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楽団日記

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日々の活動の様子や大切にしていることなどを徒然と書いていきます。弦巻楽団の弦巻楽団による皆様のための日記です。公演の特別企画も掲載。
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2023年11月の記事一覧

希望を語る前に、犠牲を数えろ

いよいよ来週開幕! 代表です。 弦巻楽団「秋の大文化祭!」が迫ってきました。その中の『死と乙女』は弦巻が高校生の時に知って、ずっと上演を望んでいた念願の作品です。現在モリモリ稽古中。出演の3人の怨念が立ち込めてきてます。 こんな物語です。 高校生の時、このあらすじを聞いて“絶対に上演したい”と強く思いました。戯曲もすぐに手に入れ、夢中になって読みました。前の劇団の稽古場で紛失したり、これまで4回は購入し直しています。そのくらい好きな作品です。30年越しに、その作品を手掛

『死と乙女』とチリ・クーデター|作品をよりお楽しみいただくために

札幌を拠点に活動する劇団・弦巻楽団は、2023年12月2日(土)〜3日(日)にアリエル・ドーフマン作の世界的傑作『死と乙女』(1990年)を上演します。 本作はフィクションですが、その背景にはドーフマン自身も体験した1973年のチリ・クーデターがあります。作中では、劇の舞台がチリであるとはっきりとは明言されていませんが、軍事政権が崩壊した直後の国で起こる、3名の登場人物による「正義」と「交渉」のスリリングな会話劇です。 作品自体は、歴史に詳しくなくても楽しめるように作られ

劇団5454(ランドリー)がやってくる。

代表の弦巻啓太です。 劇団5454を札幌に呼びたい。札幌の演劇ファンや演劇人に観てもらいたい。そう思ったのは数年前になる。 劇団5454の舞台で初めて観たのは『溢れる』と言う演目だった。 映像で拝見したのだが、そのポップな出立ち、技術のある出演者たちの揃い方、キャッチーな導入から、東京の演劇でよく見る「とりあえず商業的に整えられた」舞台の一種かな、と警戒心が働いた。正直に言えば。 違った。 全然違った。 もちろん、よく整えられていたし、演出の上手さ・丁寧さは観ていて