塁に荻野の返球も間に合わない。3−3。堤防が決壊した。
長岡の高いバウンドの二ゴロを中村奨のグラブが嫌った。中村奨からも表情が消える。
ゲレーロと柿沼は内山に直球勝負を仕掛けたが、カウントを2−0にしたのは誤算だった。内山も懸命にファウルで逃げた。2−2からバッテリーが6球目に選択したのはスライダーだった。投球の軌道と内山のスイングが衝突する。低いライナーが前進守備の右中間を破った。走者一掃だ。3−6。

投手が八木に交代のところでウエルシアの駐車場に入った。三角コーナー用のネットを買わなくてはならない。

車に戻った時にはスコアが3−7になっていた。一塁塁上に、中村悠があらゆる感情を押し殺した表情で立っていた。とうとう適時打を放ったんだとわかった。

今夜は、試合の流れがスワローズの勝利へ収斂されていく様が、逆に言うとマリーンズの勝利が指の間からこぼれ落ちていく様が、それこそ手に取るようにわかった。
「これが優勝を経験したチームとそうでないチームの差です」と、訳知り顔で語る某が何人出てくるだろう。

ほらね、やっぱりムーチョの日になった。
真似できるのはせいぜいタイトルくらいだぜ。姐さんはオリジナルだ。伊勢屋

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