見出し画像

48機目「そして、暮らしは共同体になる。」

画像1

「そして、暮らしは共同体になる。」(佐々木俊尚 アノニマ・スタジオ)

これからの「暮らし」はどうなっていくのか?そのときに「企業」はどんな役割を果たしていくのか?そんな話がレシピと共に書いてあります。アノニマ・スタジオらしい1冊。佐々木俊尚さんの切れ味鋭いほかの本とは少し性格が違うかもしれません。

この本では、
野菜の通販会社「オイシックス」
都心立地型スーパー「成城石井」
セレクト通販「北欧暮らしの道具店」
などが取り上げられ、説明されています。

オイシックスのオムニチャネルを担当する奥谷さんの一言。

「ここにきて思うようになったのは、企業が価値を提供するのではなく、企業とお客さんが価値をともに創る時代になるということです」

なるほど。
佐々木さんは、これからの企業は
「ネットか、リアルか」ではなく、
「文化なのか、大規模インフラ」か
というように分かれていくと言います。

文化に大切なのは「らしさ」であり、そこは大規模インフラにはできないこと。そうして、企業とお客さんの関係も変わりつつあります。

~~~ここから引用

「文化である」ということこそが、お客さんを受動的な存在におとしめず、ともに文化をつくり、共感できる仲間としての能動的なつながりへと高めていくカギなのだと思います。

だからこれからの消費は、わたしは単に個人のお客さんを相手に商売する、モノを売るというだけではない。

そのお客さんと仲間となり、さらにお客さんの周囲にいる家族や恋人、友人たちとのあいだでつくられる文化の空間を支えていくものでなければなりません。

なにかを売るという行為は、あるひとりの人に向けてではなく、文化全体に向けて届けられるのです。その人の向こう側にいるたくさんの人たちに向けても伝えられるのです。

(中略)

企業は見えないところで人々を支え、文化空間が維持されるように心砕いていく。そういう「伴走者」になっていくのです。

~~~ここまで引用

ツルハシブックスが「劇団員」という仕組みで目指したかったのはきっとそういうことなのだろう、と。

暗やみ本屋ハックツをやって、ハックツとは、「手紙」だと思ったし、仕事の本質は手紙にあると思った。

誰かのために書く「手紙」。

もし、それが商品だとしたら、お店というのは、文化、地域、その向こう側にあるものに向けての手紙なのだろう、祈りなのだろう。

その手紙を携えて、
歩くお客さんと伴走し、
お客さんの歌う歌を伴奏する、

そんな存在がこれからのお店になっていくのだという予感がした、素敵な1冊でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?