見出し画像

29機目「MEDIA MAKERS」

画像1

「MEDIA MAKERS」(田端信太郎 宣伝会議)

誰もが発信者になれる、個人がメディアになる時代に読んでおきたい1冊。
メディアとはそもそも何か?という問いに対して、この本は以下のように答える。

~~~以下引用
メディアには、そこでなされた予言自体を自己実現させてしまう傾向があり、この「予言の自己実現能力」こそが、メディアへの畏怖の念と影響力の源泉でもありました。

そしてメディアの信頼性・ブランド力・影響力とは、「予言」実現能力対する価値のことである。
~~~以上引用

メディアの力とは、予言の自己実現能力のことである、と田端さんは言い切る。

そもそもメディアの目的は?そんな問い。
そこから始まって、コンテンツを3つの軸で読み解く。

1つめが「ストックとフロー」

単行本からツイッター(SNS)までストック性は大きいものから小さくなっていく。ウェブメディアの中でも、ブログとフェイスブックではストック性とフロー性が異なる。これらはどちらがいいとかではなくて、どちらもミックスする必要がある。本とSNSっていうのはたしかにいい相性かも。

2つめが「参加性と権威性」

食べログとミシュランなどを例に出して参加性と権威性について語る。こちらは現在は参加性に寄ってきている。

3つめが「リニアとノンリニア」

リニアというのは線形のことで、映画のように、一度見始めると、最後まで見るというように、リニア性の高いコンテンツであり、他方、テレビやネットメディアは、チャンネルを変えたり、リンクでほかのところへ飛べるので、ノンリニアなコンテンツといえる。特にデジタルメディアは宿命的にノンリニアなコンテンツとなる。

なるほどな~って。
で、僕の中でいちばんおもしろかったのは、次のペルソナのところ。

「メディア編集者は、対象読者の「イタコ」となれ!」ではじまる項がナイスです。

~~~以下引用
成功している一流メディアでは、明示的か、暗黙的かは別にして、その読者がどういう人なのか?を活き活きと独り語りするような、いわゆる「ペルソナ」と呼ばれるものが、関係者の「脳内」に存在しています。

長編小説を書く作家や人気マンガの原作者が、作品完成後のインタビューなどで、しばしば『頭の中に、登場人物の「キャラ設定」さえできてしまえば、あとは勝手に登場人物たちが、ストーリーを前に引っ張っていくんですよ』といった趣旨のことを話すのを聞いたことはないでしょうか。

ここで言われるキャラ設定と、メディア編集の世界における読者「ペルソナ」の設定はほどんど同じものだと思います。

擬人化のパワーを利用し、想定読者にイタコのように憑依してみることで、
こうしたシチュエーションにおける編集ジャッジの速度と精度、一貫性は
飛躍的に高まるでしょう。

個人の想像力には、限界がありますから、実際のペルソナ作りには、想像力を補完するために対象ターゲットを集めて、いわゆるグループインタビューをすることは極めて有用です。

~~~以上引用

なるほどな~。

ここで、「クラウドファンディング」をひとつのメディアだとして見ると、そこには、買う人=寄付者=お客=読者がいる。その人の設定ができているか、ってとても大切なことだなと。

そしてもうひとつ気づいたこと。

クラウドファンディングが成功したその先の未来日記を書くことってとても大切だなと。今の現状のシチュエーションの中で、未来を描いていくこと。

半分事実で、半分フィクション。
そういう未来。

そして、それは、自分自身じゃなくて、もしかしたら、設定した上で、他者が書いたほうが、ワクワクする文章になるのかもしれないなと思った。

クラウドファンディングというメディアは、まさに予言を自己実現していくものだ。描く未来に共感を集めるために、物語の力が必要なのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?