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石版印刷ってなに?そもそもオフセットってなに?

印刷所の4代目でありながら、この項目については、しどろもどろになりながら説明することになると思う。ごめんなさい。

鶴身印刷所では「平版(オフセット印刷)」という印刷方法を行っていた。

印刷方法には以下の方法がある。

■凸版印刷(活版印刷等)
■平版印刷(オフセット印刷)
■凹版印刷(グラビア印刷)
■孔版印刷(スクリーン印刷等)

あと、オンデマンド印刷といった、パソコンからデザインデータをもとにして印刷する、版の無い印刷方法もある。

それぞれの詳細については、どうぞ、興味のある方は検索頂ければと思う。
ここでは平版印刷(オフセット印刷)のことを、ほんのり説明してみる。

まず、この印刷方式で刷られたものは、とーってもいっぱいある。

例えば、チラシや、ラベル、包装紙、カレンダー、リーフレット、ポストカードなどなど、印刷物において多く用いられている印刷方式である(もちろん、違うものもあるので、上記が全部そう!と言いたいわけではない)。

オフセット印刷とは印刷方法というよりかは、技法の名前で、以下「 印刷技術の歴史~木版印刷からオンデマンド、電子書籍まで」さんから引用(ああ、今回の記事、引用多いなぁ)。

「版から画像を一度転写(オフ)し、紙に印刷(セット)することから名前が付いた印刷技術です。金属による平版印刷のほとんどがこの方法で行われているため、オフセット印刷=平版印刷というイメージがありますが、実は一度転写をして印刷する技法は、凹版や凸版印刷でも使用されています」

平版というのは、以下、Wikipedia先生から引用。

「版に凹凸がほとんど存在しないものをいう。版に親油性の部分と親水性の部分を作り、水で湿らせる。水は油性インクをはじくため、親油性の部分にのみインクが乗る。

平版印刷は1798年のリトグラフ(石版)の発明にはじまり、歴史的には凸版印刷や凹版印刷にくらべると新しいが、写真製版がしやすいことなどから現在の主流の印刷方法である」

とりあえず、判子とかと違って、凹凸が無くって、平べったいのに、版があって、印刷できるもの(すごい端折った説明だなぁ)。

現在は素材がアルミの版が主流だが、以前は亜鉛版もあった(亜鉛版は目が粗くって、細かいニュアンスを出すには向いていなかったとのこと)。

そして、この印刷方法の「版に親油性の部分と親水性の部分を作り、水で湿らせる。水は油性インクをはじくため、親油性の部分にのみインクが乗る」というのが、これ。これがこの印刷の醍醐味。

この方法を見つけたのがゼネフェルダーという人。

この、平版は、アルミ版・亜鉛版の前、もともとは石版で刷られていた。

で、鶴身印刷所では、創業当時、石版で印刷していたのである(はー長かった。これを言いたかった)。

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これが石版印刷機。とっても武骨で、じいちゃんな機械である。昔の機械はシンプルで重い。そこが良いと思う。

この印刷機に版の乗った石版を置いて、インクを塗り、紙を置く。ハンドルがついていて、人力でそれを回す。そうすると印刷できる(今も印刷所に置いていて、ワークショップなどで活躍している)。

「これで当時もラベルを印刷していたんですか?」と質問されることもある。ただ、何万枚も刷るためには、手動式はちょっと大変だ。

実は、当時、この石版印刷機は別の使い方をしていた。

この印刷機で石版に「版を起こす(製版する)」のである。そして、できた版を自動印刷機にセットして、量産する。

この製版工程は見てみないと良く分からないと思うが、以下に創業当時の印刷所を知る人。曾祖父から私の代まで勤めてくれた元工場長の話を記したい。

「まずな、でっかい石版を印刷機の上に置くんや。石版はほんまに重くてなぁ。若手の仕事やった。体格のええ兄ちゃんらが、まず、この石版をピカピカになるまで研磨するんや。半日くらい延々と磨くから、えらい(大変な)仕事やった。

そこにな、チャイナ紙っていう転写紙を使って、版を落とすんや。何回も何回もハンドル回して、しっかり圧をかける。圧をかけんならんから、ハンドルは重い。それを何度も回すから、これもえらかった(大変やった)」

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今みたいに、イラストレーターがあるわけでも、データを機械で版に落とすわけでもない時代。版を起こすだけでも重労働。ちょっと気が遠くなる。

ただ、こういう話を聞いていると、うーん、なんていうのかな。

その時代を生きていない私の中に、誰かや物を介して、そのときの時間が積み重なる感じがする。

そこには、やさしさや厳しさや、情熱や苦労や、知恵や技術、いろいろなものが詰まってる。

私の中に積み重なった過去は、今の私をかたち作る。ただ過去がそうだった、と知り得るだけでなく、今を生きる私の血肉になる、そんな気がしてならない。

そしていつも思う。

私は、何を繋いでいけるだろうか。

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