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36機目「第四の消費」

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「第四の消費」(三浦展 朝日新書)

人はいつから夢や目標を持つようになったのだろうか?
本当に夢や目標がないと生きられないのか?
高度経済成長期までは、人はそんなに就職で悩まなかったのではないか。


三浦展さんは著書「第四の消費」のなかで、「一人暮らし」と「自分らしさ消費」が買い替え需要を促進し、日本経済のピンチを救ったのだと言う。

なぜ、「夢・目標を持て」と言われるようになったのか?
乱暴だが、この問いに仮説を立てる。

「それは家電を売るためではないか?」と。

~~~ここから一部引用

三浦氏によると、2005年から第四の消費社会が始まっているのだという。

ちなみに
1912年~1941年 第一の消費社会
1945年~1974年 第二の消費社会
1975年~2004年 第三の消費社会
なのだという。

第一の消費社会は、東京・大阪の都市部に流入した人たちによって支えられた。「洋風化」のながれである。

第二の消費社会は、本格的な工業化の到来を迎え電化製品や耐久消費財が飛ぶように売れた。いわゆる「高度成長」時代である。

第三の消費社会は、オイルショック後の低成長時代に始まり、ウォークマンに代表されるような、一家に一台から、一人一台の時代である。

三浦氏が2005年から始まっていると指摘する第四の消費社会は、「シェア」を基本とする、つながりの時代だという。

第三の消費時代に徹底して分断されてきた社会。それをつなぎなおしていく時代。だからこそ、シェアハウスや商店街の復活が求められるのだと言う。

~~~ここまで一部引用

1974年~75年、オイルショックが起きた直後に工業社会モデル、つまり大量生産大量消費のビジネスモデルは限界に達していた。

なぜなら。すでに家庭には家電が行き渡っていたからだ。

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耐久消費財の普及率グラフを見て分かる通り、1975年の時点で、冷蔵庫、洗濯機、テレビの世帯普及率が90%を超えた。

しかし。たくさんの人が家電業界に勤めていた。すでにローンを組んでマイホームやマンションを買っていた。

だから。
洗濯機を、冷蔵庫をテレビを売り続けるしかなかった。

そのためにどうしたらいいのか?「ひとり暮らし」であり、「買い替え需要」を生むことである。

国は「夢を実現するために、東京に出て一人暮らしを」と宣伝した。
企業は「差別化戦略」を強いられた。
個人も同様に「差別化」「個性化」を求められた。

そこで出てきたのが、「夢・目標を持て」だったのではないだろうか。その目的は、ものすごく乱暴に言えば、家電を売るためだったのではないか。

「ひとり暮らし需要」を喚起する。4人暮らしが別々に暮らせば、4倍の家電が必要である。

さらに、自分を磨くための本を読んだり、通信教育の講座を受講したりする。さらに消費が伸びる。

つまり、「夢・目標を持て」というのは、本人のためではなく、消費の拡大のために言われたのではないか、という仮説。

三浦さんの言うには、すでに2005年から「第四の消費」時代に入っていて、個性化消費の時代ではなくなっているので、「夢・目標を持て」というのは、もともとの目的である「消費拡大」のミッションとはマッチしていないことになる。もしかすると、だからこそ、若者は「夢・目標を持て」という大人からのメッセージにどうにも納得ができないのではないだろうか。

自分らしいモノを持つこと。

「自分らしさ」そのものが嘘なのだけども。「自分らしさ」をモノによって表現しようとしたのが第二次工業社会の戦略で、仕事によって実現しようとしたのがポスト工業社会の戦略なのかもしれない。

家電製造の第2次産業から、通信・広告・そして教育産業という第3次産業へのシフト。

その賢い(?)消費者たれ、と教育され、それに従いすぎて、結果、「自分らしさ」が分からなくなってきているのではないだろうか。

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