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30機目「編集思考」

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「編集思考」(佐々木紀彦 ニュースピックスパブリッシング)

頭いい人いるなぁって。明解に説明してて、ほんとスゲーなと。

編集思考の4つのプロセス
「選ぶ」「つなぐ」「届ける」「深める」
について、詳細を読んだら、実践したくなった。

関係人口って何?
どんな人がそうなったらいい?
どうしたらその人たちが地元に資するようになるのか?
その人たちにとって価値とは?
そんな問い。

~~~以下引用

現在のビジネスの主流である「サブスクリプションモデル」(利用期間に応じて定額料金を支払うモデル)は、継続的取引を前提とするため、企業と顧客は互いに支援し合うパートナーのような存在となり、単発取引の時より長く深く付き合うようになります。Amazonプライム、ネットフリックス、Apple musicなどが具体例です。

サブスクリプションはメディア業界に源流があります。17世紀に英国の辞書が定期購読モデルを採用したのが始まりで、出版や新聞などが採用しました。

米国では2000年に約25兆円だったサブスクリプションへの支出が、2015年に約50兆円に倍増しています。「サブスクリプションを制する者がビジネスを制す」と言っても過言ではありません。

エンゲージには4つのポイントがあります。
コミュニケーション(communication)
コミュニティ(Community)
コンシステンシー(consistency)
カジュアル(casual)

第1に「コミュニケーション」

まず顧客とのコミュニケーション。
あるいは顧客同士のコミュニケーション。

次にコミュニティ

佐渡島庸平さんの著作「WE ARE LONELY,BUT NOT ALONE」からファンコミュニティは「関係の深さ(親近感)」「質」「ファン数」の3つの次元で定義され、この3つを丁寧に育んでいくことが長く愛されるコミュニティを創るためのポイントで、その関係性を深めるために有効なのが「リアルな場を持つこと」だと佐々木さんは言います。アップルの強さはまさにそこにある、と。

アップルがあれだけカルト的なファンを抱えているのは、プロダクトの力はもちろん、アップルストアの存在と無縁ではありません。キリスト教に協会があり、仏教にお寺があり、イスラム教にモスクがあるように、祝祭空間が信者には必要です。

そして何より大切だなと思ったのが、次の「コンシステンシー(一貫性)」

時代は変化が激しいので、戦術や戦略は臨機応変にかえていかないといけません。しかし、変化が激しいからこそ、日々の行動の基準となる思想や哲学の一貫性がこれまで以上に問われます。意見は変えていいですが、思想や哲学は容易に変えてはいけません。

そして「カジュアル」。
「とにかく深く、密度濃く付き合うのがいい」のではなくて、大切なのはつかず離れずの絶妙な距離をとるということ。

ここで著者は平野啓一郎さんの「私とは何か?」の分人主義を取り上げ、「たった一つの『本当の自分』など存在しない。裏返して言うならば、対人関係ごとに見せる複数の顔が、すべて『本当の自分』である」と説明します。これはその通りだなと思います。

もはや、会社だけが自らの「唯一の顔」を決める時代は終わりました。各人が3~5つのコミュニティに属し、それぞれのコミュニティで異なる顔を持つ時代です。ブランドも企業も、多彩な顔を持つのが普通になり、それがブランドや企業の魅力にもつながっていくでしょう。

~~~ここまで引用

そして、この後。僕がいちばん響いた文章。

「こう言うと、先ほどの「コンシステンシーの話と矛盾するのではないか」と思われるかもしれませんが、複数の顔を持つことと、一貫性を持つことは必ずしも矛盾しません。単に複数の顔があるだけであれば、それはできの悪い福笑いのようになってしまいます。分裂した人格になってしまい、不信感を高めてしまいます。しかし、一見すると多才で多彩なのだけど、通底するThought(思想)やTruth(真実)が感じられる。表面上のコンシステンシーではなく、思想レベルのコンシステンシーがあるという状態が理想なのです。逆に思想レベルのコンシステンシーがあれば、表出する顔は多様でもいいのです。人間と同様に、それぞれ異なるターゲットに、異なる受け入れ方をするのは、企業やブランドとしても自然です。

いいっすね。

編集の4ステップの最初の「選ぶ」のところに出ていたセレクトの法則1「いいところだけを見て惚れ抜く」っていうところにも通じるけど。「編集思考」っていうのは、組織論やアイデンティティ構築についても使えるのではないかなと思った。もっと言えば、まちづくり、地域づくりについても、同じことが言えるのではないかと。

地域間競争が始まっていると言われる。熾烈な「ふるさと納税」争奪戦がすでに起こっている。でもきっと、大切なのは、エンゲージメント。

長く続くファンとの関係。いや、ファンというよりもパートナーと言えるような関係を気づけるかどうか。

佐々木さんの「編集思考」の1ステップ目は「いいところだけを見て、惚れ抜く」

10点満点ですべてが7点のヒトやモノやコトより、たとえ欠点があってもどこかが飛び抜けた素材を選ぶこと。他の人が気づいていない、本人すらも気づいていない「未開拓のいいところ」に気づけるとより価値は高まる。

佐々木さんは、編集思考で大切なことは、完璧なものを見つけようとせずに、デコボコな個性をくっつけて、「組み合わせで完璧を創る」という発想に切り替えること

そして好きになったのめりこむこと、だと。ニセコのスキー場のパウダースノーの魅力に最初に気付いたのはオーストラリアの観光客だったと。その「好き」のエネルギーたるや。

欠点をはるかに超える魅力を見つけ、それを磨いていくこと。そこから始まり、一貫性のあるコンセプトを持ち、エンゲージメントを築いていくこと。

人も、組織も、会社も、地域も、「編集思考」で再構築していくことが必要とされていると思った1冊でした。

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