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「私刑倶楽部」あとがき

はじめに

どうも、ドラマ「箱庭のレミング」内「私刑倶楽部」脚本担当の敦賀です。
ドラマをご覧いただいた皆様、ご視聴いただき、ありがとうございました。

今作では本当に素敵な俳優部の皆さんにご出演いただいているにも関わらず、時節柄、ほとんどの俳優部さんにご挨拶できなかったので、拙い文章ではありますが、このあとがきでは、主に俳優部の皆さんへのお礼などをまとめていければと思います。

川村隆夫役/岡山天音さん

劇中では踏んだり蹴ったりの目に遭っていた川村。演じてくれた岡山さんもさぞ大変だったろうなと思うのですが、仕上がった映像を見たら、岡山さんに演じていただいたおかげで台本よりも川村に人間味が増していてとても嬉しかったです。僕は序盤の詩織との二人のシーンなどが特に好きでした。その他、素敵なシーンがとても多かったので、いつかもっと長い作品でご一緒したいなと思います。あと、今回の俳優部の皆さんの中で唯一岡山さんだけは現場でご挨拶させていただく機会があったんですが、その際にとても気さくに接していただけたことも印象深く、ありがたかったです。

久住詩織役/深川麻衣さん

本作はホラーというお題だったこともあり、登場するキャラクターが大体悲惨な目に遭うか、嫌な奴/怖い奴というパターンが多いです。なので、執筆時にはキャラクターに過度に愛情を持ちすぎないよう心がけていたんですが、上記の岡山さんと深川さんの序盤の家でのシーンが本当に幸せそうだったのと、深川さんが凄くいい彼女に見えたので、劇中の顛末はとても申し訳なくてですね……いつか深川さんが報われるお話を書きたいなと思います。

島見俊平役/田中俊介さん

島見と川村のシーンは初稿からあまり変わっていなくて、島見にも思い入れはありました。その後、打ち合わせで田中さんを島見役にとお名前が上がった時に凄く納得感があり、結果、島見の人としての脆さをうまく出していただいていたのはさすがだなぁと。ご出演いただけてとても嬉しかったです。

長浜成行役/川島潤哉さん

長浜はやることは現状のストーリーとあまり変わらないんですが、バイトだったり店長だったり、わりと二転三転したキャラクターです。最終的に監督のアドバイスを受け、「川村を煽る男」というキャラクターの方向性にしたところ、書いていて非常に楽しいキャラクターになりました。映像を見ても、川島さんにその点をしっかり表現していただいて良かったです。

沢浦梢枝役/呉城久美さん

呉城さんの演じてくださった梢枝を見ながら、「梢枝っていつもあんな感じで絡まれてるんだろうなぁ…」と、見ていて非常に申し訳ない気持ちになると同時に、梢枝の意思の強さも感じました。「私刑倶楽部」は本編でキャラクターの背景の掘り下げをほとんどしない作劇だったので、キャラクターの背景を感じられるお芝居で補完していただけて、とてもありがたかったです。

一戸真帆役/円井わんさん

円井さんは「KONTORA-コントラ」の評判を聞いていたこともあり、真帆役に決まったと聞いて驚きました。重要なキャラクターではあるものの、真帆は出番自体は決して多くないし、申し訳ないなぁと勝手に思ってたんですが、各種予告編でゴリゴリに円井さんのシーンが使われていたので、ちょっとホッとしました。とは言え、いつかもっと出番の多い役でリベンジできないかと思っています。

川村茜音役/高石あかりさん

茜音、台本上は決して長くないシーンだったと思うんですが、仕上がった作品を見たら、ヒロイン感がマシマシでしたね。高石さんが舞台版の「鬼滅の刃」で禰󠄀豆子役をやってる方だと聞いて、いい意味で納得しました。あと、高石さんの新作映画「ベイビーわるきゅーれ」も面白そうで、あれも凄く見たいんですよね。

仁科直也役/政修二郎さん

仁科、台本上ではサラッとやって来て、ドン引き1カットで川村を襲撃して去って行くくらいのイメージだったんですが、なんだか色々と濃いキャラクターになってましたね……メガネの演技とか、台本上では書いてないんですよ。「天誅」とかどう言うんだろうと思ってたら、こう来たかと。なんだか見ていてとても楽しかったです。

原宮時彦役/三河悠冴さん

ミムさんこと三河さんは、川島監督の「高崎グラフィティ。」でもいいお芝居されていて、ぜひ今回も出ていただきたいなと思っていたので、出演が決定した時はとても嬉しかったです。で、原宮はミムさんに演じていただいて本当に良かったなと。最後、本当に気持ち悪くて。もっと色んな役のミムさんが見たいので、折に触れてご一緒出来ないかなぁと常々思っています。

番場大吾役/鈴木拓(ドランクドラゴン)さん、野田庄司役/鳥谷宏之さん、飯詰春香役/斉藤千穂さん

番場たちは初稿からあんまり台詞変わってないこともあって、楽しみにしていたシーンの一つだったんですが、鈴木拓さんがいい感じに番場を鬱陶しい感じに仕上げて下さって、それを鳥谷さん、斉藤さんがフォローする一連の流れが綺麗でした。あと、鈴木さんに着物を着せたのは誰のセンスなんでしょうね?ちなみに番場はこの後、番組内の発言が原因で私刑倶楽部に炎上させられてえらいことになるんだと思っています。

大岡憲人役/岩谷健司さん

岩谷さん、めちゃくちゃ渋くて格好良かったです。ちなみに大岡、川島監督の設定だと青森出身とのことで。で、実は岩谷さんもたまたま青森のご出身らしく……現場では大岡のセリフを全て津軽弁にするアイディアも出ていたそうです。ちなみに僕も青森出身で、いつか全編津軽弁の作品をやりたいので、その際にはまた是非お声がけさせていただけないもんかなと思いました。

倉山佳乃役/内田慈さん

内田慈さんも本当にもう数々の作品にご出演されているので、出演が決まって楽しみだった方の一人です。佳乃の「あんたも一回無職になってみればいい!」は思い入れのあるセリフだったので、仕上がりを楽しみにしていたんですが、内田さんはさすがの一言でした。あと、顔にモザイクがかかってからがいい感じに鬱陶しくて最高でしたね。物語の導入になる大事な役を好演していただいて、本当に助かりました。

多田亮太役/山本浩司さん

大阪芸大の大先輩、山本浩司さん。学生時代、「リアリズムの宿」を友達に勧められて繰り返し見ていた時期もあるので、多田役が決まった時は本当にビックリしました。多田は「間違いなくいい人なんだけど、多分仕事はそんなに出来ないので、具体的に川村を助ける能力はない人」というコンセプトで作っていったキャラクターで、出番は決して多くはありませんが、山本さんがしっかりと落とし込んで下さったなぁと。大先輩はさすがでした。

さいごに

私刑倶楽部は、川島監督をはじめとするスタッフの皆さんのおかげもあって、最後まで楽しんで書くことが出来た作品でした(テイスト的に「楽しい」は不適切かもしれませんが)。仕上がった作品には格好いいカットがたくさんあったり、部屋の美術が好みだったりと、本当にクルーに恵まれた作品だったなぁと。一方で、脚本担当としての課題も感じた作品だったので、今回のキャスト・スタッフの皆さんとまたどこかでお仕事ご一緒させていただけるよう、今後とも精進していきます。

また、重ね重ね、私刑倶楽部をご覧いただいた皆さん、本当にどうもありがとうございました。

2021年6月24日
ドラマ「箱庭のレミング」内「私刑倶楽部」
脚本家 敦賀零

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